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2008年9月19日 (金)

神経質礼賛 347.錬金術の果てに

 アメリカ証券業界第4位のリーマン・ブラザーズがサブプライムローン問題から破綻した。以前、ホリエモンのニッポン放送株買占めの際に資金提供していたことで日本でも有名である。日本国内法人リーマン・ブラザーズ証券の負債だけでも3兆4000億円に達するというから気の遠くなる額である。

 国内銀行各行の同社への融資額が新聞に載っていた。私の口座があるS銀行は融資していなかったようだ。何しろ通称「シブ銀」と呼ばれ、定期預金をしてもテッシュ1つさえくれないことで有名である。融資も安全な地元の優良企業にしかしないので、あのバブル期に損失を出さず、日本一経営状態が優良な銀行になってしまったという妙な「実績」がある。顧客にケチなのはいけないが、融資先の経営状態に神経質なのは金融機関として当然のことである。神経質が足りないと、不良債権が増大し、新銀行東京(別名:石原銀行)のように、巨額の税金で穴埋めすることになる。

 今回のリーマン・ブラザーズだけでなく、アメリカの証券・保険などの業界全体に暗雲がかかっている。経済学理論と数学を組み合わせた金融工学と称する錬金術がもてはやされ、デリバティブといわれる金融商品が開発され、カネがカネを生み出す、という状況だったのが、ついに行き詰ったのである。最大手保険会社AIGも経営危機に陥り、こちらはアメリカ政府が公的管理下で救済することになった。全世界に現地法人を持ち、取引先が破綻した場合の保険商品を世界中で販売しているため、AIGが破綻したら世界恐慌にもなりかねない。大きすぎて潰せない、というのが実態のようである。日本のバブル経済の愚をはるかに上回るばかりでなく、全世界を巻き込んでいるだけに始末が悪い。錬金術の宴の後始末には相当期間かかりそうだ。

 ハイリスクの融資はしない、というのが金融機関の鉄則である。うまい話にはウラがある、というのが大人の常識だ。石橋を叩いて渡る、時には叩くだけで渡らない、といった神経質さが求められる。

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コメント

先生こんにちは!興味深い記事をありがとうございました。おそらく歴史・文化と密接なつながりがあるのでしょう。アメリカは既存のシステムを「前進・発展させる」技術においては優れています。ただし既存のシステムに対して「批判・反省を加える」という思想・哲学を展開する土壌はないのでは?と思うのです。なにしろ歴史が短すぎます。金融工学などはアメリカの「お家芸」だったと容易に推定できます。欧州や日本といった長い歴史をもつ国々の「神経質さ」が見直されてもいい気がします。アメリカの優れている点は認めるとしても、短所も見るべき時期にきていると思いますね。

貴重なコメントをいただきありがとうございます。なるほど、歴史・文化的な視点から見ると、よく理解できます。アメリカ人が驚くほど楽観的なのも、そのような背景があるのでしょうね。人間に例えれば、まだ人格未熟ゆえの「唯我独尊」状態なのかもしれません(ちょいと言いすぎかな)。

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