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神経質礼賛 2015.初めてのHER-SYS(ハーシス)

 新型コロナ第7波の勢いはまだ収まっていない。地域医療の中核となっている市立総合病院がパンク状態で救急患者の受け入れが困難となっている。コロナ陽性と判明した患者さんを送り返すような事案も発生しているという。私が勤務している病院は精神科単科なので表立ってコロナの診療はしていないが、かかりつけの患者さんで他の医療機関を受診できない場合には発熱外来対応をすることになった。一昨日、さっそくコロナ陽性で発熱・咽頭痛の方の診察をした。普段かかっている内科医院がお盆休みに入って診てもらえないとのことだった。さて、問題はその登録作業である。以前はFAXで保健所に報告していたようだが、現在はパソコンからHER-SYS(ハーシス)というシステムでデータ登録をしなければならない。患者名・生年月日・住所・電話番号から始まって、症状、ワクチン接種状況、特定の持病がないかなどを入力することになる。これが手間と時間のかかる作業で、医師たちが時間に追われながらやらなくてはならないので評判が極めて悪い。

 入力マニュアルはネット上にはあるが、プリントアウトしたものはないので、横に感染対策委員長をしている薬局長と事務のトップの人、さらには院長先生についてもらって説明を受けながら入力していく。前回、病院で初めて他の先生が入力した時は1時間以上かかったと聞く。画面を見て間違いなく入力できる工夫が乏しく、例えば電話番号や郵便番号は半角のハイフンなしで入力することが画面上に明記されていないので、やたらとエラーでひっかかって入力し直すことになる。実に不親切で「神経質が足りない!」と言いたくなる。ようやく入力できると、自動的に確認の電話がかかってくる仕組みになっていて、それでやっと一人分完了である。30分弱かかった。負担軽減のため入力必須項目は以前より減っていると言うが、これではどこの医療機関も困っているだろうなと思う。

 

2022年8月11日 (木)

神経質礼賛 2014.陰キャでよし

 陽気で外向的な人のことを「ネアカ(根明)」、陰気で内向的な人のことを「ネクラ(根暗)」と呼んでいた時期があった。最近は前者を「陽キャ」、後者を「陰キャ」と呼ぶようになっているようだ。「キャ」とはキャラクター(性格)を略して言っているらしい。言葉の響きはあまりよろしくない。世間では陽キャ・陰キャのレッテル貼りが行われているのではないだろうかと思う。ネットで見ると、陽キャと陰キャの特徴、陰キャからの抜け出し方、陰キャがバレる質問、など様々な記事がある。そうした記事を読んで、「自分は陰キャで情けない」「陰キャだからダメなんだ。何とかならないだろうか」と悩む神経質な若い人たちがいるのではないかと気になる。しかし、世の中が陽キャばかりでは騒がしくて落着かないし、皆が出しゃばろうとしてもそうはいかないから収集がつかなくなる。冷静に判断してじっくり動いていく陰キャも必要なのである。花は紅、柳は緑(3話)、という言葉のように、持ち味を発揮してそれぞれの美点を生かしていけばいいのである。あるがままである。神経質で陰キャの人は主演俳優にはなりにくいけれど渋い名脇役にはなれる。嘘つきの強欲政治家やインチキ宗教の教祖様には絶対になれないだろうけれども、堅実にしっかり働いて世の中に貢献することはできる。それでよいではないか。

 根本の性格は変わらない。ただ、行動は変えることができる。内心はビクビクハラハラあっても、挨拶はしっかりして、話す時には意識して音量を2割アップする位のつもりで話すだけで、人から見た印象は変わるものである。そして、めんどうなことを先送りせず、早く手を出していくようにすれば、さらに輝く存在になっていくのだ。

 

2022年8月 7日 (日)

神経質礼賛 2013.森田療法概論のアンケート

 先月、職場の教育講義を依頼されて、森田療法概論ということでお話した。参加できなかった方は後日、動画を見て下さった。このほど117人のアンケートのまとめをいただいた。森田療法の内容を知っているという人が22人(18.8%)、名前だけは知っているが63人(53.8%)、聞いたことがないが32人(27.4%)だった。精神科病院の職員であるから、通常の方々よりも森田療法の名を見聞きする機会があるかと思う。内容も知っているという人をさらに増やしていきたいものである。

 感想の中で目に付いたのは、患者さんからの言葉にめげそうになる時の対処法を知りたい、自分の気持ちを保つ方法を知りたい、といった精神科病院ならではのコメントだった。精神科病院では精神症状が重度で病識や治療意欲の欠如した人に対して、その人の意に反して治療を行わざるを得ない場面がしばしばある。そうした時に暴言や衝動行為に晒されることになりやすい。私自身も「お前を殺してやる!」「訴えてやるからな!」と怒鳴られたり、足蹴りされたり叩かれたりすることがある。正直言って嫌な気分になる。しかし、その人が良くなっていくと報われたという気持ちになるのである。

  森田先生も30歳の時には呉秀三教授の指導のもと、巣鴨病院(現・都立松沢病院)で仕事をしていたが、貴族や官僚の子弟である患者二人から絶えず不平と難題を持ちかけられて辞職を考えたと書いている。一人は興奮して薬瓶を投げつけてきてそれが壁に当たって粉々になったり、森田先生を組み伏せて体を叩きまくったりということがあった。しかし森田先生は抵抗せずに毅然とした態度で臨み、かえって尊敬されるようになったという。

 そうした場面に遭うと、怒りや憤りの感情が激しく湧き上がるのは仕方がない。それを直接なくそうとしてもなくなるものではない。「感情の法則」(442話)の通りであって、時間とともに自然に収まってくるのだから、嫌な気分を早くなくそうと焦らずそのままにして、必要な行動をしていけばよいのである。

 

2022年8月 4日 (木)

神経質礼賛 2012.超熱帯夜

 このところ厳しい暑さが続いている。日中の暑さは仕方がないとしても、夜中や明け方になっても全く気温が下がってこないのはキツイ。朝5時に窓を開けても涼しい風は入らず、外はムッとした状態。窓を開けっぱなしにしても室温は30度以下にならない。天気予報の最低気温は28度となっているけれども、街中はアスファルトやコンクリートの蓄熱やエアコンからの排熱のため実際の最低気温は30度を超えているものと思われる。

 今まで、最高気温35度以上を猛暑日、最低気温25度以上を熱帯夜と呼んできたが、温暖化がさらに進行して、それ以上の呼名も必要なのではないか、と思っていた。このほど日本気象協会が独自に最高気温40度以上を酷暑日、最低気温30度以上を超熱帯夜と呼ぶことにした、というニュースが入ってきた。気象庁が定義した正式の呼称ではないが、昨今の情勢を考えるとすぐに浸透していきそうである。

 かつて327話「熱中症が増えたワケ」で暑さへの適応力の低下がその一因ではないかと書いた。しかし、それから15年が経過し、地球温暖化の急速な進行により、暑さ自体が過酷になってきているのだ。無理にガマンしていたら、熱中症で倒れてしまう。「洞山禅師は寒い時は寒になりきり、暑い時は熱になりきれと教えた。つまり、事実そのままよりほかに、しかたがない」(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.325)ではあるけれども、創意工夫は必要である。効率的にエアコンや扇風機を使い、暑さ対策グッズを利用し、水分やミネラル分を補充して熱中症対策をしていくとしよう。

 

2022年8月 1日 (月)

神経質礼賛 2011.SDGsと森田療法

 近頃、SDGsということが盛んに言われるようになってきた。持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略で、2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継として2015年の国連サミットで加盟国の全会一致で採択されたものであり、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標とのことである。17のゴールと169のターゲットから構成されている。特に資源やエネルギーなどを無駄なく利用していくことが大きな骨子となっている。しかし、それは森田正馬先生の家では徹底的に行われていたことである。

山野井氏 私が入院中、ここのお家で、すべて物を大切になさる事に驚いた。顔を洗った水を、そのまま捨てずに、バケツにためて、盆栽にやったり、表へ打ち水にしたりする。米のとぎ水は、油のついた皿を洗う。反故紙は、六、七種に使い分け、全く用に立たぬものは、飯炊きの燃料にする。私もいつとはなしに、そんな傾向になり、家で紙くずで御飯を炊く、ヘッツイ(かまど)を買うと、二、三円かかるから、自分でこしらえた。決してガス代を節約するとかいう理屈でなく、ただ、物そのものがもったいなく、捨てるのが惜しいのである。水道なども、一円七十五銭と決まっていて、前にはどうせ、決まっているからと思って、ジャージャーやったが、今はその水をむだにするのがもったいないから、倹約にする。電灯でも、月決めで、決まっているけれども、入用のない時は消すという風になったのであります。
森田先生 私のところで、皆さんも御承知の通り、外来患者の住所姓名を書くのに、反故紙から撰り出したものを小さく切って使っている。ある病院では、金ぶちの紙を使っているとの事である。診察料は高くて、相当の体裁を張るべきところを、この反故紙を使うという事は、一般の人から見ると、はなはだ矛盾のように思われようけれども、今の山野井君のお話から想像しても、私には決してその間に矛盾はないのである。
(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.228)

  水や紙の節約ばかりでなく、屎尿は畑の肥料として使った。森田先生が率先して肥桶を担いで見本を示すのだから、不潔恐怖の患者さんもやらざるを得なかった。飼っている鶏のエサは青物市場へ行って落ちているくず野菜を拾ってきて使うのだった。市場の労働者からは「いい若者が何やってるんだ」と嘲笑されることもあって、対人恐怖の患者さんにとっては辛いことだけれども、治療効果は抜群だった。まさに一石二鳥である。SDGsなどという難しい言葉を使わなくても森田療法では自然にSDGsになっていたのである。

 

2022年7月31日 (日)

神経質礼賛 2010.歴史博物館

 長いこと新築工事をしていた静岡市歴史博物館が完成した。元々、静岡浅間神社の中に小さな歴史資料館があって、今川家や家康関連の資料を展示していたので、企画展があると私も時々見に行っていたものだ。それを閉鎖し、駿府城公園近く、少子化のため廃校となった青葉小学校跡に新築したのである。本格オープンは来年になってからであるが、先週から土日限定プレオープンとして、1階部分を無料公開しているので、今朝、行ってみた。新静岡セノバから徒歩3分ほど。便利なところにある。

 特徴は1階部分に発掘された道路と石垣の遺構がそのまま展示されていることだ。長さ約30mにわたる。何も記載がなかったので係員に「写真を撮ってもいいですか」と尋ねると「フラッシュでも大丈夫ですよ」とのこと。竹千代(家康)少年がまさにこの土を踏みしめて歩いていたのだろうか、と思いを馳せる。竹千代少年が生活していた人質屋敷があった場所は諸説あって、浅間神社近くの宮ヶ崎町とも、駿府城南側、現在の新静岡駅付近だったとも言われている。他はまだ展示物は少なく、展望室の見学を待っている人たちがいた。来年になって、いい企画展があったらまた来てみようと思う。

 職場の規定では、まだまだ県外の美術館や博物館を見に行くことができない。せめて、県内で見ることができる所には行ってみたい。

 

2022年7月28日 (木)

神経質礼賛 2009.男性の更年期障害

 前々話で更年期障害について述べたが、近年は女性だけでなく男性についても更年期障害が言われるようになってきた。男性の場合、早い人では40歳位から始まると言う。女性の更年期障害が閉経後5年ほどで落ち着いてくることが多いのに比べると、男性の場合は終わりがないとも言われている。男性ホルモンのテストステロンの減少と関係しており、性欲低下・勃起不全とともに、関節痛・筋肉痛、疲労、発汗、ほてり、頻尿といた身体症状、不安、イライラ、うつ、不眠、意欲低下、集中力低下といった精神症状が出現する。ちょうど働き盛りで職場では中心的な働き手として忙しい年代にあたり、仕事のストレスも絡んでいそうである。

 男性の場合もホルモン補充療法が適応になる場合がある。しかし、仕事が休めない、弱味を見せたくない、という事情もあって、人知れず悩んでおられる方もいるかもしれない。少ない人員でより多くの仕事をこなさなければならない昨今の労働環境の問題もあるだろう。しかし、高濃度のカフェインの入ったスタミナドリンクを飲んで自らに鞭打ち続けていたらどこかで潰れてしまう。女性の更年期障害と同様、適度に休符を入れながら、楽しみも入れて行動していく。そして、あまり症状探しをしない、まあこんなものだと受け流す森田療法的アプローチが有益な場合も少なくないだろうと思う。

 

2022年7月24日 (日)

神経質礼賛 2008.土用丑の日の鰻丼

 昨日は土用丑の日。ニュースでは鰻屋さんの繁盛ぶりが紹介されていた。日中は快晴の厳しい真夏の暑さになっている。バテ気味の体が鰻を欲するのは当然である。栄養的に言っても、高たんぱくでビタミンA、B群、EさらにはDHAやEPAを豊富に含んでいてとてもよい。二ホンウナギは絶滅危惧種とも言われている。養殖ウナギの元となるシラスウナギの品薄・高騰のため、鰻の価格もうなぎ上り。すっかり貴重品となっている。シラスウナギを使わない完全養殖の実現が望まれる。そんな中、昨日の病院食に鰻丼が出たのだから感動モノである。鰻は小さめのハーフサイズながら、しっかり脂が乗っていて食べ応えがある。錦糸卵とセットになっていて、見た目にも鮮やかだ。ふきの白煮や澄まし汁の小松菜で野菜繊維を確保し、三色寒天でお楽しみ感を出している。厳しい食材予算の中からよくひねり出したものだと感心する。

  年配の看護助手さんが「山椒は付かないの?」と栄養士さんに尋ねていた。確かにここまでやってくれたなら、もうひと頑張り、山椒を付けてくれたら言うことなしである。山椒の香りは鰻との相性が抜群である。山椒は胃液の分泌を促進し胃もたれによいとされ、食欲が落ちやすいこの時期にはピッタリである。なお、昔から鰻と梅干の食べ合わせはよく言われるけれども、現在では全く根拠のない迷信であると考えられている。また、蒲焼よりも白焼の方がカロリーが低いと思われがちだが、実は白焼の方がカロリーは高い。蒲焼で繰り返し焼いているうちに脂分が落ちるためだという。さあ、鰻からもらった元気でもうひと頑張りだ。

 

2022年7月21日 (木)

神経質礼賛 2007.更年期のお悩み

 40代や50代の女性患者さんで更年期障害ではないかと悩んでいる方をよく見かける。更年期とは通常45~55歳位の期間を指すとされる。女性の場合、閉経に近づいていくと女性ホルモンのエストロゲンが減少して種々の体調や精神的不調が生じやすい。しかも、この時期は例えば、子供が高校を卒業して進学や就職により巣立っていく、そろそろ親の介護問題が発生する、というように大きな生活環境の変化も重なりやすく、そうした影響も考えられる。頻度の高い症状は、①肩こり、②疲労感、③頭痛、④のぼせ、⑤腰痛、⑥発刊、⑦不眠、⑧イライラ、⑨皮膚掻痒感、⑩同期、⑪気分の落ち込み、⑫めまい、というように実に多彩である。婦人科も受診してホルモン療法あるいは漢方の処方で改善する人もいれば、なかなかよくならない人もいる。逆に、更年期障害ということで治療しているが、うつ病の疑いがあるとして婦人科から紹介されて精神科を受診される方もおられる。婦人科は受診していないが、「命の母」や「養命酒」といった市販の生薬を飲んでいるという話もよく聞く。

 そうした治療や対策が奏功すればよいが、しなかった場合どうしたらよいだろうか。そこは森田療法的アプローチの出番である。症状を追求しているとモグラ叩きになりやすい。自分の体の方に注意が向いていると敏感になって、ますます新たな症状を見つけやすくなるのである。それよりも、健康な部分を伸ばすことに目を向けたい。症状は、「まあこんなもので仕方がない」ということで、仕事や家事で工夫をし、楽しみを見つけて行動していくことである。生活の中に短い休符をいれて一息つくのもよい。休符があって音符が生きるのは音楽と同様である。

 

2022年7月17日 (日)

神経質礼賛 2006.勤務環境把握に関する調査

 勤務先の病院に大量のアンケート冊子が送られてきた。記入する部分は12ページにわたり、「医師の勤務環境把握に関する調査」と書かれている。1日の行動を日報のような形式で、7月11日から17日までの1週間について記入を求められている。30分目盛のグラフに診察、研究、その他の業務、当直、オンコール、休憩、食事、睡眠などを矢印で書き入れるようになっている。実際の仕事は入り組んでいて、急に病棟からの呼び出しがあったり外線電話の対応を求められたりして、そんなにきっちりはいかない。病院に関しては全国全ての病院が対象だということだ。診療所や老人施設については無作為抽出とある。常勤医だけでなく非常勤のパート医師も記入して送る必要があるらしい。医師の働き方改革に向け、実態を把握するのが目的だと書かれている。厚生労働行政推進調査事業費補助金政策科学推進研究事業「医師の勤務環境把握に関する調査」事務局と実に長ったらしい名称がついていて、いかにもお役人様の考えそうなことである。果たしてどれだけの医師が回答するか、また、実態を反映した回答が得られるかどうか疑問であり、単なるムダ金遣いになりはしないかと懸念する。個人的に思うには、病院勤務医の仕事のうち「電子カルテの御守」が大きなウエイトを占めていて、それも仕事が増えるばかりであって、これを何とか減らせないものだろうか。

 と、愚痴を言っていても始まらない。こういう面倒なアンケートは、さっさと回答して返送するに限るのである。アンケートの最後に、10年後に従事する地域の見通し、勤務先の所在地として可能性が高いものを問うものがあった。10年後には引退している、と書いておいた。

 

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