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2008年5月19日 (月)

神経質礼賛 307.神経質なラフマニノフ

 作曲家には神経質人間が多い。以前にもショスタコーヴィチ(138話)、グリーグ(156話)、シベリウス(157話)を取り上げていて、そのうち神経質作曲家列伝でも書こうか、と思いながら中断してしまった。前話でピアニストを書いた関係で、今回は歴史的な大ピアニストで作曲家のラフマニノフの話である。

 クラシック音楽に全く興味がない人でも、彼の代表作「ピアノ協奏曲第2番」や「パガニーニの主題による狂詩曲」のロマンティックな旋律を聞けば、「あっ、この曲知っている!」と思うはずだ。というのも、映画音楽、テレビコマーシャルやドラマのBGM、フィギュアスケートの音楽としてあまりにも多用されているからである。そういえば「のだめカンタービレ」のテレビドラマ版で、千秋真一がピアノ協奏曲第2番を演奏する場面があったし、2台ピアノ編曲版でのだめと千秋が練習する場面もあった。

 セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)はロシア貴族の出身だが、幼少時に家は没落、破産している。内向的で厳格な母親からピアノの手ほどきを受け、やがて18歳でモスクワ音楽院ピアノ科を主席で卒業。この時、次席だったのは、やはり歴史的大ピアニストとなるスクリャービンだった。さらに作曲科を卒業し、チャイコフスキーから認められた。1897年に交響曲第1番が初演されたのだが、オーケストラ演奏のまずさもあって批評家たちの散々な酷評にさらされ、彼は完全に自信喪失に陥り、「神経衰弱」にかかった。アマチュアのヴィオラ奏者でもあった精神科医ニコライ・ダーリの暗示療法で回復し、1901年、ピアノ協奏曲第2番の初演は彼自身の独奏で大成功を収めた。1915年発表のヴォカリーズはスキャットで歌う歌曲で、今ではヴァイオリンやチェロの重要なレパートリーとなっている。私自身はヴァイオリンよりも落ち着いた音色のヴィオラで弾く方が好きである。彼はロシア革命後、アメリカに移住し、もっぱらピアニストとして大活躍した。今でもSP復刻版CDやピアノロールから再現したCDでその名人芸を楽しむことができる。大ヴァイオリニストで作曲家のクライスラーとの共演の録音も残っている。周囲の評価にもかかわらず、彼は自分自身を偉大なピアニストとは思っていなかったそうである。この辺も実に神経質らしい。後世に残る、限りなく美しい旋律の数々は神経質作曲家からの贈り物だったのである。

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コメント

先生こんにちは!ラフマニノフの偉大な作品も神経質のなせるわざ、でしたか。ドイツでフィルハーモニーに通い続けていた日々を懐かしく思います。超一流オーケストラの演奏が格安の値段で楽しめました。ところで先生に質問があります。来週、また抜歯の手術を受けますが、そこでは抜歯後すぐ退室するのです。前回は知識も準備もなく大変な目にあいました。脱脂綿・ガーゼ・ビニール袋等を持参する予定です。早く出血を止めるコツはありますか?

コメントありがとうございます。ヨーロッパだとコンサートばかりでなくオペラでも立見ならば格安で楽しめるようですね。日本ももっと気軽にコンサートを楽しめるようになって欲しいものです。
また抜歯ですか。やはり親不知でしょうか。脱脂綿・ガーゼ・ビニール袋持参というのは、さすが神経質上級者ですね。残念ながら早く出血を止めるコツというのはないように思います。圧迫止血したら、あとはなるべくいじらないことです。止まったかどうか何度も確認することのないように。せっかく止まりかけたところで脱脂綿をはずしたらまた出血、ということになりかねませんので。

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