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2008年8月15日 (金)

神経質礼賛 335.ハリー・ポッター完結

 ハリー・ポッターシリーズ最終巻の日本語訳が先月発売された。子供が読み終えて、私に番が回ってきた。仕事が休みではないというのに、上巻は2日間、下巻は1日で読み切った。今までの巻は学校生活が中心だったのに比べると、今回は絶えず敵方に狙われる厳しい放浪生活の中で秘密を探っていくというスリルの連続で、読み出すと止まらなくなる。戦いの中でハリーを応援してくれた親しい人々が次々と命を落としていく悲劇もある。今までの話の謎が解き明かされるとともに、宿敵との命をかけた最後の対決という最大のクライマックスを迎える。読んでいない方もおられるであろうから結末は書けないが、友情・勇気・家族愛・(他の生物をも含めた)人類愛をテーマにしたすばらしいファンタジーだと思う。また、ハリーと親友のロン、ハーマイオニーばかりでなく、彼の友人たちの成長していくさまが興味深い。

 特に注目したいのは、ハリーのクラスメートのネビル・ロングボトムという少年だ。両親はかつて敵方によって廃人にされ「聖マンゴ病院」(ひと昔前の精神病院を思わせるような病院)に長期入院中である。学校での魔法の勉強の方はどうもダメで、ドジで間抜けと思われている落ちこぼれ生徒だ。しかし、努力家で根気だけは人に負けない。これまでの巻でも戦いの場面でハリーに加勢して意外な活躍をしている。粘り強さを武器に巻を追うごとに成長を重ねていく。最終巻では敵方に乗っ取られた魔法学校で抵抗運動を続け、ついにはハリーの宿敵と直接戦うまでとなる。なお、後日談では魔法学校の教授になっている。神経質で出世する典型的パターンにも思える。

 今年の324日付読売新聞の記事によれば、作者のJ.K.ローリングさんは20代に離婚してシングルマザーとなって、抑うつ状態となり、自殺も考えたという。家賃が払えず、生活保護を受けていた。しかし認知行動療法の治療を受けて回復し、ハリー・ポッターを執筆し、今では推定資産約1000億円といわれている。再婚して幸せな家庭も手に入れた。まるでローリングさん自身が自分に魔法をかけたようである。

 神経質人間にとって魔法の呪文は「ダメで元々、やってみよう」であろう。そして、ビクビクハラハラしながらも実際に行動に起こして初めて呪文の効果が出てくる。「あるがまま」呪文を唱えているだけでは何の効果もない。

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