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2008年9月 8日 (月)

神経質礼賛 343.なんて素敵にジャパネスク

 今年の6月、作家の氷室冴子さんが肺がんで亡くなった。51歳の早すぎる死だった。新聞各紙で比較的大きく取り上げられていたが、9月2日付読売新聞の追悼抄では、亡くなって3ヶ月経った今でもファンからの手紙や贈り物が届いている、という話が紹介されていた。思うにまかせぬ現実に直面している多くの若い女性たちが、氷室さんの小説の主人公の活躍に元気付けられてきたのだろう。

 何を隠そう、この私も氷室さんの代表作「なんて素敵にジャパネスク」シリーズは全部読んでいる。そもそも十代の女の子をターゲットにしたジュニア小説だから、私のように「キモい」おっさんとは何ら接点がないはずなのだが、今から2223年位前、たまたまNHK-FMで放送された朗読を聴いて、読みたくなった。神経質人間の私にとって、書店の女性向け文庫本コーナーでコバルト文庫の棚から探し出してレジへ持っていくのは、ちょっと勇気のいることだった。

 物語の舞台は平安時代の貴族社会。主人公の瑠璃姫は明るく活発な女の子で好奇心旺盛であり、ヒステリー性格全開で突っ走ってしまうところがあって、政争や危険な事件に巻き込まれたりもする。その瑠璃姫と幼馴染でやがて結婚する高彬は真面目で堅物、心配性でもあり、神経質度大である。神経質にはおおらかな循環気質がベストマッチと思われる(270話)が、明朗活発タイプであればヒステリー性格も相性として悪くはないだろう。その代わり、神経質の方が振り回されてバタバタする羽目になる。氷室さんのエッセイには、宝塚スターの追っかけをやっていたようなことや、自身の結婚問題で母親と派手にやりあったことが書いてあって、瑠璃姫は氷室さん自身なのだなあと思う。実生活で高彬のようなパートナーとの出会いがなかったのは残念である。「なんて素敵にジャパネスク」はよく平安ラブコメディーと言われているが、巻が進むにつれ、瑠璃さんの痛快冒険譚という色彩が強くなっている気がする。読み出すと面白くて1冊2時間以内で一気に読み切ってしまう。平安時代の社会生活が巧みに織り込まれているので、これを読むと、古文アレルギーもなくなるだろう。著者の氷室さんは亡くなられたが、これからもずっと楽しく読み続けられていい作品だと思う。

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