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2009年12月28日 (月)

神経質礼賛 499.年末の匂い

 寒い季節になってくると、暖かい食べ物の匂いの引力がことさら強くなってくる。仕事帰り、風が吹きさらしの駅のホームで電車を待っていると、立ち食いそば屋から流れてくる醤油とカツオだしの入り混じった匂いが強烈である。その誘惑を振り切って電車に乗るが、降りた駅のコンコースでは天津甘栗が甘く香ばしい匂いを発している。歩いて家に着くまでの間には酒場から流れ出るヤキトリの煙、とんかつ屋でカツを揚げているゴマ油の混じった匂い、喫茶店から流れ出るコーヒーの香り、イタリア料理店の換気扇からは焦げたガーリックの匂い、どれも「おいでおいで」と囁きかけてくるようで、つい寄道したい衝動にかられつつ足早に帰宅する。・・・家で待っていたのはアジの干物を焼く煙だった。

 年末にはまた特有の匂いがある。デパ地下を通れば、色彩豊かなおせち料理が並び、イクラや数の子などの並ぶ海産物売場が活気を呈している。匂いは嗅覚で感じるばかりではない。海産物を見ていると何となく磯の匂いがしてくるし、紅白の酢の物を見ているとすっぱい匂いがしてくる。「パブロフの犬」ではないが、見ただけで脳が匂いを感じるという面もあるのだ。そもそも古文で「匂う」と言えば、嗅覚よりも視覚的に受けたインパクトが主である。

 森田正馬先生の短歌にも匂いばかりか湯気がたちこめてきそうなものがあるので紹介しておこう。先生の奥さんの心の温かみまで感じられる。

 我妹が 設けて待ちつる 湯豆腐に 一日の疲れ 忘れ果てゝき(森田正馬全集第7p.445

味噌汁の ねぎの匂ひの 鼻に入りて ふと腹へりぬ 物書ける時(同 p.447

 働きづめの神経質もちょっと一休みである。

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