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2008年2月22日 (金)

神経質礼賛 278.イージス艦事故

 2月19日早朝、自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船と衝突し、漁船は沈没、乗組員2人が行方不明となる事故が起きた。位置関係からすると、イージス艦側の回避義務が大きかったらしい。最新鋭レーダーなどのハイテク機器を備えた艦船がこんなことでは困る。日本近海には某国の工作船がいることだし、もしも自爆テロの船がぶつかってきたら避けられないだろう。20日付の読売新聞朝刊コラム「編集手帳」では、国の防衛をヴァイオリンに喩えて、楽器の表板と裏板の間で音を伝えるのに最も重要な働きをする魂柱が欠落したようなもの、と批判している。

魂柱(こんちゅう)について補足説明をするとヴァイオリンの表板と裏板の間にある丸い木の棒のことで、この棒は接着されていない。挟まっているだけである。そのわずかなズレで音がこもって響かなくなってしまう。ヴァイオリン職人は細長いフォークのような道具を表板の「f字孔」から差し入れて魂柱の位置を微妙に調整する。腕のいい職人さんに調整を頼むと、まるで別の楽器のようによく鳴るようになったりもする。今回の場合で言えば、魂柱がない、というよりも、それを適正に調整する能力を持った職人、すなわち優れた指揮官がいない、と言った方がより適切かと思う。

同じ19日のTVニュースでは、昨年12月にヘリ搭載護衛艦「しらね」で火災が起きて戦闘指揮所が全焼した原因が、無許可で持ち込まれた私物の中国製冷温庫の過熱によるものだったと報じていた。修復には200-300億円もかかるという。緊張感の不足、神経質の不足が蔓延している。

軍人は勇猛で大胆であればよい、というものでもない。特に上に立つ人間ほど緻密さや神経質さも必要である。軍人の気の緩みや判断ミスは大きな人的・経済的損害を出す。

かつて強迫観念のため森田正馬先生の治療を受けた軍人さんは何人もいた。退院後も月1回の形外会に参加していた黒川邦輔陸軍大尉は全治者として、会員たちにとても尊敬されていた。息子さんの名付け親は森田先生である。やがて陸軍少佐に昇進。最後はビルマ派遣師団参謀長となり、飛行機事故で亡くなっている。森田正馬全集第5巻には黒川大尉の発言が散見する。上官にも神経質な人がいて、森田先生の治療を詳しく知りたがったというエピソードもある。黒川大尉は神経質性格を大いに礼賛していた。

いくら高性能なハイテク機器でも鈍感力人間たちが動かしていたのではこういう事故も起こる。本当に必要なのは神経質ではないだろうか。

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コメント

初めまして 神経質な人間です。
最近「死」が怖いと思い始めてずっとそれしか頭にありません。

どうすればよいでしょうか。

AAC様
 以前、第90話で書きましたが、頓智で有名な江戸時代の名僧・仙真は臨終の際、「死にともない、死にともない」と言ったと伝えられています。森田正馬先生も「死にたくない、死にたくない」と言って亡くなったと伝えられています。森田先生の色紙に「死は恐ろし 恐れざるを得ず」というものがあります。死が恐ろしいのはAAC様だけではありません。私だって怖いです。しかし、死の恐怖は生の欲望の裏返しでもあります。よりよく生きたいから、死が怖いのです。
 「死を恐ろしくないようにしよう」というのは森田の言う「思想の矛盾」であり、これが強迫観念の原因です。死は恐ろしいという事実を素直に認めて、死を恐れながら少しでもより充実した一日が過ごせるよう、仕事や勉強や趣味に取り組んでいくことが大切でしょう。
 神経質は暇にしていてはいけません。まわりを見渡せばやるべきことはいくらでもあります。私も死は怖いけれど、そんな考えにかまっているヒマがないので、普段気にならないだけのことです。ぜひ、仕事を見つけて行動してみて下さい。

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