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2006年4月28日 (金)

神経質礼賛 60.神経症の不眠

 不眠をきたす精神疾患は多い。統合失調症やうつ病といった精神病でよく見られる。しかし、「不眠」だけを主訴に精神科を受診する人は神経症性不眠の場合が多い。うつ病の不眠は、どちらかと言うと、中途覚醒・早朝覚醒タイプが多く、患者さんの家族に聞いても、実際に眠れていないことが裏付けられる。それに対して、神経症の不眠は入眠困難タイプが多く、本人は一睡もできなかったというが、家族に聞くと、「結構よく寝ている」ということもよくある。つまり、本当の不眠というより、眠れないことに対するこだわりや不安が強い「不眠恐怖」と言った方が適切かもしれない。森田療法的な指導としては、「睡眠は与えられただけとる」ということである。朝いつまでも寝ていていい、と誤解されては困る。規則正しい生活をしていれば、眠れようと眠れなかろうと問題ではない、ということなのである。前の晩に眠れなかったといっていつまでも横になっていたり、日中横になったりするのは禁物である。日中は、仕事や勉強などで忙しく活動していれば、自然と眠れるようになってくるものである。眠らないと次の日に差し支える、ということで、眠ろうと焦っても眠れるものではない。「羊が1匹、羊が2匹・・・」と数えるのも逆効果になりかねない。眠れなくても横になっていれば疲れは取れるのだから、と諦めきっていると、いつしか眠りに落ちるのである。

 神経質人間の私は、物心ついた頃からすでに不眠のことがよくあった。家族がみんな寝息をたてている中で自分一人だけ目が覚めていて小さい電球(ナツメ球)を見つめているのは心細かったものだ。その後、いつの間にか「朝型人間」の習慣が付き、夜は比較的早めに寝るようになった。しかし今でも特に理由もなくほとんど一睡もできない(と感じられる)日は時々ある。そういう時は、「まあ、こういう日もあるさ」と受け流している。

2006年4月24日 (月)

神経質礼賛 59.パチンコ依存症

 毎日新聞の記事(平成18年3月4日付朝刊)で、4月からパチンコ業界がパチンコ依存症の人のための無料電話相談を始める、というのが目に付いた。「リカバリーサポート・ネットワーク」というこの相談機関には、精神科医・弁護士・司法書士らが運営にあたるとのことである。パチンコにのめり込んでしまって、サラ金に借金を重ねて家庭崩壊を招いたり、パチンコ中に車の中に放置した乳幼児が熱中症などで死亡する事件が起こったりして、社会問題となっていることを受けてのことであろう。

 パチンコ業界とサラ金業界は不況知らずである。いや、不況になればなるほど儲かるという話もある。夜のTVでは、パチンコ屋とサラ金のCMだらけである。新聞の折込チラシも月曜日早々パチンコ屋のチラシが目立つ。

 パチンコ依存症・ギャンブル依存症を第一の主訴として外来に来る人にはまだお目にかかっていないが、外来患者さんの中には、パチンコに大金をつぎ込んでサラ金地獄に落ちた人、育児をほったらかしてパチンコ三昧の女性がいたりする。長い目で見て、パチンコでそう儲かるはずはない。昔の手打ちのパチンコと違って、今の電動台では短い時間に千円札、1万円札が消えていく。それでも、パチンコにハマる人は、大当たりの快感が忘れられないのだろう。

 その点、神経質人間はパチンコにはハマりにくい。損した記憶がしっかり焼きつくのである。私も学生時代、高田馬場や新宿で友人と飲んだ勢いでパチンコ屋に入ったことは何度かあった。だが、いずれも景品を取れるには至らず、以来パチンコ屋に入ったことはない。この時の学習効果で、無駄な時間と金を使って体中タバコ臭くなるという愚は繰り返さないのである。ことギャンブルに関しては、「マイナス思考」で深みにハマらないに越したことはない。

2006年4月21日 (金)

神経質礼賛 58.サプリメント

 ビタミン剤の売れ行きが頭打ちなのに対し、売り上げを伸ばしているのがサプリメント(栄養補助食品、健康補助食品)であろう。ドラッグストア以外でも販売されるようになってきた。私が時々行くパソコンショップまで店頭にサプリメントのコーナーができていたので驚いた。

 体内にごくわずかに存在する亜鉛が欠乏すると、味覚障害をきたしたり、生殖能力の低下を招いたりすることは、御存知の方も多いだろう。しかし、これまた偏食しなければ必要量は摂れるものであり、強精剤のつもりで摂取するのはどうかと思う。むしろ摂りすぎて体内に蓄積した場合の害も考えられる。クロレラを飲んでいる人はよくいるが、クロレラはビタミンKを含むため、心血管系疾患で抗凝固剤ワーファリンを服用している人は薬の効果が減弱するので要注意である。逆に「血液サラサラ効果」をうたったニンニク・ショウガなどは、ワーファリンの作用を増強しすぎる危険性がある。

 サプリメントに比べると「薬」的色彩が強いハーブも人気がある。ハーブも漢方薬と同様、長い歴史の中でふるいにかけられ、経験的に薬効があるものが使われているわけである。精神科に関係があるものではセント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)がある。これは天然のSSRI(新型抗うつ薬:第20話参照)とも言われており、不安・抑うつ・不眠に効果を示すといわれているが、SSRIと同様に他の薬剤との相互作用があるため、普段から何らかの治療薬を飲んでいる人は、薬剤師さんに相談した上で使用した方がよい。

 神経質人間はこういったものにハマりやすい。実際に効果があるものもあるが、多くは必要ないものである。プラセボ(偽薬)効果といって、薬効がなくても「よく効く」と思い込むと効果があるものである。特に値段が高いとそう思い込みやすい。よほどお金があり余っていれば別だが、業者にムダな献金をする必要はない。

神経質礼賛 57.ビタミン剤

 薬の相互作用が問題となることがあるため、外来の患者さんには、普段服用している薬を尋ねる。すると、ビタミン剤を買って飲んでいる人は少なくない。一頃の「ビタミンCをたくさん摂ると風邪をひかない」「ビタミンAやCを多く摂ればガンにならない」などといったビタミン信仰は薄れてきたが、それでもまだビタミン剤は根強く売れているようである。神経質な人では、時々、ビタミン剤マニアのような人にもお目にかかる。

 主なビタミンには大きく分けて、脂溶性のビタミンA・D・Eと水溶性のビタミンB・Cがある。疲労回復をうたった代表薬アリナミンの主成分はビタミンB1である。ビタミンB11日の必要量は1mgといわれており、25mg錠を3回も飲む意味はなく、余分な水溶性ビタミンは尿中に排泄されてしまうため、効果は疑問である。ビタミンB1が欠乏すると脚気となるが、普通に食事をしている限り、ビタミンB1不足となることはまずない。若者がカップ麺ばかり食べていると栄養失調になる、などと問題視されたこともあったが、最近のカップ麺は、そこそこビタミンB群も摂れて塩分も以前より少なくなっており、意外と健康食になってきている。ビタミンCは食品の酸化防止剤として使われていたりペットボトル飲料にも添加されていたりするため、野菜や果物以外のルートで知らずに摂取していることも多く、これまた不足する心配は少ない。水溶性ビタミンは過剰となる心配はないが、脂溶性のビタミンAを薬で摂りすぎると体内に蓄積してしまい、副作用も起こりうるので注意が必要である。

 通常の生活をしていれば、骨粗鬆症の人が服用するビタミンD剤以外は必要となるケースはまずないであろう。

2006年4月17日 (月)

神経質礼賛 56.薬の中のカフェイン

 前回はコーヒーやお茶のカフェインの話題だったが、今回は、薬の中のカフェインについて述べる。

 時々、若い女性で、頭痛薬や風邪薬を常用している人にお目にかかる。本来は頭痛・生理痛や風邪症状の時に服用するものであるが、薬が切れると調子が悪いといって常用してしまうのである。こういった人はカフェイン依存あるいはカフェイン中毒の可能性がある。

 医療機関でよく処方される風邪薬では古くからあるPL顆粒(塩野義)で1回服用分1g中に60mgのカフェインが含まれる。同様にSG顆粒(塩野義)では50mg、PG顆粒(大鵬)では30mgである。風邪症状の一つである頭痛を緩和するとともに、鼻水を抑制するために含まれている抗ヒスタミン剤による眠気を改善する目的でカフェインが含まれている。市販の風邪薬も同様である。一頃、若者の間で市販の風邪薬を大量に飲むという乱用が流行したが、これはカフェイン大量摂取によるカフェイン中毒を起こすものであり、また、他の成分の過量摂取による肝機能障害などの危険性がある。

 片頭痛治療薬にも補助成分としてカフェインが含まれているものがあり、カフェルゴット(ノバルティス)は1錠中100mg、ヘクト・M(杏林)では1回服用量の2錠中50mgのカフェインを含んでいる。いずれも1回の最大服用量はこの2倍である。

 通常の頭痛薬では、以前は有名なセデスG(一回服用分にカフェイン50mg含む)があり、常用している女性看護師さんによく処方箋を書かされたものだが、これは製造中止になった。市販の頭痛薬もカフェインを含んでいる。

カフェイン摂取量が250mgを超えるとカフェイン中毒のレベルであり、不眠・不安・めまいなどが起こる可能性がある。

 カフェインの過剰摂取は、不眠をきたす以外にも、パニック発作の誘因となる可能性があるので、神経症性不眠や不安神経症の方は特に気をつけたほうが良い。

2006年4月14日 (金)

神経質礼賛 55.カフェインの功罪

 外来の患者さんで、他の先生が担当していたが通院の曜日の都合で私の外来に回ってきた人がいる。不眠症が主訴で、抗不安薬と睡眠薬が処方されていたが、それでもなかなか寝付けない。カルテにはコーヒーはほとんど飲まない、とある。しかし、「お茶はどうですか?」と尋ねてみると、緑茶は大好きで、こだわりの高級なお茶を買ってきて夜もよく飲むと言う。残った仕事を家に持ち帰り片付けているが、お茶を飲むと頭がスッキリして仕事がはかどると言っておられた。どうやら、この人の不眠にはカフェインが関わっているようである。カフェインには覚醒作用や利尿作用や筋肉収縮作用があり、眠気防止・運動能力向上などの効果がある反面、交感神経刺激で心拍数が上昇して落ち着かなくなったり不眠をきたしたりすることもある。

 カフェインというと、一般にはコーヒーとコーラ、というように思われている。「スカット爽やか○○コーラ」のコマーシャルソングが浸透しているためだろうか。ところが栄養分析表を見ればわかる通り、紅茶のカフェインはコーヒー以上であるし、緑茶の中でも玉露は極めてカフェインを多く含んでいる。番茶・ほうじ茶といった安いお茶はカフェインが少ない。お茶による不眠は意外と盲点である。江戸時代、ペリーの黒船に驚く幕府をからかった狂歌「泰平の ねむりをさます 上喜撰 たった四はいで 夜も眠れず」は黒船の蒸気船と高級茶の上喜撰をかけたものであることは日本史で勉強されて知っている方が多いと思う。最近は緑茶の成分カテキンがもてはやされたり、カフェインによる脂肪燃焼効果が注目されたりで、健康飲料ということではあるが、やはりほどほどにすることが大切である。

 なお、私もお茶は好きで、前述の人のような高級茶は買わないが、毎年新茶が出るシーズンに茶問屋で煎茶を5kgまとめ買いするのが常である。あらかじめ200gずつパック詰めしてもらい、冷蔵庫で保管する。こうすると、一年中、香り高いおいしいお茶が飲めるのである。

神経質礼賛 54.ようやくアップ

 第22話で、原稿作成中でまだブログとしてアップしていないと書いたが、ようやく、第51話まで原稿を作ったところで、最初の11話分をアップした。原稿を打ち始めてから半年以上経過している。時事ネタでは少々古くなってカビが生えているような話もある。まさに「神経質は重い車」という森田正馬先生のたとえの通りである。

 まだ、誰にもブログを作ったことは話していないので、いつ気付かれるか、というのが楽しみである。特に、第39話で登場したメンタルヘルス岡本記念財団のmandy氏に、いつ気付かれるか楽しみである。

 アップ後、2週間ほどしてから、「神経質」をキーワードに検索サイトで調べてみると、いくつかのサイトでは、このブログが最初のページで検索できた。一方、「神経症」のキーワードでは全く引っかからない。「神経質」よりも「神経症」というキーワードで検索する人の方が圧倒的に多いと思われるので、一般の人々に知られる可能性は極めて低いであろう。最初についたトラックバックも森田療法の関係者からではなく、風俗店の宣伝らしきものであった。

 あまり人に知られることはなくても、細く長く続けていきたいと思っている。

2006年4月10日 (月)

神経質礼賛 53.ストレスについて

 前の話の「雨」は日常生活の中でのちょっとしたストレスの一つである。もっと大きいのは「人間関係のストレス」や「仕事上のストレス」であろう。社会的地位の高い人が、万引きや猥褻行為などで捕まると、決まって「ストレスがたまっていたから」と供述する。また、ストレスは身体疾患や精神疾患の原因として悪玉扱いにされることが多いが、ストレスはいつも悪玉なのだろうか。

 仕事が多忙でいつも「大変だ大変だ」とこぼしていた人が定年退職となり、急にストレスから開放されたのはよかったが、何をしてよいかわからず、つい昼間からアルコールに手が出るようになり、アルコール依存症として家族に連れられ精神科外来に来る、というケースを時々見かける。これは適度にストレスがあった方が良いという例である。ストレスがなさ過ぎるとボケやすい、という説もある。それに、ストレスは必ずしも絶対的なものではなく、ある程度相対的なものであり、慣れ、という面もあるものだ。ストレスに慣れてくると、新たなストレスがそれほど大きく感じられないことがある。逆に大きなストレスがなくなった時、今度はそれまでそれほど大きいと感じなかった別のストレスが大きく感じられてくることもある。ストレスを数値化した報告もあるが、これは個人差や状況による差が大きいし、複数のストレスがあった場合、1+1=2となるわけではなく、3になることもあれば1.5になることもあるであろう。

森田先生の言われる「生の欲望」・・・死にたくない・よりよく生きたい・人から認められたい・出世したい・もっと知りたい・等々に沿って行動していけば、どうしてもストレスに直面することになる。一種の抵抗力のようなものである。よりよく生きようとすれば、ガマンしなければならないことも多くなるし、対人関係をうまくこなしていかなければならない。だから、ストレスが多いというのは充実した生活を送っているという証でもあるのだ。

2006年4月 7日 (金)

神経質礼賛 52.雨の日の外来

 勤務先の病院で外来受診者数が多いのは月曜日と土曜日である。これは、他の医療機関でも同じだろうと思う。今は週休2日で、土曜日が休日、という人も多いので、サラリーマンの場合、土曜日が受診しやすい。公立病院は土曜休診の所が多く、土曜日に診察している民間病院やクリニックに患者さんが集まることになる。どの診療科目でもそうであるように、月曜日は、土日に調子が悪くなった人が来るということもあるし、精神科特有のものとしては、休み明けは仕事や学校に行く元気がなくて受診するケースもあって、多くなるのであろう。

 初診の患者数について言えば、曜日以外に天候によっても左右されるような気がする。統計を取ったわけではないので、あくまでも印象であるが、どんより曇っていたり、雨が降る日の方が、初診の患者さんが多いように思う。からっと晴れた日には、初診の人数自体は少ないが、比較的遠方から森田療法を希望して患者さんが来ることが時々ある、という印象である。天気が良いと、遠くまで足をのばしてみようという気になるからだろうか。

 雨というのは自然のストレスである。さあ、これから仕事や学校に行こう、という時に雨が降っていたのでは、元気をそがれるものである。職場や学校に行くまでに余分なエネルギーを消費してしまう。しかし天候ばかりはどうにもならない。気分が晴れないのは患者さんばかりでなく、こちらも同様なのである。森田療法では、気分(症状)は天気のようなものでどうしようもないのだから、気分はそのままに、その場その場でやるべきことをやっていくよう、説いている。必ずまた晴れの日はやってくる。

2006年4月 3日 (月)

神経質礼賛 51.折り畳み傘

 天気予報の降水確率が50%という時、皆さんは傘を持って外出しますか?

神経質な私の場合、当直の日に持っていくバックには天気予報の如何にかかわらず必ず折り畳み傘を入れてある。一晩あるいは二晩当直で病院に泊まっている間に気候がまるで変わってしまうことはよくあることなので、必ず入れておくのである。当直がない日には、絶対に雨が降らないと確信できる日だけはずして、それ以外は軽い折り畳み傘を入れている。降水確率0%でも、局地的な前線が発生して大雨が降るということもたまにはある。こればかりはどうしようもない。数年に一度は、あわてて傘を買う、という事が起る。雨が降っていなくても傘を持ち歩く日数の多さでその人の神経質度が判定できそうである。

 最近の折り畳み傘は、小型・軽量になってきていて、3つ折タイプのものが多くなってきている。このタイプは小さなバックにも入れられて便利な反面、畳んだ時に傘立てに立てられないのと風に弱いのが欠点である。どこかに立ち寄ったり、電車やバスに乗る時は、従来の2つ折りタイプの方が便利であるが、だんだん店頭から姿を消しつつあり、入手しにくくなっている。風も強そうな時には、折り畳み傘をあきらめて大きな傘を持ち歩くことにしている。

 雨に備えて傘を持ち歩くのは、大げさな言い方をすれば、一種の保険である。持ち歩く手間という保険料を払って、雨というリスクに備えるわけである。これも神経質人間の得意技のひとつである。

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