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2009年10月19日 (月)

神経質礼賛 477.アルコールと不眠

 土曜日の外来に40代男性が産業医の紹介状を持って受診した。不眠と意欲低下が主訴で、産業医の先生はうつ病ではないか、と心配して紹介されたようだ。しかし、表情や会話のテンポなどからは、うつ的なところは見当たらないし、簡単な心理検査でもうつ病は否定的である。体重減少もない。寝つきはいいが、午前2時や3時に目が覚めて、それからは眠れないという。職場でのストレスはあるのだろうが、工場の生産現場で夜勤や残業や休日出勤はない。会社の寮で単身赴任生活をしており、週末には自宅に帰っている。問題は生活習慣である。日本酒を毎晩3合飲み、趣味はパチンコとのことである。

 寝酒という言葉があるように、アルコールを飲むとよく眠れるので睡眠薬を飲むよりいい、と思っている方も少なくないだろう。ところが、アルコールは睡眠に悪さをするのである。アルコールを飲んで眠くなるのは、意識レベルに関与する脳幹部の網様賦活系を抑制するためである。一見、寝つきはよくなったように見えて、睡眠の質は悪くなっている。一部の睡眠薬でも似たような問題があるが、レム睡眠が抑制されて、「眠ったような気がしない」「疲れが取れない」という感じになりやすい。それにアルコール濃度が低下してくると中途覚醒してしまい、そこから眠りにくくなる。ウトウト眠っても、それまで抑制されていたレム睡眠が反動で出てきて、「悪夢を見る」「変な夢ばかり見て疲れる」ということになってしまう。また、人間の体温は日中上昇し夜間低下するリズムがあり、夜は眠りやすくなっているのだが、アルコールのカロリーは体温上昇に使われるので、睡眠リズムがおかしくなる一因となりうる。それに、休肝日なしに飲酒していたら、体の負担も出るので、特に朝は元気が出ない、ということになるはずである。

 結局、前述の方には、アルコールが睡眠に悪さをするということを説明し、なるべく飲酒しない日を作ること、休日はなるべく体を動かすこと、といった生活上の注意をして、飲酒しない日にどうしても眠れなければ服用するように、と睡眠薬を少量だけ処方しておいた。

 神経質な人で不眠を気にする人はよくいる(60話・463)。しかし寝酒のアルコールは感心しない。今日は眠れなくても仕方がない、とあきらめていれば、いつしか眠っているものである。

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コメント

昔、不眠傾向が出だしたころ、お酒を飲むのが一番と思い、強いウィスキーを飲んでいました。
それでも少しずつ量が増え、ついにお医者さんに睡眠導入剤を処方してもらうようになりました。
お酒を飲むと睡眠の質が悪くなるというのは体験済みです。
今ではあれだけ好きだったお酒をほとんど飲みません。
人間の嗜好というのは変わるものですね。

スローライフ様

 こんばんは。コメントいただきありがとうございます。アルコールが睡眠に悪影響を及ぼすのは、恥ずかしながら私自身「体感」するところです。スローライフ様のように機会飲酒レベルが理想的です。若い頃に比べて量は減りましたが、当直続きの後で帰宅すると、緊張感が緩んでついつい飲んでしまいます。飲むにしてもアルコールは食事をおいしくする程度に留めておくのが良いようです。

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