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2008年6月 4日 (水)

神経質礼賛 312.「うつ」からの脱却(1)

 産業医からの紹介状を持って受診した男性。紹介状によると、1年前からうつ病で心療内科クリニックにかかっているが、今でも仕事を時々休んでいるので、一度診てほしい、とのこと。いわゆるセカンド・オピニオン目的の受診である。本人と面談してみると、態度や口調からして、「うつ」のかけらも見当たらない。ただ、時々、仕事に行く気がしなくて休むのだという。

 近頃、この種の人が増えている。気楽に心療内科や精神科を受診する時代になって軽度のうつが増えたせいか、アメリカ流の診断基準がスタンダードになって「うつ病」のストライクゾーンが極端に広くなったせいなのか。いずれにせよ、見るからに元気がなく、家族に連れられて受診するような本格的うつ病の人は見かけなくなった。「うつ病」と自己診断をつけて一人で来る人が多い。

 「うつ病の人は励ますな」「うつ病は休養第一」という原則が一般の方々にも広く知られるようになったのは、うつ病による自殺者を減らす上でとてもよいことである。ところが、それはあくまでも自責的でエネルギーが枯渇している本格的なうつ病の人への対応法なのである。

 最近は「非定型うつ病」「30代うつ」「新型うつ病」(223話参照)などと呼ばれる、自己中心的・他罰的で人格が未熟な人の軽いうつ状態まで「うつ病」として扱われるようになると、同じ対応では逆効果となる。診断書の「お墨付き」で堂々と休むことができるし、上司や同僚も腫れ物に触るように扱ってくれるから「疾病利得」となって、いつまでたってもよくならない、という図式が出来上がってしまう。そうなると、まじめに働いている同僚たちは馬鹿馬鹿しくなって士気が低下する。上司が本格的なうつ病になって来院することもある。

 「励ますな」「休養第一」は状態が悪い時の話で、良くなってきたら少しずつ負荷を上げていくことが重要である。骨折のリハビリとよく似ているように思う。いつまでも手足を使わないままでいたら、筋肉が痩せ細ってしまう。リハビリで体を動かすと痛みは出るが、少しずつ続けているうちにだんだん機能が回復してくるものである。これと同様、うつからの回復期に仕事をしていくのは多少の苦しさを伴うものであるが、回復過程で避けて通れないことでもある。ここでは森田療法的な対応、つまり、自信がないまま不安なままにとにかく出勤し、完全でなくてよいから70点くらいを目標に、就業時間内は仕事に取り組む、ということも必要になってくる。

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コメント

先生こんにちは!「ブログ炎上」ではなく「パソコンから煙」だったんですね。事故にならなくてよかったです。「鬱症状」と「運動不足」は医学的に観て相関関係がありますか?私はかつてイタリア人の友人に「人間が悲しいと感じる時、だいたい二つの理由がある。食事を充分に摂取していないか。あるいは運動不足か。そのどちらかだ」と言われたことがあります。日本人に「鬱」の自己申告者が多いのは、ひょっとして日本人の運動不足も原因だったりしますか??

 コメントいただきありがとうございます。おっしゃる通り、「食」と「運動」は健康維持の上で重要なファクターですね。第一に「食」を持ってくるあたりはいかにもイタリア人らしい発言かな、と思ったりします。
 運動不足が直接「うつ」の原因とは断定できませんが、リスクファクターの一つと考えていいのではないでしょうか。

 この前の日曜日、精神科専門医の教育研修会に参加してきました。睡眠障害の研究者でよくTVにも出る内山真・日大教授の講演があって、お話の中で、良い睡眠をとるには運動がよいということも言っておられました。また、海外からメラトニンをネット購入して服用する人がいますが、内山教授によれば、服用するとしたら夕方少量(1mg錠の十分の一)でよく、多く飲んでも効かない、ということも言っておられました。

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