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2008年6月23日 (月)

神経質礼賛 318.被害的心理

 6月16日付毎日新聞朝刊1面のコラム「余禄」では問責決議に対するF首相の「最大の犠牲者は私」という発言について「被害者意識がにじんでいる」と書いていた。日本語には被害的心理をあらわす「・・・された」と受身の言い方が多く、また「・・・してもらう」という利益の授受を示す表現も多いが、それは利益を得られなかった場合の被害的心理の存在を示していて、「被害的心理は日本人の心理の根底に巣くっている極めて日常的なもの」という土居健郎著「甘えの構造」の一文を引用している。最後に「私は最大の犠牲者」などと言っている場合ではない、と批判している。

 被害的心理は神経症の人によく見られる。入院治療を受けていてもいつまでもよくならない人の日記を見ると、被害者意識丸出しのグチが満載である。一緒に治療を受けている患者さんの悪口や職員の悪口を書き連ねている。前述の受身表現も目立つ。できないことを周囲の人のせいにしたり症状のせいにしたりして、行動しようとしないでいたのではいつまでたっても治らない。森田正馬先生の言われた「出来ぬと言ふは、したくなきが為なり」であって、現実からの逃避なのである。

 一方、めきめきと良くなっていく人の日記には、その日の行動が淡々と書かれている。受身表現も少ないように思う。一緒に治療を受けていても皆の足を引っ張る人に対しては、「あの人もつらいのだろう」という同情が示される。自分は特別で自分ばかりつらいという差別観から抜け出して、誰も苦しみながら生きているのだという平等観に立っているわけである。

 森田先生は「雪の日や あれも人の子 樽拾い」という句を引用して、たとえ酒屋の小僧でも寒い時には苦しいだろうとみるのが平等観で、小僧は寒くても平気だが、自分は寒がりで恥ずかしがりで、自分は特別苦しいというのが差別観である、と言っておられる。

 F首相もこの辺を勉強されると支持率が上がるのではなかろうか。とりわけ「後期高齢者」という差別観はよろしくなかったようである。

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コメント

 先生、お元気でいらっしゃいますか。神経質財団(メンタルヘルス岡本記念財団)の万代です。笑い。
 神経質礼賛について森田正馬先生が全集五巻で述べておられる個所を発見しましたのでご紹介します。
 《僕が神経質を礼賛するのは、真珠が好きだというくらいの事です。いやルビーだオパールだと争うのではない。我々が自分自身の本性を認めて、これを礼賛し、ますますこれを発揮し、どこまでも、これを向上させて行こうという心境を、唯我独尊といいます。これは絶対的の主観的心境でありまして、他と比較しての事ではない。「唯我独尊」とかいうこんな言葉は、どのようにでも、勝手に説明のできるものであるけれども、ちょっと面白い心境であろうかと思います。
 強迫観念の治った人は、強迫観念にかかった事を喜び、神経質という素質は優秀であり、有り難い事であると礼賛するようになる。この話は、先月の形外会記事に出ている事ですが、この強迫観念の全治という事は、「悟り」の模型標本であろうかと思います。
 野口英世博士やエジソンや、誰でも成功した人は、必ずかつて自分が、貧乏であり身分の賤しかった事を、むしろ誇張して、自慢にするようであります。貧乏そのもの・強迫観念そのものは、誰もこれを自慢にする人はなく、なるたけこれを隠して、見栄を張ろうとするものであるが、ひとたびこれを突破すると、今度は、これがかえって自慢の種になるというのも、不思議ではありませんか。それは実は、我々は、自分の力の発揮という事を喜ぶ事に帰着するのではなかろうかと思います。》
 先生! 地域に根ざした森田療法セミナーをスローガンにこれからはいろんなところで森田正馬先生の教えを広めたいと思います。 先生、ご協力をよろしくお願いします。よいお返事をお返事お待ちしています。

万代様

 どうも御無沙汰しております。コメントいただきありがとうございます。まさに御紹介いただいた部分が「神経質礼賛」に関する話です。また、御存知の通り、森田先生の形外会を先生自身は「神経質礼賛会」とされたかった、というエピソードは森田正馬全集第5巻p.25と第7巻p.300にありますね。さすが、全集がインプットされている万代様ならではです。

 最近の「生活の発見」誌を拝見しておりますと、「万代チルドレン」の活躍ぶりが目に付き、喜ばしい限りです。「森田的自転車療法」も盛んになっているようですね。

 当ブログを作ったときには半年位でポシャったら恥ずかしいなと思っていましたが、そこは神経質人間のしぶとさでもう2年半になります。潜在的に神経質な性格に悩んでおられる方は多いはずなので、これからも地下ゲリラ活動(?)を続けていくつもりですので、またよろしくお願いいたします。

 先生にこうしてお会いできましたことは嬉しい限りです。実はこのブログの利用方法がまだ飲み込めていませんので躊躇っておりました。

 しかし、なるほどこうした使い方があるのだとわかってきたらとても面白いですね。先生のこれまでのご努力には本当に頭の下がる思いです。

 ぜひ、先生や病院のためにも三島の地に近い場所でセミナーを開催しましょう。私も一生懸命にお役に立ちたいと存じます。先日ファックスさせて頂きましたような感じで全国各地に森田療法を広めたいと思います。良いお返事をお待ちしています。

 さて、今朝はNHKテレビ大阪よりメンタルヘルス図書室の紹介取材がおこなわれます。先日の日経新聞(http://www.mental-health.org/mh13-8-2.html)で専門図書館として紹介された当図書室が、今度は6/30(月)NHK総合の夕方6時半の報道ニュースで当図書室が紹介される予定です。

 当図書館は単に、医学書を含む専門図書を数多く蔵書しているだけでなく、専門指導員の配置や各種参考図書のど紹介、医師や病院の紹介、インターネットを活用したコミュニケーションの場の提供など、他の図書館にはない、その専門性や独自性が評価されたようです。

 図書室の運営者の一人として嬉しい限りです。楽しいニュースですので先生にもお知らせします。私の発言が先生のブログにおいてご迷惑の時はドンドン遠慮なくボツになさって下さい。この素晴らしいブログをもっと広める方法はないかと私は思案します。

万代博志様

 コメントいただきありがとうございます。そうですか。メンタルヘルス岡本財団図書室がNHKで取り上げられるのは喜ばしい限りです。6月30日のNHKニュース楽しみにしています。(私の住んでいる田舎だとローカル番組になってしまう心配がありますが、一応録画してみます。)著作権の問題がありますので、蔵書の紹介を財団ホームページ上ですることは難しいかとは思いますが、生活の発見会支部がないような地方の方にも図書室の利用ができるような工夫があると、もっともっと森田療法が広がっていくのではないかと思います。 

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