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2009年5月 4日 (月)

神経質礼賛 422.チャイコフスキーの神経症症状

ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)はロシアの作曲家で叙情的な極めて美しい名曲を数多く残している。幼少時から神経過敏で「ガラスのような少年」だったという。10歳で法律学校に入学。14歳で母をコレラで亡くし、大きなショックを受けている。法務省に勤務するも音楽学校に入りなおして音楽家への道を歩むことになる。成人後も心気症に悩まされ、内気で友人が少なかった。

 彼の作曲活動は必ずしも順風満帆ではなかった。交響曲第1番「冬の日の幻想」を作曲した頃は、不眠症・腸の痙攣・激しい頭痛に悩まされた。今では名曲とされるピアノ協奏曲第1番、ヴァイオリン協奏曲とも、「演奏不能」と決め付けられて初演にこぎつけるまで苦労している。

 彼はうつ状態を繰り返していて、37歳で28歳のアントニーナと結婚するも結婚生活に耐え切れず、入水自殺未遂のエピソードもある。彼にとって大きな支えとなったのは鉄道王の未亡人メック夫人だった。13年間経済的援助を受け、その間に1000通以上の手紙を出している。二人は直接会ったことがなかったと言われる不思議な関係だった。メック夫人からの援助が打ち切られた時も大きな衝撃を受け、激しく気分が落ち込んだという。チャイコフスキーは交響曲第6番「悲愴」の初演後にコレラで急死しているが、貴族の甥とホモセクシャル関係であったため訴えられて毒殺されたという説もある。

 チャイコフスキーの音楽は誰しも聴いたことがあるだろう。私にとってもなじみが深い。小学生の時、学校に神奈川県警のブラスバンドが来て、組曲「くるみ割り人形」を演奏してくれたのを聴いて、とても感銘を受けた。中学の音楽鑑賞で「アンダンテ・カンタービレ」を聴いて気に入り、自分でも好んでヴァイオリンで弾いた。高校生になってステレオ・アンプを自作し、最初に買ってきたレコードがチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲である。本当はA面のメンデルスゾーンの協奏曲を聴こうと買ったのだが、B面のチャイコフスキーの協奏曲の虜になってしまったのだ。次に買ったのが交響曲第4番だった。中高年となった今では交響曲第6番「悲愴」をよく聴く。第4楽章の最後のところはだんだん呼吸が弱くなり、心停止に至る、人間の最期を描写しているように思えてならない。

 チャイコフスキーは現代の精神科診断ではおそらく反復性うつ病性障害に該当するだろう。「白鳥の湖」に代表されるような甘く切ない旋律は、うつ状態を経験しなければ生まれなかったのかも知れない。チャイコフスキーはメランコリー親和型の性格だったと考えられるが、それだけではあれだけ多くの名曲を残すのにはエネルギーが足りないだろう。「生の欲望」が強い神経質としての面も持ち合わせていたのではないかと私は考えている。

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コメント

先生こんにちは。先生は本当に音楽がお好きなんですね!!
あと少しで帰国なんですが、課題が大変です。気温も20度以上の上昇・下降があって、ものすごいストレスがたまっています。顎に吹き出物がたくさんできてしまいました・・・。

20日に成田空港に到着するのですが、インフルエンザ騒ぎでげんなりしています。どうして100年程前のスペイン風邪と比較するのでしょうか。当時と今の衛生状況・人口に対する病院数や医療技術の発達。何もかも違いすぎるじゃないですか。

メキシコの山奥など途上国と先進国では発症してからの医療対策に雲泥の差があるでしょうに。なぜここまで大騒ぎするのか、専門家のご意見を伺えたら、と思います。

 コメントいただきありがとうございます。インフルエンザ騒動、大変なものですね。もちろん油断はできませんが、少々騒ぎすぎという印象はあります。死者が多数出たメキシコでは医療水準の問題があり、必ずしも先進国に当てはまるわけではありません。強毒性の変異ウイルスが出たら大変ですが、今のところ弱毒ウイルスですので、通常のインフルエンザと同様の防御体制でよいのでは、と思います。流行地でのマスク、手洗い、うがい、入出国時の検疫強化という対策で良いでしょう。M厚生労働相のスタンドプレーも選挙対策のようにも見えて気持ちがよいものではありません。横浜の高校生が修学旅行でA型インフルエンザにかかったのを、あたかも新型インフルエンザのように発表してM大臣が横浜市の対応を非難したのもいただけません。
 とはいえ、神経質を活かして感染防御されるとよいかと思います。最後の難題をクリアして御無事に帰国されることと思います。

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