神経質礼賛 380.年末行事
毎年暮れになるとあちこちでベートーヴェン作曲交響曲第九番の演奏会が開かれる。今ではちょっとした地方都市ならばアマチュアの第九を歌う会があって、地元オケと合同で演奏されている。本来、「第九」と年末とは何の関係もなく、日本だけでみられる現象である。原因は定かではないが、一説には、戦後間もない頃、年末年始の生活費に窮したオケ団員のために確実に客が見込める演奏会を開くにあたり第九がプログラムとして選ばれたのだという。それよりは、けじめをつけることを好む日本人に合っているからという説がもっともらしいような気もする。耳が聞こえなくなるという作曲家にとって最大の苦難を乗り越えて作られた「歓喜の歌」は年末を締めくくるのにふさわしいし、元気に新しい年を迎えようという気持ちになれる。
それぞれの家庭で年末行事と言えば大掃除ということになるだろう。もっとも、生活の洋風化で昔のようにタタミを干したり障子を張り替えたりするような大掛かりな掃除はしなくなっている。我が家でも12月には換気扇・照明器具の掃除や年一度の浄水器フィルターの交換といった作業を少しずつやっていて、特に大晦日の日に大掃除ということはない。
掃除は特に神経質人間にとって大切な作業である。掃除の効用は以前にも書いた(30話)通りである。「めんどうで嫌だ」と思うと先送りしてしまうのは神経質にありがちなところである。どうせやらなくてはならないことなのだから、さっさとやった方が気分もいい。何も年末だから、という理屈を付けなくても、普段から「汚れているな」「具合が悪いな」と気付いたら、森田正馬先生の言われた通り、尻軽く手を出して行くことである。自分の周囲を見れば、やるべき仕事はいくらでも見つかる。優先順位の高いものからどんどん片付けていけばよい。雑念に悩んだり、他人の思惑を忖度(そんたく)したりするようなヒマはなくなる。一石二鳥である。
と、偉そうなことを言っていて、昨夜は大失敗をやらかした。不用意にWINDOWSの更新ボタンを押したら、ブラウザをIE7に変更するものだった。今まではIE上でメール処理をしていたが、IE7にはメールボタンがない。Outlookの設定をし直して受診トレイを見ると空になってしまった。いつも年末にファイルの大掃除で必要なメールだけバックアップしているのだが、その前につぶしてしまったわけである。「神経質が足りない!」と自責しなくてはならない。これからは随時バックアップを取っていかなくては、と反省する次第である。
今年も残すところあと2日となりました。御愛読いただきありがとうございます。平成18年2月にスタートした当ブログはまもなく丸3年となります。1年ももつだろうか、と思いながら始めたのですが、そこは「神経質は重い車」という森田先生の言葉通りで、なかなか動き出さないけれども一旦動き出すと簡単には止まらないようです。来年も細々と続けていきますのでよろしくお願いいたします。
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