神経質礼賛 313.「うつ」からの脱却(2)
5月23日付毎日新聞に「ドタキャン」という見出しのついた「うつと暮らす」というコラムがあった。うつで通院中の上野玲さんというジャーナリストが書いたものである。うつの人とアポを取ったら、約束の時間から大幅に遅れて、「用事ができたから」と断りのメールが来たという体験を述べている。筆者によれば、うつの人のドタキャンはそうでない人より頻度が高いのだそうだ。これについて、うつを免罪符にしている、と分析し、こうした非常識さは社会から自分を排除する要因になる、と述べている。
うつ病にかかる人はまじめで責任感が強い、というのが従来の定説だったが、前回述べたように、自己中心的・他罰的・人格未熟な人の軽度のうつ状態まで「うつ病」としてしまうと、この記事のようにドタキャン常習犯まで含まれることになる。しかもその種の人は自分が「うつ病」だと高らかにアピールすることが多い。安易に「うつ病」の診断をつけて診断書という免罪符を発行する医師も共犯者であろう。
5月27日付読売新聞で「うつ 広がる復職支援」という記事があった。主要企業100社のアンケートで、うつ病で休職した社員の復職で困っていることを尋ねたところ、59社が「一旦復職した者が、病気による休職を繰り返す」、19社が「仕事の能率が低下したまま回復しない」を挙げていたという。
いつまでもダラダラとうつが続いているのは、うつ病の休みモードからの切替がうまくいかないでいるとか、そもそも本来のうつ病ではなかった、というようなことも考えられる。従来の典型的うつ病でも、遷延化するケースでは、神経症としての治療が適することがよくある。うつ病治療の仕上げの段階では、森田療法のように、気分はともかく健康人らしく行動するように指導していくことが重要だと思う。
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