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2008年6月20日 (金)

神経質礼賛 317.達人の能・未練の能

 森田正馬先生の色紙に

「達人の能は静かに速く和かに強し

 未練の能は静かにといへば遅く

動けといへば躁がしく

和かにといへば弱く

強くといへば頑なり」

というものがある。

学問に精通した人・すぐれた技術や芸能を持った人というものは、その時の状況に応じて最適な行動ができるものだが、未熟な人はそれができず、「静かに」と言えば動きが鈍くなり、「動け」と言えば騒がしくなり、「人と和やかに」と言えば自己主張できなくなり、「強く」と言えば頑固になってしまう、ということである。

三島森田病院に保存されている色紙ではさらに

「似たるやうにて雲泥の異なり

 万の芸能 皆かくの如し」と続く。

アマチュアのオーケストラでは手薄なパートにプロ級の腕前の「エキストラ」をお呼びするということが行われる。いくつものオケを掛け持ちで本職が何だかわからないような人もいる。さすがにそのクラスの「達人」ともなれば、12回練習に出て、あとは本番できっちり「仕事」をしていく。しかし、私も含めて「未練」のアマチュアでは、指揮者から静かにと言われればテンポが遅くなりがち、速いパッセージではバタバタして騒がしくなり、やさしくしっとりと弾けと言われると音が痩せてしまい、エネルギッシュにと言われると柔軟さのない演奏になりやすい。技術的な稚拙さもさることながら、曲全体に考えが及ばず、その場だけの指示として弾いてしまうからである。

これは、「木を見て森を見ず」になりがちな神経質人間が気をつけなければいけないことである。私自身、「未練の能」に当てはまるところがあり、大いに反省するところである。森田先生がこの色紙を書かれたのは、神経質人間が陥りやすい点を指摘されているのだと思う。言葉にとらわれやすく、柔軟に考えることができにくい。しかし、自己中心の視点からではなく、物そのものになってみていくと、達人の能に近づいていけるのである。神経質な性格は変えようがないが、神経質を生かしていけば、森田先生のような達人の域に達することもできるのである。

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コメント

先生こんにちは。「未練の能」ですか。ここに書かれていることは、スポーツクラブでの私に全て当てはまっているのですが!!「神経質」と「柔軟性」が両立できたなら、もう言うことはないのだけど・・・といつも思います。

四分休符先生、こんにちは。
御無沙汰しましたが、毎回の記事、感銘深く拝見させていただいております。

秋葉原事件の分析、およびそのコメントは
私もおじさんのフリーターなので、
身につまされました。
まあ、青年諸君と違って先が長くないので
気楽にやっているんですが・・・。

さて、このたびの森田先生の箴言は、
とりわけ心に響きました。
森田先生箴言ベストスリーに入れたいくらいですね(笑)。

芸事やスポーツのみならず、
人間の行為一般に当てはまる
極意なのではないかと思いました。

書き写して、壁に貼っておこうと思います。

 コメントいただきありがとうございます。「神経質」と「柔軟さ」は一見、両立しないように思えるかもしれません。しかし、「物そのものになってみよ」を実践していけば、その場その場で柔軟に行動できるようになってくるものです。(私はまだちょいと怪しいですが)
 御健闘を祈ります。

keizo様
 コメントいただきありがとうございます。掲示板が炎上しかけたものの丸く収まり、よかったですね。keizoさんの人徳のおかげだと思います。流れが速くてコメントしきれず済みません。たまには「隠れキャラ」で登場したいところなんですが。毎日覗いてはいます。メタボが話題の昨今、「カロリー君」は時代を20年以上先取りしたキャラクターだったのではないでしょうか。keizoさんが考案されたようなほのぼのとしたゲームにはまっていれば、無差別殺人をしようなんて間違っても思わないはずです。文部科学省・厚生労働省に推薦してもらいたいゲームですね。

 今回のお題は、音楽をかじっている人間にとっては身につまされる言葉です。
 

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