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2006年2月22日 (水)

神経質礼賛 15.ヒステリーの時代

 精神科外来には、時として、休養を要する旨の診断書が欲しくて受診する人がいる。私の外来に、30代の男性が「うつ病で仕事に行くのが嫌になった」と来院した。「診断書を書いて欲しい」とも言う。問診でも、心理検査でも病的な所見は認められず、「特に異常はないし、一旦休んでしまうとまた行くのが大変になるので休まないほうがよい」と話して診断書は書かなかった。すると、その人は数日後、私の公休日にもう一度受診して、他の医師に具合が悪いところをアピールして「うつ病のため、3ヶ月の休養を要す」という診断書を書いてもらった。その後は「毎日が日曜日」状態で、喜んでいたようだが、休養期限が切れると、また同じことになってしまった。もとより上司も仮病ではないかと疑っていたので、ついに退職するかどうかという問題に発展した。「休養と怠惰は似て非なるものなり」である。

森田正馬先生は、神経症を(森田)神経質とヒステリーに大別しており、ヒステリーは子供あるいは子供っぽい人格の人に起こるとしている。ヒステリーには失立、失声などの転換症状と、記憶喪失などの解離症状があるが、その心理機制として、「疾病利得」「疾病逃避」がある。つまり、病気だと、周囲が優しくいたわってくれるし、嫌なことをやらなくて済むのである。ちゃっかり生活保護を受けているヒステリーもいる。働かなくてよい、となると、ますます治るはずがない。小さい子供では嫌なことがあると「頭が痛いよー」「おなかが痛いよー」と言って泣くことがあるのは御存知のことと思う。「アルプスの少女ハイジ」に登場する歩けない女の子クララもヒステリーの一例である。

臨床の場で、最近は純粋な神経質が減っているとよく言われる。それに替わって人格未熟なヒステリー傾向の人が増えているのだろう。また前回の話ではないが「自称うつ病」も多いように思う。DSM(アメリカ精神医学会の診断基準)で、境界性・演技性・自己愛性といったB群パーソナリティ障害の診断基準を部分的に満たす人も少なくない。

渡辺利夫著(TBSブリタニカ)「神経症の時代」という森田療法関連の書籍があるが、平成時代は「ヒステリーの時代」であろう。世の中は、ゴネ得・目立ったもの勝ちの傾向が強く、ワガママ人間が大手を振って跋扈している。ついには国の代表を決める選挙までが、情報操作力と演技力だけで決まる時代となってしまった。今や神経質は貴重品・国の宝である。神経質の皆さん、宝の持ち腐れにならないよう、大いに神経質を生かしていきましょう。

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