神経質礼賛 ４９１．怠けアリも必要
11月28日付読売新聞夕刊に「怠けアリ」も立派な働き手、と題する記事があった。北大の生物学者の研究で、アリの集団を1匹ずつ識別できるようにして1ヶ月間仕事振りを調べた。すると、よく働くアリとほとんど働かないアリがいる。そこで今度はよく働くアリだけ、ほとんど働かないアリだけを集めてそれぞれの集団を観察すると、どちらも前の集団と同様によく働くアリとほとんど働かないアリが同じ割合で見られたという。アリも働き続けると疲れて休む。幼虫や卵の世話は少しでも中断すると集団の死につながるので、わざと働き方に差が出る仕組みになっているのではないかという。働き者の代表と思われているアリもむやみに働きっぱなしというわけではない。長続きするようにうまく調節しながら働いているわけである。それにしてもアリ１匹１匹の働きぶりを根気強く長期間観察するとは何と神経質な研究者だろうか。大したものである。
察するところ、ほとんど働かないアリというのは「充電中」であって、フル充電になったらまた働くようになり、疲弊したアリが交代で充電期間に入るのだろう。その辺は人間の怠け者とは違うところだ。意志薄弱者はどこへ行ってもダメである。などというと、「自分は意志薄弱でダメ人間だ」と悲観する神経質人間がいるかもしれないので、生活の発見会の創立者・水谷啓二さんが学生時代に森田先生のところに入院中に書いた日記から引用しておこう。
神経質はズボラに見へるけれども、本質は努力家である。仕事の選択や・価値批判のために、努力が費やされて、仕事其ものになりきらないから、ズボラに見へるのである。
（白揚社：森田正馬全集 第4巻 p.157）
神経質が活用できるようになれば、神経質人間は人一倍有能であり、「いい仕事」ができる。そして効率よく充電できるようにもなるものである。
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とても興味深い記事をありがとうございました！
「忙しい、忙しい」といって疲労困憊することは、必ずしも「良質の仕事」を意味しないと思います。忙しそうに見えて、実は仕事をしていない、なんてこともけっこうあります。逆の例としての過労死なんてもってのほか。仕事の選別・優先順位づけは本当に大切なことだと思いますね。
ところで今日、大学構内でいわゆる「新型」インフルエンザの予防接種を受けました。市内に住む住民の方々も来ていて、予定時間は正午から夕方の六時まででした。かなりの人数分のワクチンがあったと思います。なぜアメリカにはワクチンがあるのでしょうか？
投稿: | 2009年12月 3日 (木) 12時20分
コメントいただきありがとうございます。持っている力を空回りさせないで有効利用していくことが大切ですね。
うーん・・・、そんなにワクチンが余っていますか。予防に熱心な人がそれほど多くないということなのでしょうか？それともワクチン接種料金を払うのが大変な人もいるということでしょうか？米国の事情はちょっとわかりません。マスクに関しても日常生活では欧米人はしませんから。
ただ、ワクチンを接種しても効果は５か月位しか持続しませんから、効果がなくなる頃にはまた接種しなくてはなりません。ですから世界的な流行が続くとなると、大量のワクチンが必要でしょうね。
投稿: 四分休符 | 2009年12月 3日 (木) 20時24分
お返事ありがとうございました！ちなみに前回は季節性のワクチンに対して30ドルの実費でしたが、今回は無料でした。こちらの保険制度、本当によくわかりません。
すでに罹患して回復した人は接種の必要がなかったと思います。たしかに私の周囲の人達はそれほどインフルエンザに対して「神経質」ではありません。とにかく様々な国からいろいろな人が来るわけで、いちいち気にしていても仕方がないからでしょうかね。
日本人は責任問題に関してものすごく「神経質」だと思います。インフルエンザ感染にしても犯人探しのような感じで。ここではそんなことはありません。
ちなみにうちの家族は日本にいながらにして「なるようになれ派」です。できる予防はしつつも、感染したら自宅で静かにしてれば良し、と達観（？）しています。
投稿: | 2009年12月 4日 (金) 03時51分
新型インフルエンザワクチンが無料で
接種できるとなれば日本では希望者が殺到
しそうなところですけれど面白いもので
すね。その辺は国民性なのでしょう。
季節性インフルエンザワクチン３０ドル
は日本でも３０００円位が相場なので似た
ようなものです。
どっちみちワクチンの効果も５か月位
しか続かないので、できることはやって、
あとは達観するのが正解かもしれません。
投稿: 四分休符 | 2009年12月 4日 (金) 22時23分