神経質礼賛 550.自信はいらない
私も含めて神経質な人は、何か事をしようという前にあれこれ考えがちである。「ちょっとむずかしそうだな」「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったら恥をかくだろうな」。やる前からあれこれ考えて取越苦労してしまう。そして自信がないからやめておこうか、ということにもなる。無鉄砲なことはしないから大失敗をすることはないのだけれども、尻込みしてせっかくのチャンスを逃すことにもなる。森田先生は自信について次のように述べておられる。
そもそも自信とは、どんなものですか。強い人が勝ち、弱い人が負ける、上手の人がよくできて、下手な人が、うまくできない。それが事実であって、その事実をそのままにみるのが、信念であり自信であります。
しかし、それではなんの変哲もないから、皆さんは、できない事もでき、強い人にも勝つように、自信というものを作りたいという野心があるのではありませんか。
そこが自欺のもとでもあり、間違いだらけになる原因であります。「事実唯真」の私の言の反対になります。 (白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.606)
自信はいらない。自信がないまま、ビクビクハラハラしながら行動していくうちに結果が後からついてきて、それが自信になる、ということなのである。自信ができるまで待とう、ではいつまでたっても自信はつかない。必要な時には「恐怖突入」なのである。
一方、世の中には自信過剰で困った人もいる。できないことをできると思い込んで周囲にも吹聴する。当然、周りに大迷惑をかけるし本人も信用されなくなる。神経質人間ではそういうことはありえない。
最近のコメント