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2006年7月 7日 (金)

神経質礼賛 82.男おいどん

 私が中学から高校生の頃、少年漫画雑誌に松本零士さんの「男おいどん」が連載されていた。後に「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」で有名になった松本さんの作品である。主人公の大山昇太は九州から単身上京し、古ぼけた「下宿館」の四畳半に住み、自活している。下宿館の家主バーサンだけが、おいどんを暖かく見守ってくれる。しかし、アルバイト先はすぐにクビになってしまうし、夜間高校も授業料が払えず中退し、復学もむずかしい状況である。下宿館には、大学生や浪人生が入ってくるが、しばらくすると新しいアパートに移っていってしまう。次から次へ美女が現れ、おいどん君にも春が来たように見えるが、いつもはかない夢と消えてしまう。それでも志は曲げず、何もない部屋の押入れのパンツの山の奥には、学生服と学帽が御本尊として鎮座している。おいどん君は作者である松本さんの分身なのだろう。松本さんは漫画で身を立てるため、夜汽車に乗って単身上京している。頼れるものは自分以外ない。辛くてへこたれそうな時には、主人公と同様「なにくそ、今に見とれー」と歯を食いしばってがんばってきたに違いない。この歯を食いしばる、という言葉は、もはや若い世代には通じない言葉かもしれない。日本人の若者の顔は「小顔」に変化してきたそうで、専門の歯科医によると、柔らかいものばかり食べて顎を使わなくなったためだそうだが、歯を食いしばってがんばることをしなくなったのも一因ではないかと私は思う。

 おいどんは決して大胆な青年ではない。劣等感が強く、他人の目を気にし、小さいことをクヨクヨ考えてしまう、どちらかというと神経質な青年である。しかし、九州男児たるもの男らしくしなければ、という信念に沿って、追い詰められると、行動力を示す。ある意味、武士道精神のようなものがおいどんを支えている。今の日本にはこれが欠落してしまっているように思う。自己愛で他人を見下す若者ばかりでなく、その親世代でもこれが失われているのではないだろうか。

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コメント

私は中学生の頃、コミック本になった
男おいどんを全巻持ってました。
記事を読ませていただいて
あの当時のことを懐かしく
思い出しました。

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