神経質礼賛 446.自分のニオイ
関東地方の梅雨明けが発表され、最高気温34度といった厳しい暑さがやってきた。夜中から明け方にかけても気温25度以上の熱帯夜である。私は汗かきなので、朝、駅のホームに着いた時には汗が噴出し、ニオイが少々気になる。加齢臭も気にしなければならない年頃である。周囲の人に迷惑をかけないように神経質を発揮した方がよさそうである。普段、電車から一番先に降りられるように早めに席を立って、ホームの階段近くに止まるドア前を陣取っているのだが、すぐ後ろにやってくる年配男性がタバコ臭・ポマード臭・怪しげな香水の匂いが渾然一体となった臭気を発していることがあって、閉口する。自分もこうだと困るなと思う。
先日、アメリカ帰りの方からSpray Mistという名前の消臭スプレーをいただいた。ラベルには天然塩を使ったもので有害な化学物質や香料は使っていない、と書いてある。また、No Alminium chlorohydrateとある。塩化アルミニウムは多汗症の治療に皮膚科で処方される薬剤で、市販の制汗剤にも使われている成分であるが、それは含んでいないということだ。本当に効果があるのだろうか、と半信半疑、出勤前にスプレーしていつものように駅に向かった。汗は少し減ったような気がする。そして、なぜかにおわない。全く不思議である。どういう機序で効くのだろうか。ラベルをよく見直してみると、成分表示にNatural Mineral Salts(potassium Alum)とある。カッコ内は(カリウム ミョウバン)のことである。ミョウバンは漬物などの食品の添加物として使われている。その一方で、古くから制汗剤・消臭剤として使われてきたということだ。現在でもミョウバンを含んだ消臭石鹸が製造されている。Spray Mistの有効成分はミョウバンだったのだ。これで謎が解けた。
自分のニオイをある程度心配することは悪いことではないが、それが過度になってしまうと自己臭恐怖という強迫神経症の一種になる。実際にはそれほど臭わないのに自分から発するニオイのために人から嫌われていると思い込み人を避けてしまうものだ。必要のないワキガの手術を受ける人もいる。知らないうちに「おなら」が漏れていると訴えていわゆるドクターショッピングする人もいる。関係妄想に近い重篤な状態ともなると難治であり、統合失調症に用いるような薬剤を使う必要がある場合も出てくる。やはり、過ぎたるはなお及ばざるが如し、である。ニオイの心配はほどほどが一番だ。
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