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2010年4月23日 (金)

神経質礼賛 538.ストレスコーピング

 一昨日、久しぶりにTVで「たけしの家庭の医学」を見た。以前は「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」という刺激的な題名だったのが「みんなの家庭の医学」と穏やかな題名に変わっていた。今回はうつ病とストレスコーピングに関するもので、東海大学の保坂隆教授が出演し、作家の荻野アンナさんがうつ病になった過程を検証していた。荻野さんは真面目で責任感が強い性格であり、両親の介護や恋人の死といった重大なストレスにさらされてうつ病になった。薬物療法を受けるとともに、ストレスへの対処法を変えて、回復されているという。具体的には介護の中に楽しみを見つけるとか、趣味の時間を作るとか、一日の終わりには少しお酒を飲んで気分転換しているとのことである。いつも問題を正面突破しようとするのでは(古典的)うつ病になりやすいので、時には気晴らししたり、問題を先送りしたり、回避したり、といった複数の対処法を組み合わせることも必要だとしている。例によってゲストたちの検査をしてうつ病になりやすいかどうかを判定していた。また、悲観的な言葉に対する脳血流の変化についての研究例や、うつ病に対する認知行動療法の治療例を示していた。

 ストレスコーピングという言葉は精神科医の間ではあまり使われず、むしろ看護研究などでおなじみの言葉かと思う。精神医学分野で定評のある弘文堂の新版精神医学事典でも「ストレス」の項目の中で「〔ストレッサーとなるできごとに〕対処(コーピングcoping)するのには個人により様式(コーピングスタイル coping style)が異なっている」という一文が記載されているだけである。今回の検査ではコーピングスタイルを積極行動型、気晴らし型、否認型、回避型の4つに分けていたが、実際にはストレス理論によっていろいろな分類がありうる。例えば、市販されている心理検査SCI(Lazarus Type Stress Coping Inventory)はラザルスのストレス対処理論に基づいたもので、対処型を1計画型、2対決型、3社会的支援模索型、4責任受容型、5自己コントロール型、6逃避型、7隔離型、8肯定評価型の8つに分類し、さらに2種類のストラテジー(戦略)・・・問題解決型の認知的ストラテジーか情動中心型の情動的ストラテジーかの志向評価を行うものである。この種のものは健康保険治療で行われる心理検査の中にはない。精神科で行われている健康保険適応の心理検査でコーピングスタイルが分かるのは、P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)であろうか。例えば、通りがかりの自動車が水をはねて自分の服が濡れてしまうといったストレス場面でどのように反応するかをみる検査だ。

 今回の4類型のコーピングスタイルで考えるとしたら、神経症はおそらく積極行動型が乏しい状態ということになるだろう。そして、対人恐怖では回避型、不安神経症や普通神経質では否認型、確認や強迫行為を伴う強迫神経症では気晴らし型が優位になっているだろうと推測される。森田療法的アプローチで不安はありながらも行動していく習慣になってくれば積極行動型が伸びて、バランスよくストレスに対応できるようになってくるものと思われる。

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