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神経質礼賛 2476.アサダ

 自宅から母親が住んでいた家までは500mほど。途中に公園と県の施設のもくせい会館と医師会館がある。もくせい会館は名前の通り周囲の道路沿いに金木犀とツツジが植えられている。この時期、咲いている花はないが、ちょうど梅雨の中休み状態で、それほど暑くもなく、歩いていて気持ちが良い。ふと上を見上げるとビールの原料のホップを大きくしたような実をいくつもぶら下げている木に気が付いた。何の木だろうと気になる。木の名前を書いたプレートは付けられていない。スマホで写真を撮り、Google検索にかけてみる。アサダの可能性が高いとのこと。聞いたことのない名前である。

 アサダはカバノキの仲間の落葉高木で高さは10~25mに及ぶ。樹皮は剥がれて反り返り、ミノムシ状になるのが特徴である。4月~5月に開花して実を付け、果実は10月頃に熟して種が飛び出す。浅田という漢字があてられるが、語源は不明とされる。木の材質は堅くて緻密であり、磨くと美しい光沢が出ることから、櫛などの小物や家具の材料として用いられるという。

 今まで全く気にも留めなかった木であるが、これからは時々観察して変化を見て行こうと思う。自宅近くの何の変哲もない景色の中でもちょっと変わったものが見つかることもある。クリニックを受診している患者さんたちから「何もすることがない」「つまらないから家でゴロゴロしている」という話をよく聞くが、出かけてみれば意外な見どころもあって、興味を引くことも見つかるものである。

2026年6月14日 (日)

神経質礼賛 2475.火災警報器の電池切れ

 母親が住んでいた小さな家は今でも電気、ガス、水道が使える状態にしていて、週1~2回メンテナンス目的で訪れている。今回行ってみると「ピ・・・ピ・・・」という音が聞こえていた。はて、どこから音が出ているのか。1階のDKや洗面所や風呂場を見て回ったが音源らしきものは見当たらない。二部屋ある2階に上がる。どちらの部屋に行っても他の部屋から聞こえてくる感じがする。部屋の間から上を見上げて原因がわかった。火災警報器の赤ランプが点滅し、音を発していたのだ。時々「電池切れです」というアナウンスも発している。

   平成22年から寝室と寝室のある階の階段上部に火災警報器の設置が義務付けられ、全然意識していなかったが、この家も3カ所に火災警報器が取り付けられていたのだ。リチウム電池の寿命は10年とされている。家ができて12年近くになるから、電池切れになるのも無理はない。そのままにしておくと、隣家に迷惑を掛けそうなので、カバーを外してコネクターで接続されている電池を外す。万一火災発生時には他の2個のどちらかが作動するだろう。取り出した電池は家に持ち帰って、同じ型のリチウム電池を3個注文した。まだ動いている他の2個も近いうちに電池切れになるだろうから一緒に交換しておこう。同じメーカーの火災警報器でも異なるリチウム電池を使っている機種があって注意が必要だ。注文の際には品番をよく確認する。家庭用火災警報器が設置されるようになってから、住宅火災による死者は減少しているという。就寝中に火災が発生して逃げ遅れるのを防ぐ効果がある。電池切れを放置するのはよろしくない。さらに信頼度という点を考えると警報機全体を新品に交換するのがベストだろう。

2026年6月11日 (木)

神経質礼賛 2474.そのうち時間ができたら

 先週は台風6号の影響でいつも通勤に利用している静岡鉄道電車も東海道線(在来線)も運休になってしまった。そうなることは十分予想できたので、あらかじめその日の産婦人科クリニックの勤務は休みにしてもらっていた。さて、丸一日空いてしまった日をどう使うか。午後には風雨が収まりそうだけれども、出歩くのは避けた方が安全である。こういう時こそ「そのうち時間ができたら」と先送りしていたことを片付けようと思い立った。精神科専門医の更新は来年度なので、まだいいかと何となく面倒に思って先送りしていた全専門医共通必修科目のeラーニング講習を受けることにした。とりあえず午前中に感染対策の講習を受けた。そうなると、続きもやってみようということになる。午後には医療倫理の講習を受ける。まさに「神経質は思い車」の通り取りかかるまでモタモタして時間がかかるが動き出したら止まらなくなる。その二日後には残った医療安全の講習を受けて3科目全部片付いた。やってしまえば何でもないことだった。

 森田正馬先生は形外会の場で次のように述べておられる。
 腰が軽いという事は、思い立った事に、早く気軽く手を出して実行する事であって、これは何事にも功利的で、一つ一つの事に労力と時間の見積もりを立て、損得を打算し、骨惜しみをして、物事をおっくうに思うという事のない時にできる事である。つまる所は捨身の態度という事に帰着する。(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.743)

 かかる手間を思い浮かべて、嫌だなあ・面倒だなあ、と先送りするのは神経質人間にはありがちのことである。しかし、気が向かないままにちょっと手を付けてみればそれが呼び水となって前に進んでいくものである。

2026年6月 7日 (日)

神経質礼賛 2473.シャワーとカビ

 6月になり、西日本まで梅雨入りし、湿度が高い日が多くなってきた。TVの生活番組ではカビ防止を話題にしたものがある。特に浴室ではカビが発生しやすい。蒸し暑くなって風呂に浸からずにシャワーで済ませる方も多いかと思う。シャワーだけなら大丈夫だろうと油断して風呂掃除を怠っているとカビが発生してしまう。一旦赤カビや黒カビが付いてしまうと落とすのはなかなか大変である(1045話)。

 立ってシャワーを浴びるのと座って浴びるのとではどちらがカビが発生しやすいだろうか。若い世代では立ってシャワーを浴びる人が多いらしい。しかし、立って浴びていると意外と壁の高い部分まで皮脂や石鹸成分が飛散して、それがカビの栄養になってしまうのだそうである。そのため、シャワーは座って浴びるのが正解だという。「立ってシャワーを浴びないで」は潔癖症の妻よりだいぶ前から口やかましく言われていることの一つだ。妻は化学洗剤や化学薬品を使うのを極度に嫌っているため、防止策に重点を置く必要がある。座って浴びるにしても、最後に壁やフロアを簡単にシャワーで洗い流して、ついでに使わなかった浴槽もさっと洗い流して、出てから換気扇をタイマーで2時間位回しておけば少しはカビ予防になるかと思う。

2026年6月 4日 (木)

神経質礼賛 2472.プログラム集のサイズ

 5年に一度の精神保健指定医更新のための講習を今年度中に受ける必要があり、10月に東京駅からアクセスのよい会場で行われる講習会を予約しようと先月初めから申込サイトを毎日チェックしていた。受付開始日が公表されていないからだ。ずっと「受付前」表示が続き、6月1日朝の段階でも「受付前」だった。ところが、その日に仕事を終えて帰宅して夕方に申込サイトを開いてみると時すでに遅く「締め切り」になっていた。申し込めるのは来年1月に東京・浜松町で開催されるもので、やむなくそこを申し込んだ。今年6月の診療報酬改定により指定医を維持しないと事実上精神科医として仕事を続けていけない状況になり、早めに予約を取ろうと申込が殺到したのだろう。なかなか生存競争が厳しい。

 同じ日に配達された郵便物の中に、第122回日本精神神経学会学術総会のプログラムがあった。手に取っておやっと思う。サイズがA4の半分のA5に縮小されていたのだ。227ページの冊子で、内容的にはほぼ変わらないけれども、縮小印刷のため字が小さくなっていて、ルーペか老眼鏡なしには読みにくい。印刷製本料や郵送料のコスト削減のためかと思われる。

 一方、日本森田療法学会のプログラム・抄録集は2019年の第37回まではB5サイズだったものが翌年の第38回からA4サイズに拡大され、2023年の第40回だけは一度B5サイズに戻り、以後はまたA4サイズが続いている。どうも一貫性がない。今年はどうなるだろうか。

2026年6月 1日 (月)

神経質礼賛 2471.花音の練習会

 昨日は、静岡ピアノ会「花音(かのん)」の練習会に参加させてもらった(1966・1967・2356話)。友人が会員になっているピアノ同好会であるが、ヴァイオリンやフルートなど他の楽器でもピアノ伴奏のあるものならば参加できる。年2回くらい発表会がある。そしてほぼ毎月、公共のホールの練習室を借りて練習会を行っている。参加費は会場使用料の人数割である。時間は午前9時から12時の3時間。順々に演奏していくと参加者10人の場合弾く機会が2~3回巡ってくる。昨日の参加者は7人の予定だったが、遅れて参加した人が多くて最初の1時間は私と友人を含めて3人しかいなかったので、それだけで4巡して用意していた曲は弾き尽くした。ちょっと得した気分だ。後は弾いたことのある小品を2曲弾いた。

 今年も11月23日の「アマチュア・アンサンブルの日」にAOIホールで演奏できることになった。4年連続出演になる。昨年同様、トップバッターで正午に演奏開始予定である。ヘンデルのヴァイオリンソナタ第4番ではホール所有のチェンバロを貸してもらえることになり、楽しみである。もう1曲のツィゴイネルワイゼンはハイリスク(笑)な曲。しかもホールで弾くのは初めてのことだ。これからも本番まで練習は続けるが、不安なままビクビクハラハラのままチャレンジするつもりである。

2026年5月31日 (日)

神経質礼賛 2470.サラ川

 第一生命がサラ川・・・「サラっと一句!わたしの川柳コンクール2025」のベストテン作品を発表した。以前は「サラリーマン川柳」だったものだ。読んでみると思わず顔が緩むとともに「あるある」と共感してしまう。10句のうち半数が急速なデジタル化の中での失敗や戸惑いをネタにしていた。

   第1位「キャッシュレス 充電なくなり 無一文」・スマホのキャッシュレス決済に慣れていると、スマホのバッテリー残量がなくなったらアウトである。時にシステム障害のために一時的にキャッシュレス決済ができないトラブルも起きうるから、現金もある程度は持っておく神経質は必要である。第2位「パスワード 記録したけど 記憶なし」、第4位「パスワード 思い出せずに また初期化」・最近は英大文字+小文字+数字の長いパスワードを設定させられることが多い。さらに同じパスワードを使っていると変更するように警告されることもあって、何度か変更しているうちに手帳に記録していても自分でもわからなくなることがある。さらにはやたら本人認証のSMSが送られてきてそれを入力しなければならず、デジタル化で面倒が増えている。第8位「キャッシュレス 増える決済 減る貯金」・キャッシュレス決済だと一体いくら使ったのか残金がいくらなのか見えにくくなってしまう。浪費癖や躁症状がある人でなくても、こんなに使っちゃったんだと愕然とすることがあるだろう。第9位「セルフレジ タッチパネルで 店主呼び」・私も無人のセルフレジが増えてマゴマゴしている一人である。商品のバーコードの読みが悪かったり、逆に2回読まれてしまって店員さんを呼んで修正してもらったりすることもある。デジタル化は一体便利なのか不便なのか。そして誰のためになっているのか。IT業界を繁栄させていることだけは確かであるが。

2026年5月28日 (木)

神経質礼賛 2469.劇伴

 今年の1月~3月にBSで放送された「京都人の密かな愉しみRouge・継承」(2424・2450話)というドラマの中で使われた音楽で非常に印象に残っているものがある。いわゆる劇伴(劇中伴奏音楽)である。第1回放送の冒頭に京田辺・大御堂観音寺の十一面観音像の画面で流れた曲はたびたび再登場し、最終の第9回に鴨川のほとりで女性が夜にアコーディオンを弾く場面でも使われていた。3拍子の古風な感じの曲で、無伴奏ヴァイオリン用にしてみたくなる。同じ3拍子でもお出かけシーンに流れる身も心も軽くなる「菓子折」と題される曲もあって、聴いていて心が浮き立ってくる。場面に適した音楽が充てられていると感じる。このドラマのいろいろなシーンで使われた数々の曲を「耳コピ」でピアノ演奏して動画配信している人もいて、ついつい全部聴いてしまった。ドラマを楽しみ、音楽でも楽しみ、まさに「一粒で二度おいしい」である。

 映画音楽や人気のゲームミュージックの場合、それ単独で高い存在価値を示すものがある。最近ではゲームミュージックの作曲者がもてはやされ、オーケストラのコンサートのプログラムに取り入れられることがある。日々放送されているドラマやアニメなどのTV番組に使われる劇伴にもすばらしいものがある。しかし、あまり目立ち過ぎてもいけないらしい。バレエ音楽も劇伴の一種と言えるだろうが、チャイコフスキー作曲の名曲「白鳥の湖」は当時の振付や舞台美術やダンサーが低レベルだったため初演で失敗したと言われている。

2026年5月24日 (日)

神経質礼賛 2468.最近の睡眠薬事情(ボルズィ)

 私が精神科医になった頃の睡眠薬といえば、短時間型のレンドルミン(一般名ブロチゾラム)、中時間型のロヒプノール・サイレース(フルニトラゼパム)、超短時間型のハルシオン(トリアゾラム)が多用されていた。いずれもベンゾジアゼピン(Bz)系薬剤で同じ基本構造を持っている。古くからあるバルビツール系睡眠薬のような呼吸抑制(自殺薬となるリスク)や強い依存性や耐性の問題は少なく安全性が高いと言われていたが、徐々に依存性や健忘や筋弛緩作用による転倒リスクの問題が言われるようになった。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬マイスリー(ゾルピデム)、アモバン(ゾピクロン)、その改良型ルネスタ(エスゾピクロン)などが登場したが、これらもBz系ほどではないが類似した問題が指摘された。睡眠ホルモンであるメラトニンを増強するロゼレム(ラメルテオン)は副作用が少ない反面、効果が弱い。2014年に覚醒ホルモンであるオレキシンの受容体を阻害する薬剤としてベルソムラ(スボレキサント)が登場して高齢者にも安全で十分に効果があるということで、頻用されるようになった。さらに2020年に長時間型で併用禁忌薬がないデエビゴ(レンボレキサント)が登場。2024年12月に半減期が短めで翌日に残りにくいクービビック(ダリドレキサント)、2025年11月に同系統4剤目のオレキシン受容体拮抗薬ボルズィ(ボルノレキサント)が発売となった。このボルズィは半減期が2時間少々と極めて短く翌日への持越しが少ない。そのため、従来の睡眠薬が服用期間は運転禁止とされていたのに対して「慎重に判断」となっているのが特色である。とはいえ、併用薬との相互作用で半減期が大幅に延びてしまう場合もあるので、安易に運転して大丈夫とは言えない。入眠困難が主訴で働く人に適した薬剤であり、発売後1年経過して投与日数制限14日が解除された後には相当シェアを伸ばすことが予想される。メーカーも精神科以外の診療科で気軽に処方してもらうことを狙って宣伝を強化しているように思える。

 しかし、私のボルズィ処方は今のところゼロである。中途覚醒や早朝覚醒がうつ病で多いのに対して、入眠困難は当ブログに何度も書いているように神経症性不眠、つまり不眠恐怖、睡眠への過度のこだわりであることが多い。副作用が少なく日中の仕事に影響が少ない薬剤ではあっても、飲まなくて済むならそれに越したことはない。一般的な睡眠衛生指導や森田療法的アプローチを優先している。「多くの医者は不思議にも、其患者の日常の生活状態や、何時に寝て・何時に起き・其間に如何に睡眠が障害されるか・といふ事を聞きたゞさないで、患者の訴ふるまゝに、不眠と承認して、之に催眠剤を与へるのである。(白揚社:森田正馬全集第7巻 p.401)」ということは避けたい。

2026年5月21日 (木)

神経質礼賛 2467.ナフサ欠乏症(2)

 ナフサの供給が滞り、私たちの生活用品が生産困難になり始めている。ナフサはポリエチレン、樹脂、合成ゴム、合成繊維の材料であるから、前話の医薬品・医療用資材に限らず、家電・衣類・自動車・建材など幅広い分野の生産に打撃が見込まれる。政府はナフサは十分な備蓄があるから心配ないと火消に躍起だが、そんなに楽観視していていいのだろうか。仮にアメリカ・イラン間で停戦が決まってホルムズ海峡の通航ができるようになったとしても、供給不足が解消されるまでには時間がかかりそうである。

   県内では市指定のゴミ袋が不足して一部の地区ではパニック寸前という報道があった。ゴミが出せないとなると生活に甚大な影響がある。一時的に指定袋でなくてもゴミ回収をするとした市もある。病院では今まで1人分の廃棄する紙おむつを入れていた所に2人分を詰め込んで使用枚数を制限しているという話もある。

   インキの不足のためポテトチップのパッケージを白黒にしたメーカーが出て話題になっている。他の食品メーカーでも白黒パッケージに移行する動きがあるという。惣菜など食品のプラスチックパッケージをやめて簡素化したり、ややコストは上がるが供給の心配が少ない紙製品に切り替えたりする動きもみられる。いかに私たちの便利で豊かな生活がナフサに依存していたか、改めて思い知らされた感がある。災害対策も兼ねて、普段から食品に限らず生活必需品のストックはある程度は準備していくことである。もっとも、このあたりは神経質人間が得意とするところである。

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