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2009年4月20日 (月)

神経質礼賛 418.はちきん

 先週の土曜日の朝、出勤前にNHKラジオ「著者に聞きたい本のツボ」という番組を聞いていたら、「毎日かあさん」でおなじみの漫画家・西原(さいばら)理恵子さんがゲストだった。といっても漫画ではなく、最近出した「この世でいちばん大事な「カネ」の話」(理論社)という本についてだった。「金がないのは首がないのと同じ」という副題が付いている。

 インタビューで西原さんは息もつかずに一気に話していた。西原さんは高知県の貧しい漁村で生まれた苦労人である。子供の頃、手にするお金は魚のニオイがしていた。漫画家として世に出るまでの間、キャバレーでも働いたそうである。漫画家として認められてからも夫のアルコール依存症で苦労した。一旦は離婚して夫が「底をつく」体験から立ち直ってまた同居するようになったが病気で亡くなっている。西原さんからの熱いメッセージで印象に残ったのは、「人が人であることをやめないために人は働いている」「八百屋のおばあさんと同じで体が悪かろうが何だろうが、とにかく「お店」を閉めちゃダメ!」である。これは、ニートの若者ばかりでなく、神経症であることを言い訳に学校や仕事を休むような人に対する強烈なゲンコツになりそうだ。西原さんの著書の題名は一見、「守銭奴のススメ」とも取られかねないが、インタビューを聞いた限りでは、生の欲望に沿って、人間らしくしっかり働いて稼いでいきなさいよ、ということなのだと思う。

 土佐人で気骨のある男性を「いごっそう」、女性を「はちきん」という。「はちきん」は4人の男性(キン○○8個)を手玉に取るからだという俗説もあるが、そもそもは男性にも使われた言葉だそうだ。西原さんはパワフルで一途に突っ走る「はちきん」そのものである。

私の恩師・大原健士郎先生も土佐のご出身なので、森田療法の講演の際には「いごっそう」と「はちきん」の話をよくされる。土佐出身の森田正馬先生は「いごっそう」で奥さんの久亥(ひさい)さんは「はちきん」だった。「いごっそう」と「はちきん」では両方ともパワーがあるし強情でもあるから、夫婦喧嘩は派手で、離婚寸前までいったこともあるようだ。

 森田療法は家庭的療法であり、久亥の助力は大きかった、と森田先生は書かれている。久亥さんは日常生活の中での患者さんの指導で大きな役割を果たしたばかりでなく、できの悪いお弟子さんたちをかわいがり、その人たちもやがては大学教授や病院長として出世していった。

 久亥さんは、森田家が経済的に豊かになってからも刺身や肉は口にせず、先生にはおいしいものを食べさせても自分自身は節約をしていたという。そして、「貧乏だった頃が懐かしい。何でも買えるようになると不幸だ」というのが口癖だったそうだ。若くて貧乏な時には、あんな物を買いたい・こんな物を買いたい、と夢を抱いていたのが手に入ってしまうと、輝いていた夢が色褪せてしまうのであって、ある意味幸せな不満でもある。久亥さんの人生は森田先生の言葉「己の性(しょう)を尽くし、人の性を尽くし、物の性を尽くす」を体現したものだったと言えよう。

 現代では男性の元気がなくなり、「はちきん」タイプの女性が増えているのではないだろうか。NHKの朝ドラのヒロインたちも元気一杯の「はちきん」タイプが多いようだ。私のようなショボくれた中高年男ではパワーの点でとてもかなわないが、せめて西原さんの言われるように、「お店」を閉めずに、細く長く働き続けたいものだ。

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