フォト
無料ブログはココログ

« 神経質礼賛 513.連続不審死事件 | トップページ | 神経質礼賛 515.知らぬが仏 »

2010年2月 8日 (月)

神経質礼賛 514.嘘

 日経メディカル1月号に「医師のためのパフォーマンス学入門」という女性の心理学者が書いている連載で、患者の「嘘」をどこで見抜くか、という題名の記事があった。同じ話をした時の言葉の矛盾だとか、口調だとか、顔の表情から嘘が見抜けるという。かつて流行した演歌に「うそ」という歌があった。「折れた煙草の吸殻で あなたの嘘がわかるのよ 誰かいい女できたのね」というような歌詞だったろうか。ちょっとしたしぐさを観察して嘘を見抜く能力は女性の方が長けているようだ。

 私が大学病院勤務時代、30代の太った女性が外来に通院していた。前任者から引き継いだ人なので、あまり詳しくは覚えていないが、目つきが鋭かったのと、御本人の雰囲気には不似合いなブランド品を身に付けていたのが印象的だった。3つ子がいて超低体重で生まれたため東京の某有名病院に入院したままだ、という。私はどうも怪しいと思って、同じ綴りにある、同時に通院している産婦人科のカルテを見ると、妊娠0回、出産0回とあった。嘘は明らかである。子供が危篤だと言っては公務員の夫から金を巻き上げていた。夫が子供に会いたいと言うと、ICUに入ったままで母親の自分でさえ会えないと言っていたらしい。夫はいつも金策に走り回り、ついに職場の備品を持ち出して密かに売却したのがバレて懲戒免職になった。その後、この女性は受診しなくなったのでどうなったかわからない。

 クレペリンという精神病理学者が唱えた精神病質という人格類型の中に「虚言者」がある。異常に活発な空想力を持ち、それに熱中し、過去も現在も未来も好きなように思い描き、空想と現実の区別が付かなくなる、というような人である。しかし、この女性にせよ、前回の連続不審死事件の容疑者にせよ、虚栄心の強いヒステリー性格であるとしても、「虚言者」というレベルではなく、全部承知の上でやっていたことであろうと思われる。

 嘘をついたことのない人はまずいない。大人になれば時には方便としての嘘も出る。しかし、虚言癖の人がいたら周囲の人々は大迷惑である。小心者の神経質人間の場合、嘘をつくのが下手であり、嘘で人に迷惑をかけることも少ないだろう。

« 神経質礼賛 513.連続不審死事件 | トップページ | 神経質礼賛 515.知らぬが仏 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 神経質礼賛 513.連続不審死事件 | トップページ | 神経質礼賛 515.知らぬが仏 »

最近のトラックバック

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30