神経質礼賛 325.アラフォーとパラサイト・ミドル
「アラフォー」(around fortyの略)と呼ばれる40歳前後の女性の生き方を主題にしたドラマが話題になっている。その世代はバブル絶頂期に就職し、その下の世代が長い就職氷河期で辛酸をなめたのに比べると恵まれている。かつては同年齢の男女で基本給が異なり、女性の管理職への昇進は極めて困難だったが、男女雇用機会均等ということで、女性であることによる不利益は少なくなった。産休制度も充実してきた。従来、男性だけだった職場への女性の進出も目覚しい。トラックやバスの女性運転手さんもよく見かける。「職場の花」として就職し、しばらく働いた後は寿退職して主婦になる、というドグマが崩れ、女性の生き方の選択肢が格段に広がった。もっといい仕事がしたい。たまの休みには海外旅行をしたい。素敵な恋もしたい。でも高齢出産になる前に子供も欲しい。その反面、生き方についての悩みも増えているのだろう。これは実に健全な悩みで、森田先生の言われるように「大いなる希望には、大いなる苦痛・困難がある」というわけである。
一方そうした世代の中で「パラサイト・ミドル」と言われる人たちがいるという。こちらは男性が主となるだろう。定年が遅くなり、管理職のポストも削減されているから、課長や部長に昇進することは難しくなっている。就職氷河期で長い間後輩が入ってこなかったため同じ部署で同じ仕事を続けていてスキルアップができず、転職するだけの実力はない。となると能天気に適当にやりながら今の会社にしがみつく、というパターンになってしまう。そこで会社に寄生する中年ということなのだ。「鈍感力」が強過ぎて若い部下たちからは顰蹙(ひんしゅく)を買っている。しかし、会社としてもこういう人たちをいつまでも寄生させておくだけの体力はなくなってきているので、危機感を持って自分磨きをしていかないと遅かれ早かれ切り捨てられるだろう。イソップ寓話のキリギリスの運命が待っているのは間違いない。その点、小心者の神経質人間だと「いつリストラされるのでは」と心配で、コツコツ勉強して資格を取り、いざという時のために貯金に励む。こちらはアリと同じである。最後に笑うのはどちらか。言うまでもないだろう。
« 神経質礼賛 324.リチウムイオン電池の爆発事故 | トップページ | 神経質礼賛 326.偽装ウナギ »
コメント