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2009年12月 7日 (月)

神経質礼賛 493.キャリーバッグの氾濫

 以前、東京駅のエスカレーターでキャリーバッグが落ちてきてヒヤリとした話(68話)を書いたが、それから3年以上経ってみると、キャリーバッグをガラガラ引きずって歩く人が大幅に増えている。新幹線ホームの電光掲示板ではキャリーバッグによる接触事故が増えています、と注意を喚起してはいるが効果はないようだ。海外旅行用の容量50-60リットルもあるようなバッグでは確かにキャスターも欲しくなるだろうが、近頃は小さなバッグまでもが長い取っ手が付いている。本人は横着ができても、混雑した通路では他の人が足を引っ掛けたり、バッグ同士が引っかかったりして危険である。心配性の神経質にとっては我慢のならない状況になってきている。

 最近では飛行機の手荷物としてキャリーバッグを持ち込もうという人が増えて、それが原因で発着が遅れるという事態が起るようになり、この12月から、100席以上の国内線旅客機で手荷物の大きさ制限が厳格化された。3辺の合計が115cm以内でかつ幅55cm以内・高さ40cm以内・奥行き25cm以内という規定である。そこでとばっちりを食ったのがヴァイオリン・ヴィオラの小型弦楽器である。容積はそれほどないので3辺合計はクリアできるが、長さ(幅)でひっかかってしまう。衝撃に弱いし、プロだと数千万円する楽器もあるから預けるわけにはいかない。片道1万円の追加料金を払えば荷物用の座席を確保してもらえるとのことだが、不景気の影響で経営の厳しいオーケストラにとっては40人や50人分の追加料金は大出費で死活問題になっているという。それに飛行機の座席がもったいない。その分、乗客を乗せた方が合理的である。地方巡業を取りやめるようになったら、ますます東京と地方の文化格差は開いてしまうのではないか。

 便利なはずの道具がいろいろな問題を引き起こす。製品開発担当者はもっと神経質になって先の心配をしてほしいものだ。

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