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2010年3月19日 (金)

神経質礼賛 527.続・不眠症のクスリ

 以前、「不眠症のクスリ」(345話)に書いた患者さんが1年半ぶりに再びやって来た。大正生まれで80代後半の方である。前回初診の時には奥さんがついて来られた。不眠のため、いろいろな医療機関を受診していて、どこでも短時間型睡眠薬と中-長時間型睡眠薬がセットで処方されていた。奥さんに話を伺うと、眠れないからと言って夜中に睡眠薬を飲んで、昼は雨戸を閉めて眠っているということだった。そこで薬は処方せず、日中は明るい外に出て昼夜のメリハリをつける、夕方以降はカフェインの摂取を控える、ムリに眠ろうとしない、などの一般的な注意をして、製薬メーカーで出している睡眠に関するパンフレットを渡したのだった。

今回はお一人でみえた。前回渡したパンフレットを机の上に出して「こういう文学ではなくて実際の薬を出してくれ」と意気軒昂たる口調で主張する。「文学」という表現が面白い。今どんな薬をもらっているのか尋ねると、とぼけている。調剤薬局の薬手帳を見せてもらうと、やはりいろいろな医療機関を受診しては睡眠薬を処方してもらっている。「その薬では効かない。おたくは精神科なんだから効く薬を出してほしい」とのたまう。そこで、「ここで出す薬も同じような薬しかない。前回説明したような生活上の注意が大事で、高齢者では睡眠薬の影響で転倒して骨折する事故も多いのでむやみに薬を出すわけにはいかない。必ずどこかで眠っているし、精神病ではないのだから薬はいらない。眠ろうとしないで、眠りは与えられただけ取ればよい」と(耳が遠い方なので)大声で応酬する。「おたくは本当に変わってるなあ」と言って帰っていかれた。変人の藪医者と呼ばれるのは本望である(笑)。

「患者は毎日熟眠が出来ないといひながら、十二時間以上も臥褥し、五時間・七時間位も睡眠して居るのである。多くの医者は不思議にも、其患者の日常の生活状態や、何時に寝て・何時に起き・其間に如何に睡眠が障害されるか・といふ事を聞きたゞさないで、患者の訴ふるまゝに、不眠と承認して、之に催眠剤を与へるのである。(白揚社:森田正馬全集第7巻 p.401)」

とまさに森田正馬先生が言われた通りでる。神経症性不眠の場合、本当のクスリは生活習慣を改善することと眠ろうとする「はからいごと」をやめることである。

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コメント

先生こんにちは。私の95歳になる祖父のことをすぐに思い出しました(笑)
眠れないからという理由で、これまた高齢の(推定80代後半)のお医者さんから睡眠薬を大量にもらっていました。私の両親が「昼間に会社勤めしているわけでも、責任ある役職に就いているわけでもない。別に寝られないことで不都合はない」と一喝して、祖父は無理に薬に頼ることをやめたようです。

生活習慣は本当に重要ですよね。こちらの冬は長すぎました。二ヶ月間、日光にあたらなかったので精神的ダメージは大きいでしょう。それでも睡眠のリズムは整っていました。ひとえに運動のおかげです。

コメントいただきありがとうございます。

95歳でお元気なのは大したものです。神経質の
おかげで元気で長生き、というお手本かもしれ
ませんね。お父上の一喝も森田正馬先生みたい
で御立派です。

医食同源とはよく言いますが、食生活ばかりで
なく生活習慣全般を見直すことで病気の予防に
なり、病気になっても自然治癒力を高めてくれ
るはずです。

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