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2009年11月16日 (月)

神経質礼賛 486.対人恐怖の告白

 最近送られてきた日本森田療法学会雑誌の最新号(第20巻2号)に、黒川順夫(のぶお)先生の、<「パニック障害」および「対人恐怖症」に対する森田療法実施の相違点>という論文が載っていた。35話で述べたが、黒川先生は「主人在宅ストレス症候群」という著書で有名であり、大阪で内科クリニックを開業されている。かつては御自身が「対人恐怖症」に苦しみ、水谷啓二さんのもとで森田療法を受けられた。そして医大卒業後、九大の心療内科で学ばれているが、そのきっかけは、心療内科の大家である池見酉次郎教授もかつては赤面恐怖症で悩み、森田療法を受けたことがあると知ったためだそうである。学会発表や論文では御自分を「症例」として発表されている。

 黒川先生はパニック障害の患者さんたちに「歩行訓練療法」というユニークな外来森田療法を行っている。パニック障害の人はパニック発作を恐れるために、電車、会議、美容院、歯科治療など途中で抜け出せない場面を避けるようになり、さらには一人では外出も困難になってしまう。歩行訓練療法は、まず徒歩20分程度の目標地点とコースと時刻を決め、短い距離から始めて、だんだん距離をのばしていく、不安はあっても一人で歩行し乗車できるようにしていくというものだ。認知行動療法の系統的脱感作療法と似ているが、昨日の地点までは今日も必ず歩くように指導し、症状の有無を問題にしないところに森田療法的な特徴がある。

 パニック障害の場合は人に告白して依存したいという「甘え」があるので告白しやすいのに対して、対人恐怖の人はそもそも「人前で赤くなってはいけない、恥ずかしがってはいけない」という自分の弱みを見せたくない心理が働くので、なかなか人に告白できるものではない。黒川先生は月1回集団療法を行い、そこで自分の症状について告白してもらうようにしている。緊張しながらも逃げずに行動できるのが第一のゴールだとすれば、人前で隠さずに告白でき、建設的・積極的な行動ができるのが最終ゴールだとしている。パニック障害の場合、比較的短期間で改善し、「頓悟」ともいえる状態になりやすいが、対人恐怖の場合、年数を要し、「漸悟」のことが多いという。黒川先生の場合、患者さんに対して御自分が対人恐怖だったことを告白できるようになったのは50歳頃のようだ。私も患者さんの前で自分が対人恐怖だったと告白することはできなかった。弱みを見せたくない意地っ張り根性もあったし、精神科医が対人恐怖だったというのではまずいだろうという「悪智」が働いたこともあるだろう。黒川先生と同様、50歳近くなってやっと公然と言えるようになった。

 赤面恐怖・対人恐怖(今風に言えば社交不安障害)に悩んでいるが近くに森田療法を指導してくれる医療機関がないという方には、「生活の発見会」に参加されることをお勧めしたい。全国各地で月1回の集談会が開かれている。最終ゴールに向けて大きな一歩となるはずである。

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コメント

礼讃さん、こんにちは

パニック障害が解明されてなによりです。

わたしも1日も早く治りたいです!

TheBeachより

礼讃さん、こんにちは

パニック障害が解明されてなによりです。

わたしも1日も早く治りたいです!

TheBeachより

TheBeach様

 症状の有無を問題にしない生活態度が身についてくれば、いつしか自然に症状自体も軽減してきて、さらには気がついたら症状がなくなっていた、そんな治り方をするものです。パニック発作に対する不安はありながらも、仕事や勉強に取り組んでいかれるとよいでしょう。

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