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2010年2月19日 (金)

神経質礼賛 518.日本近代音楽館

 先週末は日本近代音楽館へ行ってきた。名ヴァイオリニストのハイフェッツから「百年に一度の天才」と激賞されアメリカに渡るも睡眠薬の大量服用から脳障害をきたし悲劇の生涯を送った「神童」渡辺茂夫さんの遺品が日本近代音楽館に寄贈された、という昨年12月の新聞記事を読んで、その存在を初めて知った。残念なことに3月で閉館となるので何とか一度行きたいと思っていた。

今でこそ武満徹の作品が世界的に有名にはなっているが、日本人作曲家の作品は演奏されることが少なく楽譜を入手することも困難である。日本近代音楽館は1987年に音楽評論家の遠山一行氏らが設立したもので、山田耕筰をはじめとする日本人作曲家の自筆譜や関連資料を多数収蔵し、公開している。私が興味を持っているのは山田耕筰作曲弦楽四重奏曲第2番ト長調である。巌本真理弦楽四重奏団のCDで聴いて大変感銘を受けた曲だ。一楽章構成で演奏時間5分ばかりの短い曲。出だしはベートーヴェンの若い頃の作品を思わせ、上昇音型が日の出の光景を連想させる。私の頭には5月頃の農村の朝の爽やかな風景が浮かぶ。小鳥がさえずり、人々も田畑で働き始める。山田耕筰はそもそも声楽科出身で「この道」「赤とんぼ」「ペチカ」「待ちぼうけ」などの歌曲・童謡が有名であるが、こんなにすばらしい器楽曲も作っていたのだ。もっと演奏されてしかるべきだ。日本近代音楽館が刊行した「山田筰作品資料目録」は百科事典1冊分くらいの本で、曲名などのデータが収録されている。全国の大学・高校・小中学校の校歌や企業の社歌も多数作曲しているので大変な数である。大学の校歌で有名どころを拾ってみると、一橋大、東京芸大、明大、日大、同志社大、関西大、関西学院大などがある。

お願いして弦楽四重奏曲第2番自筆譜のマイクロフィルムを見せていただいた。以前に奏楽堂で見た中田喜直(346)の神経質で完全主義傾向が窺われる自筆譜と違い、山田筰の自筆譜からは自由でおおらかな性格が感じられた。閉館前でいろいろとお忙しい中、マイクロフィルムの使い方から御親切に説明して下さった学芸員の方には本当に感謝している。また、この楽譜が(株)クラフトーンという会社から出版されていることも教えていただいた。同社の「山田耕筰作品集」というホームページには山田耕筰作品で販売またはレンタルしている楽譜の一覧があり、「山田耕筰作品集校訂日誌」というところをクリックすると楽譜の校訂を担当している方のブログが読めて、これがなかなか楽しい。

明治・大正時代の音楽家たちは、ヨーロッパの音楽を学び模倣した上で、日本音楽の独自性を打ち出していった。同じ時代、精神医学の世界でも多くの医師たちがドイツ流の精神病理学や治療法を学び模倣していったが、そうした中で独自の神経質理論と治療法を打ち出していったのは森田正馬先生だけである。グローバルスタンダードと称してアメリカに従えの昨今であるが、芸術でも医療でも、日本独自の良いものを埋もらせておくのは実にもったいない。そのすばらしさを世界に向けて発信していきたいものである。

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