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2008年9月12日 (金)

神経質礼賛 345.不眠症のクスリ

 今週、外来に80代半ばの男性が紹介状を持ってやって来た。近くの内科で何年も睡眠薬をもらって飲んでいるが眠れないから何とかして欲しいとのことである。処方されている薬を見ると、睡眠薬代わりによく使われる抗不安薬が2錠、睡眠薬が3錠でうち2錠が短時間型睡眠薬、1錠が中間型睡眠薬である。それだけ飲んでも眠れないという。少々耳は遠いが、大変お元気な方で頭もしっかりしておられ、うつ病や痴呆性疾患は考えられない。昔は学校の先生をしていて、退職後も時事評論のような本を書いているそうである。神経症性不眠(60話参照)つまり、睡眠に対する過度のこだわりが問題のように思われる。

 一緒について来た奥さんの話では、夜、眠れなかったからといって午前中は雨戸を閉めたまま横になっているとのことである。これは森田正馬先生が言われた、

「患者は毎日熟眠が出来ないといひながら、十二時間以上も臥褥し、五時間・七時間位も睡眠して居るのである。多くの医者は不思議にも、其患者の日常の生活状態や、何時に寝て・何時に起き・其間に如何に睡眠が障害されるか・といふ事を聞きたゞさないで、患者の訴ふるまゝに、不眠と承認して、之に催眠剤を与へるのである。 (白揚社:森田正馬全集第7巻 p.401)」

まさにそのものである。

また、ご本人の話では、寝付けないので午前3時頃に睡眠薬を1錠追加して飲むとのことである。

 結局、新たな薬は処方せず、とりあえずは現在処方されている薬を正しく服用することとし、

     朝、決まった時刻に起きるようにし、雨戸を開けて部屋を明るくする。日中はなるべく庭先に出たりして、明るい光を浴びるようにすること。(「体内時計」をセットするため)

     夜中に睡眠薬の追加服用はやめること。「今日は眠れなくても仕方がない」と横になっていればよい。高齢者の場合、睡眠時間は5-6時間ウトウトという方が多いので、7-8時間眠ろうとしなくてよい。

     夕食以降はカフェインを多く含んだ飲物の摂取を控える。(この方はせん茶が大好きでよく飲まれるので、夕食後はカフェインが少ない番茶やほうじ茶の方が望ましいと説明)

こんなアドバイスを「処方」しておいた。

これが本当は不眠症に効くクスリである。

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コメント

先生こんにちは!たびたびアメリカから申し訳ありません・・・。本当にためになるお話をありがとうございました。薬に頼る前にまず生活習慣から、ですよね。睡眠に関しては過度に「神経質」であってはならないようですね。専門家であるお医者さんにそう言っていただけるとこちらも安心します!私はアメリカに到着してから薬を飲んでいないにも関わらず、疲れきってすぐに寝てしまいます。なにしろキャンパスが広大なのです。歩き過ぎが原因かもしれません。

コメントいただきありがとうございます。
アメリカの大学のキャンパスの広さは日本とはケタ違いなのでしょうね。歩きまわって疲れて寝てしまう、というのは実に健康的でいいですね。あとは、バテないようにしっかり食べこんでがんばって下さい。御健闘を祈ります。

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