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2008年5月12日 (月)

神経質礼賛 305.モラル・ハザード

 近頃、モラル・ハザードという言葉をよく聞く。小中学校でお金があっても給食費を払わない親の問題、公立高校で授業料未納問題、つい最近では「ゴキブリが出て困る」と110番通報して警官に自室のゴキブリ退治をさせる若者やタクシー代わりにパトカーを呼ぶ輩の問題、など使われる場面に事欠かない。こういった「倫理崩壊」という意味での使い方は本来の「モラル・ハザード」にはなく誤用だったのが一人歩きしてしまったらしい。

 モラル・ハザードは保険業界の用語だそうだ。保険のしくみのおかげでリスクを回避できるのだが、そのために注意を怠り、事故がふえてしまう、ということを指している。金融の世界でもセーフティーネットを見越して、金融関係者、場合によっては利用者がセーフティーネットを悪用するような行動を取ることにも使われる。

 神経症もモラル・ハザードのような部分があるのではないだろうか。確認することは事故や失敗を回避するのに役立つのだが、強迫神経症の確認行為は儀式化してしまい、それで一時的な安心感を得るだけのものとなり、確認が役に立たないばかりか生活に支障をきたすことになる。神経症全般によくあるドクターショッピングは健康保険の無駄遣いでもあり、「倫理崩壊」に近い場合もあるだろう。「症状」を捜し出してモグラ叩きをしているうちは決してよくならない。

森田正馬先生は患者さんを指導する際に孔子の「道は近きにありて之を遠きに求め、事は易きにありて之を難きに求む」という言葉をよく引用された。そしてフロイトの精神分析を「遠きに求め・難きに求め」であると批判されているのだが、薬物偏重の現代の治療もそうではないと言い切れるだろうか?森田療法では「症状」をよくしようとすることをやめ、仕事や勉強や日常生活に神経質を生かしていくようにしていく。それが実は「道は近きにあり」であり「事は易きにあり」なのである。その結果として「症状」は忘れられた存在となり、仕事や勉強や日常生活が面白いようにはかどるようになるのだ。一石二鳥どころか三鳥にも四鳥にもなる。医療費削減に躍起になっている厚生労働省さんもローコストな森田療法を勉強された方がよい。

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コメント

先生こんにちは!口内の出血が止まらない状態でコメントを書きます(泣)。知り合いの人が「森田療法は禅の思想を受け継いでいるから厳しい!」と言っていました。ある意味、的確なコメントかもしれません。やはり生活の中に「自立と自律」がなければ倫理も健康も崩壊し、結果として膨大な医療費がかかってしまうことになるでしょう。今日は医療センターで抜歯の手術を受けました。とある科の医師名のところに高校まで同級生だった男性の名前が・・・。理工学部が合わなくて、H松医科大学を受験するという決意を電話で聞いたことを思い出しました(大昔)。初志貫徹されて立派なお医者さんになられたようで嬉しいです。

コメントありがとうございます。親不知の抜歯でしょうか。出血が止まらないのは気持ちが悪いものです。早くスッキリするといいですね。
森田療法は厳しい、というのは本人のヤル気次第だからです。かつては私も血気盛んな「森田原理主義」(?)でしたから、「心臓がバクバクして死にそうだ」と作業に行かずにフトンを被って寝ている患者さんを「あんたは何しにここに来てるんだ!」と一喝して、ベッドから引きずりおろして作業に引っ張っていったものです。今はこんなパワーはないですけど。H松医大の講義室には「鬼手仏心」という書が掛かっていました。外科医向きの言葉ですけど、森田療法もそんな厳しさがあるでしょうか。もっとも最近の治療者たちは皆「大甘」です。
 同級生だった方が医療センター勤務されているのですか。理工学部からの転進者は結構多いです。もっとも私のように社会人やってからだと年が多くて苦労しますが。人生回り道もどこかで役に立つところもあるかと思います。

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