精神科クリニックの上の階には就労移行支援施設があって、生活訓練や就労・定着支援などを行なっている。そこからの依頼で先月と今月、1回ずつ「生活に役立つ森田療法の智恵」と題する話をさせていただいた。定期的に通所している方が多く、精神科病院のデイケアに比べると、より就労に近いレベルの方が多いような印象がある。もっとも、1回や2回の話で実際に理解していただけるわけではなく、困った場面で森田療法的アプローチを実行して体験的理解をしていただいて身に付いてくるものだと思っている。
症状や気分をいじろうとせず、それらはそのままにして(⇒あるがまま)、やるべきことをやっていく(⇒行動本位)、という姿勢が大きな変化を起こす。森田先生の時代から、「理屈はわかるが実行できない」と訴える人はいた(1742話)。森田先生は患者さんたちの前で「実行」という言葉を繰り返し述べておられていた。理屈ではない。行動した人はどんどん良くなっていく。実行第一なのである。気が進まなくてもとにかく少しでもいいから手を出してみることが秘訣である。どうかすると「やるべき仕事がない」と言う人もいるが、「見た所に仕事あり」「仕事を探すのも仕事のうち」であって、探せばいくらでもやることは見つかる。
私はこのような文章を1か月に10話書いているけれど、正直言って、書く気が起きないとか書きたいことが全く頭に浮かばないとかで困ったな、ということはよくある。そんな時でもちょっと頭に浮かんだことで仮の題名を付けて文章を少し書き始めてみて保存しておく。すると、やはりそのことが頭の片隅にあるためか、後から「こんなことを書こうかな」とアイデアも浮かんでくるので、ぼちぼち書き連ねていくのである。自転車を漕ぎ始める最初は大変だけれども、動き出してしまえばスイスイ走っていけるのと同じだ。


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