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2018年11月16日 (金)

神経質礼賛 1566.たれサクふりかけ

 新聞の新商品紹介記事に丸美屋の「たれサクふりかけ」というものを見つけた。具材をかけてから別にたれをかける、という今までにないユニークな商品である。どんなものだろうかと興味をそそられる。行きつけのスーパーやドラックストアにはなかなか出てこない。新聞記事から2カ月ほど経ってようやく登場したので、えび天味、すき焼き味、焼肉味を買ってみる。それぞれ2食入りで価格は百円少々である。


 もちろん、本物のえび天やすき焼きや焼肉とは全く別物であるから、何も知らずに食べてそれらを連想するのにはかなりの妄想力(?)を要するだろう。とは言え、この
C級グルメを世に送り出した開発者には拍手を送りたい。3種類の中で一番良いと感じたのはえび天味だ。以前からインスタントの揚げ玉入りそばはあったから、その流れで想像しやすい。名前の通りサクサクした小さい天かす状の具材に甘めのタレがかかって天丼風味というわけだ。次が焼肉味。フライドオニオンの味がよく効いている。これらに比べてすき焼き味は今一歩及ばないというのが私の感想である。こうした面白いインスタント食品を考え出すのは日本のお家芸であり、日本人の神経質さによるところが大きいのではなかろうか。安藤百福さんの名言(720)を思い出す。

2018年11月14日 (水)

神経質礼賛 1565.DNA婚活

 昨日、当直の夜を終えて病院の食堂で朝食を摂りながらTVを見ていたら、NHKのニュース番組「おはよう日本」で最近の婚活事情を紹介していた。容姿や身長や年収などとは無関係に何とDNAの相性から相手を選ぶというのが流行っているのだそうだ。大変な時代になったものだ。思わず箸が止まる。


 調べるのは臓器移植の際に使われる
DNAHLA型である。まず、口内粘膜の組織を綿棒で少し取って、海外の検査会社に送り、HLA型を調べてHLA型の相性を調べるというのだ。面白いことに、HLA型は近いと相性が悪く、離れている方が相性が良いのだそうだ。海外の実験では、HLA型が離れている人の体臭は快く感じるそうである。そして、そうしたカップルから生まれる子供は免疫能力が優れている。さらに夫婦関係もうまくいきやすいという。会員の中からHLA型が離れた(つまり相性度の高い)人同士をお見合いさせるということが行われている。番組では実際にこのサービスを利用した時の様子や、このサービスで知り合って結婚した人の意見が紹介されていた。


 何のエビデンス(根拠)もない血液型相性に比べれば、ある程度の科学的根拠があるのかもしれない。しかし、
HLA型の相性が合うから幸せになれるとか、合わないから幸せになれない、ということでもないだろう。合わない部分があっても、お互いに相手を尊重し合いながら、合わせる努力をしたり、時には合わなくてもそこは目をつぶったりする、ということをしながら幸せになろうと努力していくのが夫婦なのではないだろうか。そこに妙味があるのではないだろうか。夫婦関係もやはり努力即幸福(180)だろうなあ、と旧人類の私は考えるのだった。

2018年11月12日 (月)

神経質礼賛 1564.朝食抜きは太る

 外来に通院している人で、朝食は食べず、1日2食という人がよくいる。印象としては、男性に多く、肥満体系の人が少なくない。中には1日1食でバリバリ働いているが、健康診断がいつもメタボで引っかかっているという人もいる。「低血糖で仕事の能率が上がらなかったりイライラしやすくなったりするから少しでもいいから朝何か食べましょうよ」と話をするが、「若い頃からずっとそうだから大丈夫です」という答が返ってくるばかりである。肥満が目立つ人には「お相撲さんも1日2食でしょ。体がそれに順応して脂肪分を貯めやすいのかもしれませんよ」という話もしている。


 先週6日の新聞記事に、「朝食を抜くと太る」体内時計に狂い・・・ラット実験、と題するものがあった。名古屋大学の研究チームの発表で、朝食抜きのグループでは、そうでないグループと比べて、食事量は同じでも脂肪が増えて体重が増加していた、というものだ。朝食抜きラットを詳しく調べたところ、肝臓で脂肪を代謝する遺伝子の働きが遅れ、食事中の体温上昇時間も短かったという。このような肝臓や体温リズムの異常からエネルギーの消費が減少して太ったと考察しているそうだ。やはり、お相撲さんからの連想は間違いではなかった。しっかりした研究成果が出たのだから、患者さんへのアドバイスに活用させてもらおうと思う。

2018年11月 9日 (金)

神経質礼賛 1563.字が変なのではないかと心配になる

 確認行為などの強迫症状のために仕事ができなくなって3年前に入院森田療法を受けた人がいる。3か月弱で退院すると同時に新しい仕事に就いた。時々、確認行為はあるけれども、日常生活に支障のない程度に収まっていて、仕事も順調に続いている。その人が浮かぬ顔で、「最近、自分が書いた字が間違っているのではないかとものすごく気になって、何度もスマホで確認しちゃうんです。認知症になっちゃったんでしょうか。脳外科を受診した方がいいでしょうか」と言う。「それも強迫症状の一つですよ。脳外科を受診する必要はありません」と告げる。「どうしたらいいんでしょうか。何か薬はないですか」とさらに聞かれて、「そういう薬はありません。薬はあなたの行動です」と答える。


 私自身、ふっと、何でもない漢字やひらがなが全然違っているのではないかという考えに襲われることがある。新聞や本に印刷されている字でさえ、変なのではないか、と思ってしまう。時間があると、辞書を引いてしまうこともあるけれども、一過性で過ぎ去っていく。「あなただけじゃない。私だってそういう時はたまにありますよ。ただ、次から次へやらなくてはならないことがあって、前へ前へと進んでいくうちに薄れて忘れているものですよ」と言い足す。


 強迫には種々の症状があるけれども、根本は一緒である。不安をなくすための「はからいごと」をしていたら強迫症状の底なし沼にハマっていくばかりである。「気にはなっても次の行動」それが本当の薬なのである。

2018年11月 5日 (月)

神経質礼賛 1562.自動車のパンク

 今週末、伯母の一周忌の法事があるけれども参加できないため、昨日、香典を届けに行こうと車で出かけた。ところが、家を出てどうも車の様子がおかしいと感じた。異音がしている。車を止めてみると、右前輪が明らかにパンクしているではないか。一方通行の狭い道なので、ゆっくり一周ぐるっと周って自宅に戻ってきた。さて、困った、どうしよう。年中無休24時間営業で、いつも車の点検を頼んでいる修理工場に電話してみる。スペアタイヤはありますか、と聞かれて、ありませんと答える。その工場の「バリュー会員」になっているので、指定のカーレスキューに連絡して下さい、とのこと。そこに連絡したところ、40分位でそちらに伺います、ということだった。実際には30分ほどで車両運搬車が来てくれた。そしていつもの修理工場に運搬。すぐに対応してもらえた。調べると、頭の取れた釘が刺さっていた。パンク修理だけで済んだ。ロードサービスは無料、修理代金2160円だった。自動車保険にセットされたロードサービスを利用しても同様の結果になっただろう。一旦、家に帰って妻に聞いてみると、車で前日に実家に行ってきた時には異常はなかったという。妻の実家近くのバイパス入口付近はよく物が落ちているというから、路面に落ちた釘を踏んでしまい何とか家までもったのだが、少しずつ空気が抜けたということだろうか。それにしても、少し走らせてしまってからパンクに気付くようでは神経質が足りなくていけない、と反省する。毎回乗る前にタイヤをチェックしなくては。


 また出直して、母の家に寄って母を乗せ、25
kmほど北の伯母の家を目指す。途中、山道で対向車とすれ違いできない所が数か所ある。ふと、こんな所でパンクしたら、という考えが頭をよぎる。無事に用を済ませて、帰り道の途中、真富士の里という地場産品の販売所に寄り、母の頼みで柿と干しシイタケとサツマイモを買う。ここはソバと山葵ソフトクリームが美味しいらしい。母の足が悪くなければ一緒に店に入ってソバを食べられるのに残念だ。この県道沿いはカエデのような赤系の紅葉はないが、イチョウは黄色く輝いていた。半月前には暑い暑いいと言っていたのに、いつの間にか秋が深まっている。

2018年11月 2日 (金)

神経質礼賛 1561.歯のメンテナンス

 昨日は歯医者さんへ行ってきた。といっても、歯が痛むというわけではなく、検診と歯石除

去が目的である。前から行こうと思っていたけれども、痛くないとついつい先送りしてしまっていた。年齢とともにだんだん歯にヒビが入っている部分が増えていつ欠けるかわからないし、歯肉も後退してきていて歯周病予備軍でもある。やはり悪くなってしまう前にチェックしてもらわなくては。


 数年前に、勤務先の常勤医の公休日が全員木曜日に変更になってしまい、前に通っていた歯医者さんが休診日のため行けなくなってしまった。そこで、歩いて行ける範囲で木曜日に診察している歯医者さんを探して、この歯科医院になった。女医さんで、実は高校2年の時、同じクラスだった人である。小柄だけれど男まさりで、よく野球部の男子たちから「おい、○○!」と呼ばれて、負けずに「何だよー!」と返していたものだ。今も声が大きく元気一杯である。


 一方、検査と歯石取りをしてくれるスタッフは細かい。30分以上かけて丁寧に歯石の処置をした後、さらに時間を掛けて歯磨き指導である。ここはこう歯ブラシをつかうといい、と丹念に教えてくれる。朝・昼は時間がないので、そのように磨くことは難しい。夜は教えてもらったように時間をかけて磨いてみるとしよう。歯の状態が日常生活に与える影響は極めて大きい。普段の心掛けが歯の健康、さらには心身の健康にも影響を与える。歯のメンテナンスをしっかりして健康的な生活を送れるようにしたいものである。

2018年10月29日 (月)

神経質礼賛 1560.欲張りで良い

 無欲恬淡(むよくてんたん)という言葉がある。欲がなく物に執着しないことを言う。仏教では人間が本能的に持っている五欲(①食欲、②色欲、③睡眠欲、④財欲、⑤名誉(権力)欲)が平常心を失わせる根源だとしている。欲が深いというと悪いイメージがあるが、森田正馬先生は欲張りで良いと説いておられる。


 神経質の人は、ズボラやルンペン(乞食・浮浪者)を見ると、物に拘泥しなくてよいとか・無欲恬淡でよいとかいって、これをうらやむ事さえもある。しかし僕のところの修養ができて来ると、初めて自分が、物に拘泥し・面倒がり・あれもこれもと欲望が強く・絶えず心がハラハラとして、向上発展の力が泉のようにわいてくるという事を喜び・感謝するようになる。

(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.685


 完全欲の強いほどますます偉い人になれる素質である。しかるにこの完全欲の少ないほど、下等の人物である。この完全欲をますます発揮させようというのが、このたびの治療法の最も大切なる眼目である。完全欲を否定し、抑圧し、排斥し、ごまかす必要は少しもない。学者にも金持にも、発明家にも、どこまでもあく事を知らない欲望がすなわち完全欲の表われである。我々の内に誰か偉くなって都合の悪い人がありましょうか。偉くなりたいためには、勉強するのが苦しい。その苦しさがいやさに、その偉くなりたい事にケチをつけるのである。あの人が自分に金をくれない、それ故にあの奴は悪人である、とケチをつけるようなものである。偉くありたい事と差引きして考える必要はない。これを別々の事実として観察して少しもさしつかえはないのである。この心の事実を否定し、目前の安逸を空想するのが、強迫観念の出発点である。(白揚社:森田正馬全集 第
5巻 p.32


 神経質人間はよりよく生きたいという生の欲望が人一倍強い。それは良いことなのだが、どうかすると理想が高過ぎたり他人と比較し過ぎたりして、自分はダメだと諦めてしまうことがある。向上発展欲が強いのに、手間と労力を計算して無理そうだと努力を放棄してしまうこともある。理屈をこねずにその場その場でできることを一つずつやっていけば、自然と「ものそのものになる」になっていく。神経質がひとたび動き出せば簡単には止まらない。粘り強く続ける持続力は抜群である。そして気が付けば人並み以上の成果が得られているのである。

2018年10月26日 (金)

神経質礼賛 1559.寝れば寝くたびれる

 70代前半の男性患者さん。近隣トラブルを繰り返して警察沙汰となって入院してきた人である。自分の体に関する心配がとても強く、訴えが非常に多いので、他の病院の泌尿器科、整形外科などを受診させたが特に治療が必要なレベルではなかった。いつも「夜眠れない」と訴え、作業療法を勧めても「膝が痛いし腰も痛い」と言って一日中臥床していた。担当の看護師さんと一緒になって日中は起きてもらうように頻繁に声掛けをしていた。御兄弟の協力により入所できる施設が見つかってようやく退院に漕ぎつけた。それから3カ月になる。見違えるようにシャキっとした歩きになり、健康的な表情に変わってきた。兄の家から近い施設なので、兄や甥がよく面会している。週2回、施設からデイケアとリハビリ施設に通所しているのだそうだ。また、週1回はスーパーまで送迎バスが出ているのでそれに乗って買物に行くのが楽しみなのだそうだ。やはり、寝過ぎは禁物。特に昼間も寝ているのは良くない。森田正馬先生は次のように言っておられる。


 例へば、「寝れば、寝くたびれる」といつて、誰でも朝寝過ぎれば、頭は重く・身体はだるい。それで神経質は、試験勉強とかいふ時、頭の重い事に・氣のついたのを動機として、それから自分は、神経衰弱になつたかと思ひこみ、安静にしなければならぬと考へ、「保養と怠惰は、似て非なるものなり」といふ様に、朝寝をしたり・無精をして・なまけるために、益々其症状を自分で仕立てあげるやうなものである。(白揚社:森田正馬全集 第6巻 
p.177-178


 連休の時、「出かければお金がかかるし、どこも混んでいるし、疲れているから」とゴロゴロ寝ていてはかえって疲れるだけである。普段できない片付けや掃除をすると達成感がある。遠出しなくても、催し物を調べて見に行ったり、カメラをポケットに入れて季節の草花を探しながらミニハイキングをしたり、たまには将棋盤を引っ張り出して新聞の棋譜を並べてみたり、とお金をかけずに楽しめる方法はいくらでもある。神経質を生かして休日の過ごし方を工夫してみよう。

2018年10月22日 (月)

神経質礼賛 1558.多すぎる祝日

 来年の5月1日は新天皇即位のため特例で国民の祝日になる。そのため、昭和60年改訂の「祝日と祝日に挟まれた日は休日に」という祝日法のルールに従って、4月30日と5月2日も休日となって土曜日が休みの人は10連休になるのだそうだ。海外旅行好きの人はワクワクしてプランを考え始めたことだろう。また、旅行業界も大喜びである。


 しかし、医療関係では外来患者さんが薬を切らして症状を悪化させてしまうとか、連休前後に外来患者さんが集中して混乱するとか、救急病院には患者さんが溢れてなかなか診てもらえない事態が発生するとかといった問題が起こるのは目に見えている。5月病の出やすい時期に
10連休にしたら、休み明けに出社できない人が多発しそうだ。また、金融機関も長期間閉店となると、お金の引き出しや払い込みなどに支障をきたすだろう。連休の前日と連休明けには客が殺到する事態が予想される。


 ただでさえ、わが国の祝日は諸外国に比べて多く、年
17日は先進国の中ではトップである。ちなみにアメリカは10日、ヨーロッパ諸国は1ケタが多い。それに加えて「ハッピーマンデー」と称して月曜日を休みにして連休にしようとするから、やけに月曜日の休みが多くて、先月は2週続けて月曜祝休日があった。月曜が外来担当日の私の患者さんたちは不便していると思う。祝日を増やしても仕事の総量が減るわけではない。企業ではその分、中間管理職が残業や自宅作業や休日出勤をして埋め合わせなくてはならないだろう。本来もっと休むべき過労死予備軍の人たちをますます追い詰めてしまうだけである。「海の日」だの「山の日」だのといった、取って付けたような祝日は要らないし、第何月曜日などという祝日ならばそもそも意味がない。それよりも、「絵に描いた餅」になりがちな有休休暇をしっかり取って、趣味などでリフレッシュできるような仕組みにしていくことが大切なのではないだろうか。

2018年10月19日 (金)

神経質礼賛 1557.塩害

 1553話で三島の日大通りのイチョウの落葉について書いたが、最近のニュースによれば、どうやら台風24号の強風とそれによる塩害が原因らしいとのことだ。イチョウの黄葉の名所・横浜の日本大通りのイチョウ並木で台風24号の強風と塩害のために落葉してしまったという新聞記事があった。そこは海から近いから不思議ではない。三島の場合海から10kmほど離れているから、まさかと思ったが、三島でも風速30km以上の猛烈な強風が吹きつけたから、駿河湾の海水が吹き上げられてきて影響を受けたのだろう。


 ここにきて、関東・東海・近畿地方で時季外れのソメイヨシノの開花が報じられている。桜の花芽は7-8月に作られるが、気温が高くても、葉からのホルモンにより開花が抑制されている。それが、台風の強風や塩害により葉が落ちてしまい、抑制していたホルモンが送られなくなって、開花してしまったのだそうである。季節外れの桜に喜んでもいられない。塩害はコメや野菜の生育にもダメージを与える。時間が経って、今後、被害が明らかになってくると思われる。


 塩害は送電設備の漏電を招き停電の原因にもなる。今回の台風
24号で起きた大規模な停電は、単に強風による電線の損傷だけでなく、塩害もあったかもしれない。そして、住宅の屋根や外壁にもダメージを与える。私たちも他人事ではない。鉄筋コンクリートのビルやマンションでは鉄筋の腐食が進み、コンクリートひび割れを招く恐れがある。


 今年、強力な台風が次々と発生したのは海水温の上昇が原因である。すぐにこれを予防することはできないけれども、私たち一人一人が、温室効果ガス排出の削減、省エネを心掛けていく必要があるだろう。目先の利益しか考えず神経質が完全に欠落したトランプ大統領の言うように環境基準を甘くしていったら、人類は自分たちの首を絞めることになる。

«神経質礼賛 1556.漱石山房記念館と仙厓展

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