神経質礼賛 507.日航法的整理
経営危機に陥っていた日本航空の処理問題が昨年末からニュースをにぎわしていたが、ついに会社更生法による法的整理の方向で動き出した。厚生年金に上乗せされる企業年金は減額された上で保護される見込みで、利用者のポイントであるマイレージも保護されるらしい。株主優待の割引券も保護の対象となる見込みだ。融資していた大銀行は債権放棄で大損害をこうむるし、個人株主も株券が紙切れになってしまう損害を考えると、税金を投入しての企業年金維持やマイレージ保護はちょっと甘い気もするが、やむを得ない事情もあるようだ。とにかく再生にあたり、運航の安全がおろそかにならないようにしてほしいものだ。
一年前にこうなることを予測できた人がどれだけいただろうか。かつてパイロットは男の子の憧れ、スチュワーデスは女の子の憧れの職業だった。そして日本航空は就職先として人気企業だった。日の丸を背負った準公営企業のような存在でもあった。ところが燃料費の高騰、テロやインフルエンザの影響による利用者の減少などで、世界中の大手航空会社は赤字に陥っていて、日本航空も例外ではなかった。さらに不要な地方空港を次々と開港させる誤った行政に乗って、採算の取れない路線を運航させたことも足を引っ張った。どこの航空会社もコスト削減・リストラで窮地を脱しようとしてきた中、事なかれ主義で問題を先送りし続け、高コスト体質から抜け出せなかったと言われている。破綻したアメリカの自動車メーカー・GMと状況がよく似ている。
超一流大企業でも経営を誤ったらたちどころに潰れてしまう厳しいご時世である。経常赤字に陥っている大企業は少なくない。企業年金の運用で巨額の損失を出している大企業もある。今まで大丈夫だったからというような楽観主義・根拠なきプラス思考・鈍感力にあふれた経営陣では社員や株主はたまったものではない。最後には社会全体に損失を撒き散らすことになる。経営陣には会社の危機を察知し警鐘を鳴らすような神経質人間が必要不可欠なのである。
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先生こんにちは!時差ボケが原因で朝4時頃に目が覚める毎日です。5時間も寝られれば良いでしょうか?こちらは寒くて、天気が悪い時は一日中ずっと外が暗いです。
今回のフライトもうんざりするほど疲れました。「神経質」のカケラもない仕事ぶりにあきれてしまいます。5月に帰国したら、しばらくアメリカに来ることはないでしょう。
日本航空のように国の象徴ともいえる企業でも先のことは誰にもわかりませんね。時流の変化に無神経だと、一寸先は闇でしょうか。神経質人間は、むしろ時代の変化を敏感に読み取り先手を打つ傾向にあると思います。潮目の変化をチャンスに生かせるのは、そういうタイプでしょうね。
投稿: | 2010年1月20日 (水) 19時36分
コメントいただきありがとうございます。そちらは緯度が高いので、まだ昼間の時間が短く、一層暗く感じられるかと思います。こちらも例年以上に寒い日が続いていたのですが、今日は暖気が入り込みなぜか最高気温が20℃の馬鹿陽気です。
時差ぼけは辛いでしょうね。とりあえず、5時間眠れればまずまずでしょう。
神経質の足りないサービスではたまったものではありません。テロ対策強化で、衣服を透視する装置を導入するなんていう話もあって賛否両論が出ていますね。
おっしゃるように「潮目の変化」を感じ取る、ということはとても大事なことだと思います。私が最初に出た大学で指導をされた先生は「君たちはエンジニアではなく感ジニアになれ」とよく言っておられたのを思い出します。時流を感じ取って「いい仕事」をしろということだったと思います。
日航は天下り役人天国みたいなところもあったようですから、親方日の丸に安住して、危機感が希薄になってしまった面もあったのでしょうね。
投稿: 四分休符 | 2010年1月20日 (水) 22時27分