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2009年4月27日 (月)

神経質礼賛 420.森田マサタケかショウマか

 第25回森田療法学会(200711)の一般演題で、神奈川歯大・澤野啓一先生が森田正馬先生の名前の読み方の問題を取り上げていた。森田先生が発表した論文に「Shoma」というローマ字表記があることを示し、「マサタケ」でなく「ショウマ」が正しい、ということを述べておられた。

 また、実際に森田先生の治療を受け「森田療法の生き証人」と言われる井上常七さんも「マサタケなんて聞いたことがない。完全な誤りです。皆さんはショウマと言ってください」と述べておられる(生活の発見20094月号p.57)。

 私の師匠である大原健士郎教授は「本名は「マサタケ」なのだから、精神科医たる君たちはそう呼ぶべきだ」と研修医たちを指導されていたので、大原門下生は全員「マサタケ」と呼んでいる。正式な読みが「マサタケ」であることは間違いない。これは森田先生御自身が患者さんたちの前で言っていることである。

「私の名は、本当はショウマでなく、マサタケと読みます。馬の一字名もあるが、その時はタケシと読みます。土佐には馬のつく名前が多いが、普通にはマといいます(白揚社:森田正馬全集第5巻p.673)」

 この中で「本当は」という発言は、当時、誰もが「ショウマ」と呼んでいたことを意味する。患者さんたちの前で、本当はマサタケだ、と言っても、患者さんたちは「ショウマ先生」と呼び続けただろう。日本人男性の伝統的な4音節の名前は言いにくい。歌人で小倉百人一首の撰者である藤原定家も正式な「サダイエ」よりも「テイカ」と呼ばれることが多い。Ma-sa-ta-keよりSho-maの方が断然言いやすい。「ショウマ先生」という呼び方が定着してしまうと御本人もその方がよかったのだろう。学術論文も今ほどうるさくない時代だから、通称の「Shoma」とローマ字表記したのではないかと思う。

 森田先生の弟子・鈴木知準先生も本名の「トモノリ」先生と呼ぶ人はまずいない。当然、「チジュン」先生である。本名「トモノリ」で通称「チジュン」先生なのである。「トモノリ」は間違いだとか「チジュン」と呼ぶのはおかしい、などと議論する人はいない。

 「マサタケ」と「ショウマ」とどちらが正しいか白黒つけよ、というのはいかにも神経質らしい議論であるが、正式な読みが「マサタケ」で通称「ショウマ」というだけのことであって、どちらも正しい。学術上は「マサタケ」で、通常は「ショウマ」と呼んでいればよいのではないだろうか。そんなことを議論するよりも、森田療法の普及・発展に力を入れた方がよい。

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コメント

 先生、こんにちは。私も森田先生のお名前にこだわりはありませんが、論文を書かれる人、特に外国語での紹介には困っておられるようです。実際にこれまでにも問い合わせを頂き、東京慈恵会医科大学森田療法センターか三島森田病院にお聞き下さいと申し上げました。

 早速、調べましたところ言われますように森田正馬全集第五巻に先生自らが私はマサタケであると語っておられますね。念のために原文通りにご紹介します。

 森田先生も、立って自己紹介をなさった。おそらく形外会始まって以来のことだろう。
 「私の名は、本当は正馬でなく、マサタケと読みます。馬の一字名もあるが、その時はタケシと読みます。土佐には馬のつく名前が多いが、普通にはマといいます。あるとき、ある親しい奥さんが、土佐にはジンマとかバンバとか、本当に馬のつく名が多いといった事がある。爺・婆のことを土佐の万言で、ジンマ、バンパというのであります。」
 みんな拍手して喜ぶ。

 とありますので間違いないと思います。きっと、この時、熱海の森田旅館で神経質が集まり先生を囲んで大いに盛り上がっていたので、井上翁はみんなの接待で料理か酒の用意で忙しく席を外しておられたのではないでしょうか……。苦笑。

 先日、私の友人が井上翁の百歳の誕生(3月7日生まれ)を祝ってお見舞いに行き私にその日の写真を贈ってくれました。とても百歳とは思えないお元気そうなご様子で心強く思いました。その足で、正馬先生の妹さんの孫のご主人に、命日(一九三八年四月十二日、肺炎にて自宅で死去。国家総動員法公布。)のご挨拶をして来られたそうです。

 そんなことを議論するよりも、森田療法の普及・発展に力を入れた方がよい! は、私も大賛成です。天国で眠る森田先生も「神経質諸君、君らは一体何をやっているんだ!」と怒っておられるように私は思えます。理論の学習もよろしいが、如何に普及・発展に力を入れていくか多くの学徒一人一人が立ち上がって良き教えを伝えたり、家庭で職場で大いにその教えを実践して欲しいと思います。

 ありがとうございました!

万代博志様

 コメントいただきありがとうございます。さすが、メンタルヘルス岡本記念財団図書室ではすぐに調べがつきますね。近くに住んでいれば私も利用したいのですが、なかなか足を運べなくて残念です。
 確かに学術的には翻訳の際に「読み」の問題はありますね。慈恵医大森田療法センターではどう回答しているかちょっと興味あります。
 それにしても「読み」の問題で論争しているヒマがあったら一人でも多く神経質に悩む人を援助するのが森田療法に関わる人間の使命だと思います。

 井上常七さんもついに100歳を迎えられたのですね。やはり神経質は呆けずに長生きできるものです。森田先生も結核がなければ高良先生や鈴木知準先生のように長生きできたことでしょう。

ー正式な読みが「マサタケ」で通称「ショウマ」というだけのことであって、どちらも正しいー

全くその通りですね。こんなところで引っかかるようでは「自然に服従し境遇に従順なれ」の実践など、夢のまた夢、遥か彼方ですshock

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 どちらでもよいので、少しでも多くの人に森田先生のことを知って欲しいと切に願っています。

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