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2008年11月24日 (月)

神経質礼賛 369.「アダルトチルドレン」という観点の功罪

 外来初診の人が「私はアダルトチルドレンです」といきなり言い始めることは時々経験するところである。過去にカウンセラーからそのように言われている場合もあるし、本を読んだりインターネットのサイトで知ったりして自分でそう決めている場合もある。

 実はアダルトチルドレン(AC)という言葉は精神医学用語ではない。精神科領域で信頼度の高い弘文堂の「新版精神医学事典」や講談社の「精神医学大事典」には載っていない。そもそも、アメリカでアルコール依存症者とその家族を支援する社会福祉関係者が作り出した言葉である。その概念がさらに広がって、アルコール依存症者以外でも例えば子供を虐待するような親のいる機能不全家庭で育った人たちが大人になっても心的外傷が残っていることを言うようになった。もっと広く、子供っぽい大人という意味で使われることもある。

 AC理論は、ACの人にありがちな心理パターンや行動パターンを分析して、偏った認知を是正して行動パターンを修正していくのに役立ち、家族関係の調整にも使えるので、経験を積んだカウンセラーやケースワーカーが上手に使えば、悩んでいる人を援助する上で有力な武器となりうる。

 しかし、カウンセリングやケースワークが中途で終わってしまった場合にはACというレッテルばかりが本人に残ってしまうことがある。自己流の誤った理解をしていることもある。ひきこもりの講習会の講師をしていると、ウチの子供は「自分はACでこうなったのはみんな親のせいだ」と言って仕事を探そうともしない、という親の声をしばしば耳にする。これでは逆効果である。すべてを親の責任にして、自分が努力しないのではひきこもりから脱することは困難である。

 最初に述べた自称ACという人は境界性や依存性あるいは自己愛性といったパーソナリティー障害であることが多いように思うが、時に神経質でもACという概念に固執して行動が伴わない人もいる。その場合には、過去を問題とせずに今ここでの行動を重視する森田療法的アプローチの方が効果的だと思う。

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コメント

先生こんにちは!学期末の最後の追い込み期に入っています。つらいけれども、三週間後の日本への帰国だけを希望にして頑張っています!先生のおっしゃるとおりです。なんでも「親のせい」にするのはいかがなものでしょうか・・・。アメリカに無期限で長期滞在し、放浪人生を送っているような日本人留学生もなぜか「他人のせい」にして人生を送っています。かかる莫大な費用は親任せにも関わらず・・・。自分の人生そのものが「他人事」になった時。それこそが不幸な人生だと私は思うのですが。私は早く学業と仕事を全うして日本に帰国したいです。そろそろ本気で親孝行を考えています(笑)

コメントいただきありがとうございます。御多忙の日々のようですね。もう一息、がんばって下さい。クリスマス休暇で御帰国でしょうか。
最近、留学関連業者が倒産した、というニュースがありましたが、留学しさえすればいい、と思っている人はまだまだ多いようです。はっきりした目的意識がないとただの物見遊山に終わってしまうようにも思います。ドラッグに染まるのも困りますし。精神科の商売が繁盛するのはいいことではないです(笑)。

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