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2006年10月 6日 (金)

神経質礼賛 112.「仕方ない」は嫌い

 今回は前回の話とは逆である。

私の外来に10年以上通院している強迫性障害の大物女性がいる。感情過多でいわゆるヒステリー性格でもある。極めて強力な確認強迫・不完全恐怖があり、家族を巻き込んでの確認を繰り返す。大事なものを捨ててしまうのではないかと不安で、郵便物や市の広報などが捨てられず、何年分も溜まってしまっている。児童手当などの必要な手続き関係は確認行為のため滞りがちである。当然、SSRIによる薬物療法を某病院で受けているのだが、それだけでは物足りないらしく、2、3ヶ月に一回、はるばる遠方から通院して来る。それもご主人とお子さん連れ、一家総出の一日仕事である。1回の診察時間は1時間では済まない。診察室にはまず本人が子供さんを連れて入り、本人は次々と症状を訴え、さらに夫のズボラさを攻撃する。退屈した子どもたちが「もう帰ろうよう」を繰り返すのだが、本人は意に介さず、不満を連射する。夫が暴力を振るった、ドメスティックバイオレンスだ、と状況を一人で再現して見せる(実際は夫が強迫行為を止めようとした場合が多いと思われるが)。そして「離婚するしかないでしょ」「先生もそう思うでしょ」を連発する。最後のクライマックスは夫が入室し、そこで夫との激しい口論となる。夫は防戦一方である。私が仲裁して(判決を下して?)やっと舞台の幕が降りる。「演技性人格障害」とはよく言ったもので、彼女は主演女優さながらである。

彼女の語録に「私は『仕方がない』とか『あきらめる』いう言葉は大嫌いなの。絶対に許せないの」というのがある。これはまさに「ないものねだり」である。どうにもならないことはいくらでもあるのだ。前回の森田先生の言葉を思い返して彼女の言葉を見れば、これでは治りようがない。彼女が夫のズボラさを少し学び、夫が彼女の完全主義を少し学べばとてもうまくいくはずなのだが。

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