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2009年5月 1日 (金)

神経質礼賛 421.ワーグナーの神経症症状

先日、図書館で「天才と病気」(ネストール・ルハン著 日経メディカル編)という本を見つけたので読んでみた。その中から今までこのブログに登場していない作曲家ワーグナーとチャイコフスキーを紹介しよう。今回はまずワーグナーである。

リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)は、ドイツの作曲家で「歌劇王」として有名である。歌劇にはなじみがない方も多いだろうが、映画「地獄の黙示録」で使われた「ワルキューレの騎行」は聞かれたことがあるだろう。「ワルキューレ」は4夜続けて上演される超大作「ニーベルングの指環」の一部である。「ニュルンベルクのマイスタージンガー」序曲は大学の入学式などでよく演奏される曲であるし、「タンホイザー」の中の曲はテレビCMのBGMとしても使われたことがある。ワーグナーは、同時代のブラームスとともに作曲家の二大巨頭で、当時の音楽界はワーグナー派とブラームス派に二分されていたほどだ。随筆「音楽におけるユダヤ性」でユダヤ人作曲家のメンデルスゾーンやマイアベーアを「金儲けのユダヤ人には真の芸術はできない」と非難し、反ユダヤ思想でも知られる。のちにヒトラーがこの随筆を愛読し、ワーグナーの楽劇に心酔している。現代でも熱狂的なワーグナー信奉者がいてワグネリアンと呼ばれている。

ワーグナーは、40代から不眠症・胃痙攣・神経性腸過敏などの神経症症状があり、13という数字を極度に恐れる縁起恐怖もあったようである。皮肉なことに最も恐れていた13日に心臓発作で亡くなっている。

しかしながら、ワーグナーの行動を見る限り、神経質とは言いがたい。もちろん、音楽はすばらしいし作曲家の中でも並外れた創作能力を持った人だったが、人格的にはかなり問題のあった人である。浪費家で借金をしまくっては踏み倒す。有名な指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻コジマ(リストの娘)と不倫関係になって子供をもうけた以外にも女性関係がだらしない。偽名で自分の作品を賞賛する投書を新聞社に送りつけたことも知られている。嘘言癖があり、過剰な自信家であって、そのため敵も多かった。現代の精神科診断では自己愛性パーソナリティ障害および演技性パーソナリティ障害に該当しそうである。もっとも、そういうパーソナリティだからこそ、非日常的な極めて劇的で壮大な歌劇を作ることができたのかも知れない。神経質ならばもっと地味な音楽になったことだろう。

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