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2007年4月 5日 (木)

神経質礼賛 172.レオナルド・ダ・ヴィンチ展

 医師数の少ない病院に勤務していると、外来担当日・病棟診察日の都合上、まとまった休みは取りにくい。私の勤務先では夏休みはなく、年末年始休暇は大晦日と正月三が日だけであり、未使用の有給休暇はたまるばかりである。先日、久しぶりに有休を取って、日帰りで東京に出かけた。目指すは「受胎告知」が展示されている上野・国立博物館のレオナルド・ダ・ヴィンチ展である。多分、混むだろうと思って開館前に行ってみると、もう長い行列ができている。手荷物検査はX線で行っているとのことで、開館後もなかなか前に進まない。連れてきた子供からはブーイングである。やっと中に入ると、人の波である。ゆっくり立ち止まって見ることはできなかったが、人物の毛髪などは細かく描き込まれていて実に見事だった。この絵は20年ほど前、新婚旅行で立ち寄ったウフィツィ美術館で見たはずである。しかし数多くの歴史的名画を展示しているウフィツィ美術館の中ではボッテチェリの「春」や「ヴィーナスの誕生」の方が強く印象に残ってしまっていた。改めて「受胎告知」だけを見てみると、そのすばらしさがよくわかる。その後は別の棟で、ダ・ヴィンチ設計の品々の模型や手稿などを見た。展示を見終わって入口の方を見れば、もう行列はなかった。

 「受胎告知」はダ・ヴィンチが20歳頃、つまり初期の作品である。すでに彼特有の空気遠近法や一点消失遠近法といった技法が用いられているという。私のような素人が見て、目に付くのは天使の翼である。宗教画によくある白く優美な翼ではなく、まるで鷹の羽のような翼である。自然科学に強い関心を持っていた彼ならではのリアリティ追求から出た発想だろうか。

 画家としてのダ・ヴィンチは「モナリザ」や「最後の晩餐」であまりにも有名だが、残っている作品数は少ない。仕事のペースが遅かったと言われている。科学者・発明家・軍事技術者としての顔もある。彼は私生児として生まれ母親と離され教育と言えるようなものは受けていないが、自然をつぶさに観察しほとんど独学での研究ぶりや斬新な発想には驚く。もし、彼が今の時代に生まれて教育を受けていたらどんな仕事をするだろうか。

 ダ・ヴィンチは歴史的な大天才ではあるが、努力なしで傑作を残せたのではない。あくなき探究心と粘り強い努力あってのことである。森田正馬先生の色紙にこんな言葉がある。「常に何かを食ひたいと思ふ人は健康な人であり 常に何かを知りたがり疑ひ考へ工夫する人は精神優秀なる人なり」 神経質の凡人としては生の欲望に沿って、地道に行動していく他ない。

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