神経質礼賛 310.笑って青山を望めば
笑望青山山亦笑 泣臨碧水水亦泣
(笑って青山を望めば山また笑い 泣いて碧水に臨めば水また泣く)
これは森田正馬先生が患者さんの指導の際に引用された漢詩である。
神経質人間の中には、自分の心を偽るのは嫌だ、という人がいる。そういう人は、気分が悪い時には仏頂面になりがちであり、そうなると周囲の雰囲気を暗くし、結局自分に返ってきてしまう。私自身、若い頃はそういう面があった。今でも時々反省することがある。大人であれば多少イヤなことがあってもそれをなるべく顔に出さず、かなり辛い時でも「顔で笑って心で泣いて」ができるものである。よくしたもので作り笑顔であってもそれを続けていれば気分もいつの間にか晴れてくるものである。
やはり森田先生がよく引用された心理学者ウイリアムス・ジェームズの言葉、人は悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ(「心理学の原理」より)も一理ある。これを笑いに置き換えれば、笑うから楽しいのだ、ということにもなるだろう。
最近、笑いの効用が話題になる。笑いが免疫学的にもよい作用をもたらすという研究もある。やはり「笑う門には福来たる」「笑って損した者なし」という格言は経験則なのだろう。どうもツキがない、いいことがない、と嘆く方は、意識して笑うことを心がけたらどうだろうか。もちろん、TPOをわきまえて、不適切な場面で笑ってはいけないが、その辺は神経質人間ならば大丈夫であろう。
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