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2008年2月 6日 (水)

神経質礼賛 273.殺虫剤入り餃子

 大学病院勤務時代は何度か有機リン系農薬による自殺未遂患者に遭遇することがあった。当直中に救急部からコールがあるのだが、救急専門医が常駐しているので迅速な処置が行われる。精神科医はひとまず家族から生活状況を聞き取り、身体的治療が一通り終わり本人の意識が回復してからが出番となる。自殺目的で精神科薬の大量服薬では古い三環系抗うつ薬以外はまず生命的に危ないことはないのだが、有機リン系農薬は少量でも意識障害や呼吸障害をきたして致死的となることがあるから恐ろしい。悪心・嘔吐の他に瞳孔の縮小が特徴的で、重症例ではサリン中毒の解毒剤としても使われるPAM(プラリドキシム)の静脈注射が有効である。

 先月、中国産冷凍餃子を食べた一家が日本国内では使われていない有機リン系殺虫剤メタミドホスによる中毒症状を起こし、うち一人の子供が意識不明の重体となった。先に述べたような縮瞳もみられていた。幸い危険な状態は脱出したようだが、神経症状は残っているとのことである。製造元の中国で意図的に混入されたのではないかという見方もあり、厚労大臣が中国での犯罪を強く疑うような発言をして、中国側からは日本の謀略だと強い反発も出ている。反日感情が強い国に対して証拠が揃っていない現段階でそのような発言をするのは神経質が足りなすぎる。下手をすれば外交問題にもなりかねない。さらに今朝の報道では回収した商品から別の有機リン系殺虫剤ジクロルボスが検出され、これは毒性が低く日本国内でも使用されているものとのことで、真相はまだわかっていない。

 日本の台所は中国や東南アジアに大きく依存しているのが現状で、もはや食品の輸入をストップするわけにはいかない。中国製は危ないという人もいるが、ベトナム製が安全だとも言えないだろうし、国産品だって種々の食品偽装事件を見れば大丈夫といい切れるかどうか疑問である。私が問題にしたいのは、この輸入餃子で異臭や味の異常のクレームが昨年10月頃から出ていたのに十分な対応がなされていなかった点である。特に生協は昨年ミートホープ牛肉偽装事件にもからんで反省の弁を述べているのに、今回いくつかのクレームにもかかわらず回収を行わず、被害を出してしまっている。前の失敗が生かせていない。食品の安全に「鈍感力」ではいけない。海外生産品を輸入するのはやむを得ないが、現地の生産体制に問題はないか、輸入後の流通ルートに問題はないか目を光らせ、トラブル発生時にはすみやかに公表して商品を回収する、といった神経質さが必要である。目先の利益を優先して手抜きをすれば、結局大きなツケが回ってくるのである。

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