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2008年3月28日 (金)

神経質礼賛 289.共依存

現在勤務している病院は民間の精神科病院なので、全国平均と同様、入院患者さんの6割程度を統合失調症の患者さんが占めている。アルコール依存症を専門とする病院は県内にあるのだが、それでも年に1人か2人はアルコール依存症の入院患者さんを担当することになる。それも定年退職後の男性が多い。典型的な会社人間が退職してしまうと張り詰めていた気持ちにぽっかり穴があいて、そこにアルコールが入り込み、いつの間にか連続飲酒状態となり、家族に対する暴言・暴力などの問題行動が出現したり、肝障害などの内科疾患にかかったり、転倒による骨折をきたしたりして初めて精神科を受診するケースがよく見られる。

こうしたアルコール依存男性の奥さんには共通点が多い。夫の前では何も言わないが、夫と別に話を聞くと、堰を切ったように涙を流しながら話し出す。夫から暴力を振るわれてもそれに耐えて甲斐甲斐しく世話をする。夫の外での不始末は全部尻拭いし、アルコールの問題を隠そうとする。夫が働かなかったり、愛人を作ったりしても、一生懸命パートで働いて家計をやりくりする。できた奥さん、と周囲から高く評価されるのだが、これが結果的には夫の飲酒行動を助けてしまうことになるのだ。人に頼られ必要とされることばかりに自己の価値を求め、そうでないと強い不安に駆られるようなことになっていて、これは共依存と呼ばれる。共依存という不健康な関係に気付き、過度な世話や尻拭いをやめることが本人の苦しみを軽減するばかりでなく夫のアルコール依存を改善するのだ。場合によっては別居することが切り札となることもある。

 先週の読売新聞・医療ルネサンスでは恋愛依存やアルコール依存の問題を扱っていて、共依存の問題に触れていた。DV(ドメスティックヴァイオレンス)でも女性側がダメな男性を世話することに自分の価値を見出してしまうと、かえって男性の暴力を助長してしまっている可能性がある。

 また、社会的ひきこもり青年の母親にも、共依存の関係がみられることがある。ひきこもり青年に安易に「うつ病」の診断をつけてSSRIを処方すれば解決する問題ではなく、家族システムの修正を必要とすることの方が多いような気がする。医療というよりは家族ぐるみの再教育が大切だと思う。

 なお、神経質人間の場合、パーソナリティ特性からして共依存にはなりにくいだろうと思われるが、アルコール依存症そのものになる危険性は誰でもあるので用心するにこしたことはない。

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コメント

こんにちは!最近、ひきこもりの若者による犯罪が記事を賑わせていますが、家族同士がどういう関係で日常を送っているのだろうと考えてしまいます。各人の個が無くて、全員が過剰に密着しているのかな、と。私見ですがドイツにいたころ、全ての人が自立した上であらゆる関係が成立していた気がしました。「共依存」も日本の文化・風土に基づいたものなのでしょうか。

貴重なコメントありがとうございます。確かに共依存は日本の文化・風土では生じやすい現象かもしれません。今日も東京で一家心中事件がありましたが、個人が自立した欧米社会では、心中というのは全く理解されないことです。ひきこもり青年の場合、親は見えない糸で子供を縛ろうとし、子供はそれに反発しながらも依存して、自己愛の殻に閉じこもっているようにも思えます。

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