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2006年2月20日 (月)

神経質礼賛 14.神経質と「精神疾患」

 この頃、「こころの病」に対する関心が非常に高くなっている。国内の自殺者が年間3万人を超え、うつ病への関心はとりわけ高い。有名人がテレビ番組で、自身のうつ病体験やパニック障害体験を語る効果も大きいのだろう。また、前回述べたADHD(注意欠陥/多動性障害)やLD(学習障害)もよく知られるようになってきた。地方都市でも精神科クリニック(と言っても表向きは「神経内科」や「心療内科」だが)の開業が増え、気軽に受診できるようになりつつある。これはとても喜ばしい反面、神経質な人々がドクター・ショッピングに陥るのではないかという懸念もある。

 神経質人間は病気探しが得意である。ちょっとした身体の異変も病気ではないかと考え、「家庭の医学」の類の本を見ては、あれこれ自分で診断して大騒ぎする。まして、精神疾患ともなると、例えば、嫌なことがあれば誰しも気分が落ち込むのが普通であって、抑うつ気分は多かれ少なかれ誰にでもあるのだが、「うつ病になった」と元気に受診する神経質人間も少なくない。客観的に見ると、全くうつ病レベルではないのだが、本人は自分でうつ病の診断を下しているのである。私は、そういう人には、簡単な心理検査を行なってその場で結果を見せ、うつ病ではないし薬も必要ない旨、説明している。しかし、神経症がアメリカ流に「不安障害」と呼ばれるようになり、SSRIと呼ばれる新型抗うつ剤が不安障害にも多用されるようになってきた現状では、その程度でも「病気」として薬を処方して通院を勧める医師も多いのではないかと思われる。

 かつて、森田正馬先生は、「(自分のような神経衰弱の)病患者ほど悲惨なものはありません」と手紙で訴えてきた人に対して「神経質は病氣でなくて、こんな仕合せな事はありません」とコメントされている(白揚社:森田正馬全集第4p.386)。また、「自然良能を無視するの危険」という題で、「不眠を訴へる患者に対して、多くの立派な医者が、之に徒(いたずら)に、催眠剤を種々撰定して与へる事がある。而かも患者の不眠は、少しも良くはならない。この医者は単に不眠の治療といふ事のみに捉はれて、其人間全体を見る事を忘れたがためである。其患者の毎日の生活状態を聞きたゞして見ると、豈に計らんや患者は、毎日・熟眠が出来ないといひながら、十二時間以上も臥褥し、五時間・七時間位も睡眠して居るのである」と警告されている(森田正馬全集第7p.401)。

 私も微力ながら、「病気探しの迷宮」からの脱出にお手伝いができればと、思っている。

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