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2007年3月 9日 (金)

神経質礼賛 163.心機一転

 平成19年2月27日付読売新聞朝刊1面の「日本 第2部 格差を越えて」というコラムに「引きこもり 今は社長」という興味深い記事が掲載されていた。現在は従業員100人をかかえるIT企業の社長の話である。中学2年の時に友人とのケンカをきっかけに孤立し、他人と接するのが怖くなり、高校もすぐに中退し、3年間ひきこもりだったという。転機は、人と会わずに済む画家になろうと美大受験を思い立ち、学費を稼ぐため人目につかない早朝の新聞配達をするようになったことである。規則正しい生活が身に付き、自信がついた。ひきこもり時代にパソコンの知識をつけていたためIT企業を起こして大成功したが、今でも人と会うのは苦手だと言う。

 この社長の場合、もともと神経質傾向(森田先生の言われた「ヒポコンドリー性基調」)があって、友人とのケンカをきっかけに対人恐怖となり、ひきこもり状態になってしまったと考えられる。しかし、よりよく生きたい・自己実現したいという「生の欲望」に引かれてアルバイトなどの行動していくうちに規則正しい生活習慣が身につき、ビクビクハラハラのまま仕方なしに仕事しているうちに神経質を生かして成功したということだと思う。この人が森田療法を知っていたかどうかはわからないが、まさに森田療法そのものである。森田的新聞配達療法と言ってもよいであろう。仮にこの人が精神科クリニックを受診して「社会不安障害」と診断されSSRIを投与されたとしたら、症状は良くなったかもしれないし、それで高校、大学と順調にいったかもしれない。しかし、苦しみながら自分の力で症状を乗り越えてこそ、今の成功があるのではないだろうか。

 森田先生は次のように言っておられる。「心機一転とは、平生・内向性の心が、次第に変化して、或機会に一転して外向的となる事である。其手段としては、第一に自分の病状を言はない事、書かない事で、第二には仕事に乗りきる事の二つである。(白揚社:森田正馬全集 第4巻 p.329)」

 グチをこぼしているうちは良くはならない。最初は嫌であっても仕事に手を出していくうちに、いつしか注意が外に向くようになる。自転車が走り始める時は大変だが、一旦動き始めれば前へ前へと自然に走っていくのと似ている。何でも病名をつけて「病気」にして、さあ薬を飲め、の時代ではあるが、神経症的なひきこもりには仕事が一番の処方箋であろう。

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コメント

先生、いつも楽しく拝見しています。
とりわけ今日の「心機一転」は感銘したので、
僕の掲示板に紹介させていただきました。
http://8105.teacup.com/happynewday/bbs
「新聞配達療法」いいですね!

抗うつ剤などの薬は副作用が必ずありますが、
この療法はそれがなく、体まで鍛えられますね。
かなりのうつ病患者がこの療法で治ってしまうものと
僕などは体験的に思います。

ただし、ちゃんと朝起きられればの話ですが(涙)。

keizo様
 いつもコメントいただきありがとうございます。神経症の方やうつ病が遷延化(神経症化)している方には適度な仕事が有益だと考えます。ただし、中等度以上のうつ病・うつ状態の方の場合、まず、休養が第一です。エネルギーがない状態でがんばれ、というのはムリです。うつ病の人を励ましてはいけないという大原則があります。そういう方には「今は休むのがあなたの仕事です」と申し上げています。その点、補足させていただきます。

 keizo様の掲示板「A HAPPY NEW DAY」はいつも拝見しております。最近の話題「タミフル備蓄の怪」は深刻な問題です。中学生がタミフル服用後、マンションから飛び降りて亡くなる事例が続いています。もし生存していれば、服用後にどのようなことがあったのかわかるのですが、現時点では、おそらく幻覚が起こっていたのではないかと推測する他ありません。今週になって、やっと、タミフル処方時には注意を喚起する文書(といっても小さな紙切れ)を患者さん(あるいは家族)に渡すことになりました。政府も大量備蓄した手前、今さら薬害を認めたくないのでは、と勘ぐってしまいます。

 このような問題は実は新型抗うつ薬SSRIでも起こっています。服用中の人が、突然不可解な自殺を遂げたり、犯罪を犯すというようなことです。精神錯乱を起こす可能性もゼロとは言い切れません。イギリスではSSRI「パキシル」服用中の青少年の自殺が問題になり、未成年への投与は禁忌となりました。日本でも少し遅れて、現在は禁忌となっています。

 やはり薬物投与は必要最小限にすべきで、特に青少年に対する投与は慎重にすべきだと考えております。

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