神経質礼賛 323.小林幸子さんも「あがり症」
一昨日の夜、テレビのチャンネルを変えていたら、昔のヒットソングが流れていたので、何となくそのままにしておいた。「クイズ ガリベン!昭和の歌謡曲 2時間スペシャル」という番組だった。番組の中で演歌歌手の小林幸子さんの話題が出た。少女時代から歌手として活躍しておられるのだが、ご本人の話では、ステージに立つ前はものすごく緊張してあがってしまうのだそうである。「このまま非常口から逃げ出したい」という気持ちに襲われるのだという。NHK紅白歌合戦で毎年話題になるあの派手な衣装も、「衣装を派手にすればそちらに(お客さんの)注意が行くから(自分は)気が楽」ということなのだそうである。意外や意外、小林幸子さんも「あがり症」だったのだ。
小林幸子さんは天才少女としてデビューし美空ひばり二世とまで呼ばれたが、その後長い不遇の時期があった。地方巡業の末、「おもいで酒」の大ヒットで今日の地位を築いた。苦しい時に向上心を失わず粘り強くがんばるのが神経質のいいところである。そして浮沈の激しい芸能界で長年活躍し続けているのも気配り上手な神経質のおかげかも知れない。
歌手や俳優や芸人でも人前が苦手で激しく緊張する人はいるものである(186話参照)。緊張してもあがってもしっかり仕事はできているのだから何ら問題はない。本人は深刻に悩んでいても、客観的にはわからないものである。
若い頃は対人恐怖・赤面恐怖でとても悩んだ私の場合も、そうは思われていないようだ。昨年、弟に白状したら、「へっ?アニイが対人恐怖だって???」と全く信じられないという反応だった。楽器を持つと人格が変わって(?)、大勢の前で弾くのも何とかなるのだが、こと話すとなると今でも激しく緊張し腹の具合まで怪しくなってくるのである。しかし、まあこんなものだ、とあきらめているので、昔のように悩むことはなくなった。
緊張しないように、あがらないように、自己暗示をかけたり、イメージトレーニングをしたり、という人もいるだろうが、「緊張してはいけない」と意識しすぎて逆効果になってしまうこともある。緊張するのは自然なことであり、何ら悪いことではないのだから、ビクビクハラハラのままで行動していくという森田療法の考え方が優れているように思う。
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先生、こんにちは!以前、雑誌のインタビューで歌手の矢沢永吉さんが「コンサートの前は毎回、ものすごく緊張している」と語っておられて驚きました。歌っている姿や声には緊張など微塵も感じられないので。恐怖心を素直に受け入れて「永ちゃん、楽しめ!」と独り言を呪文のように唱えてコンサートに臨むのだとか。これこそ「恐怖突入」ですね(笑)。
投稿: | 2008年7月 7日 (月) 16時30分
コメントいただきありがとうございます。何と、「永ちゃん」も「あがり症」だったとは驚きですねえ。全くそうは見えませんから。まだまだ他にも「え?!」と思う人が出てくるかも知れません。貴重な情報をありがとうございました。
投稿: 四分休符 | 2008年7月 7日 (月) 22時21分
KinKiKidsの堂本君の話は有名ですね。パニックになるんだそうです。
最近知った女性歌手で越智志帆さんは。先日のテレビ放送で本番前までソワソワドキドキハラハラで回りにこんな私で大丈夫か確認ばかりしておられましたが、歌い始めるとどこにそんな素晴らしい音域が隠されているのかと思うほど素晴らしい歌唱力です。彼女の田舎の田んぼで空に向かってお腹から声を振り絞って練習したらしいですね。
それとお名前は出てきませんが、バレーボールのエースアタッカーの可愛い女の子が過呼吸で倒れたとか報道がありました。
まだまだ私達が知らないだけで沢山の方が困っておられるように思います。なんとか森田療法を広く知れ渡るようにして差し上げたいですね。あるがままが身に付けば恐れることはありませんからね。
投稿: 万代博志 | 2008年7月 9日 (水) 17時35分
万代博志様
コメントいただきありがとうございます。次々と出るものですねえ。神経質芸能人名鑑ができてしまいそうです。堂本君のパニック障害は有名な話ですね。関西地区の芸能人さんはメンタルヘルス岡本財団に集合していただいて万代さんの森田的自転車療法を受けるとすぐに治るかも知れません。
うつ病やパニック障害は続々と「カミングアウト」する有名人が増えています。対人恐怖の有名人も告白していただけると、悩んでいる人たちにとって大いに励ましになることと思います。
薬を飲まなくても森田療法でよくなるんだ、という体験談が広まってくれれば、もっと森田療法が注目されるようになるでしょう。
投稿: 四分休符 | 2008年7月 9日 (水) 21時42分