哲学の道を北に向かって歩いていく。若い頃は逆に銀閣寺の方から南向きに歩いていたものだ。一人で歩いていて、いつかは彼女と歩く日も来るのかな、やっぱり無理かなあ、などと思ったものだ。いつの間にか老人になってしまった夫婦が歩いていく。川べりの紅葉が鮮やかである。叶匠寿庵へ渡る橋の上にボランティアガイドの男性がいて、木の葉の舟を作って川に流していた。舟は紅葉のトンネルの下をゆっくりと流れていく。道路部分は時折自転車や郵便配達のバイクが通っていくけれども自動車は通れないので安心して歩ける。川沿いの遊歩道部分は二人並んで歩けるように敷石が並べてある。反対側から来た人とすれ違うには左右どちらかに避ければ済む。昔よりちょっぴり喫茶店や土産物屋が増えた感じはあるけれども、それでも落ち着いた感じで良い。銀閣寺に近づくにつれて、植えられている木は楓から桜に変化していく。春も良さそうである。
次なる目的地は白沙村荘。予定より20分ほど遅れていたため、昼食を先に済ませることにした。予約していた店で簡単なコース料理を食べる。他の客はいなくて、ゆったりできた。白沙村荘は日本画家・橋本関雪(1883-1945)の自宅兼アトリエのあった所で、三つの池を配した広い庭園の中に美術館、茶室、持仏堂などの建物がある。紅葉を楽しみながら庭園を一周してから美術館に入る。関雪の作品の他、コレクションが展示されている。2階に上がると庭園全体と東山のパノラマが広がっている。送り火で有名な大文字山も見える。テラスに出てしばし見とれる。美術館を出ると、すぐ銀閣寺前バス停がある。道路反対側にはタクシー乗り場があって客待ちのタクシーがずらっと並んでいる。だいぶ遅れて到着した市バスに乗って四条烏丸に向かう。
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