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2009年8月21日 (金)

神経質礼賛 457.新しい抗うつ薬リフレックス

 近日中に新しい抗うつ薬リフレックス(一般名ミルタザピン)が発売されることとなった。脳内のノルアドレナリンとセロトニンの放出を促進する今までにない作用機序を持つNaSSA(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)という新しい種類の薬である。意外と思われるかもしれないが、従来の抗うつ薬でプラセボ(偽薬)に対して有効性を示せた薬はない。うつ病はそもそも自然治癒する病気であるし、プラセボによる暗示効果が出やすいからである。「抗うつ薬の最大のライバルはプラセボ」と関係者の間でささやかれていた。このリフレックスは初めてプラセボに対して有意差を示せた薬剤だそうである。それだけ効果が高いということになる。また、従来の薬が効果を示すまで時間がかかったのに対し、投与1週目から効果が発現する。他の薬との相互作用が少ないのも特長だ。

 アメリカ流の診断基準が主流になって、うつ病の「ストライクゾーン」が大幅に拡大されるとともに、現在抗うつ薬の中心となっているSSRIはパニック障害・強迫性障害・全般性不安障害といった神経症も適応疾患としているため、SSRIの売上は毎年「うなぎのぼり」であり、製薬会社の稼ぎ頭となっている。売上が減っては困るということで、早くも、SSRIを販売している某メーカーはリフレックスの「ネガティブキャンペーン」的なマイナス宣伝を始めている。今ではあまり処方されなくなっている四環系抗うつ剤テトラミド(一般名ミアンセリン)の構造式と新薬リフレックスの構造式を並べて見せて、「ほら、構造式がほとんど一緒でしょう。新薬ではなくて古い四環系抗うつ薬に過ぎないんですよ」と言う。

 実際に広く使われるようにならないと分からない点もあるが、不眠や焦燥感の改善効果はSSRI以上に期待できそうであるし、パキシル(一般名パロキセチン)などのSSRIで問題となっている賦活症候群や離脱困難は起りにくいと考えられるので、使ってみたい薬である。

SSRIが日本で発売されて10年になる。江戸時代の何でも葛根湯を処方するヤブ医者のように、うつでも不安でもSSRIを安易に処方することを批判する記事(20話:葛根湯医者vsSSRI医者)を以前書いたが、新薬の登場が安易な処方を見直す契機になってくれたらと思う。

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