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2010年5月21日 (金)

神経質礼賛 547.便所飯

 最近、大学生の間で「便所飯」という言葉がはやっているという。学食で一緒に食べる相手がいないのを見られるのが嫌で、トイレに入って一人で食事をすることなのだそうである。これは神経症の対人恐怖の一種と考えてよいのではないかと思う。

 トイレの個室内で食事をする、というのは実際問題どうなのだろか。昨今の新設大学内のトイレならばホテルのようにきれいで爽やかな芳香剤が置いてあったりして、食事に支障は少ないのかもしれないが、それでもトイレに出入りする人がいたら個室にこもっていても気になりそうである。私だったら便所飯はとてもできそうにない。人目にさらされる公園のベンチで食べた方がずっとましである。

 対人恐怖の人には他人が自分をどう見ているかを忖度(そんたく)し過ぎる面がある。やや妄想性を帯びた関係念慮とも言えるだろう。まさに一人相撲をとっているようなものである。森田正馬先生は対人恐怖について次のように言っておられる。

 人前で、きまりが悪いとか、恥ずかしいとかいうのは、人の感情であって、なんともない人は、白痴か変質者か精神病者であります。神経質の皆様は、誰でも対人恐怖でないという人は、一人もありますまい。その恥ずかしい事の、あるがままにある人が、常人であって、これに屁理屈をつけて、恥ずかしくては不都合だとか、損だとか、いう風に考えるのが、対人恐怖であります。(白揚社:森田正馬全集第5巻 p.124

 神経質人間は、恥ずかしいのが自分だけに特有のことで、他の人は何ともない、と決め付けて考えてしまいがち(差別観)であり、誰もが恥ずかしいと感じていることに気がつけば(平等観)それだけでも対人恐怖は改善する。

グループがおしゃべりしながら食事している横で一人で食べるのは誰でもちょっと淋しさを感じるはずである。だからといって、他人がそれをとやかく言うはずもない。TVに出るような有名人でもない限り、一人淋しく食事をしていたと騒がれることはないだろう。食堂側にしても昼食の混雑時には、グループで長居されるより一人でサッサと食べてくれた方が有難いはずである。人目が気になるにせよ、一人の昼食ならば早くて5分、遅くて10分である。食事が済んだら図書館に行けば有益に昼休みが使える。本屋や売店をのぞく時間もある。何もトイレにこもって便所飯することはない。人目を避けて逃げれば逃げるほど怖くなるものだ。

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コメント

先生こんにちは!一週間前に帰国してはいたのですが、疲れを取るためにずっと休んでいました。こちらの気候は本当に穏やかですね。気候ひとつをとっても、厳しく過酷な環境にいたなとつくづく思います。

出発直前まで仕事と勉強をしていましたし、移動時間もとても長いので、生きて帰国できるのかと本気で思っていました。到着してからは今までの疲れがどっと出ました。でもようやく元気を取り戻しつつあります。

「ひとりごはん」は慣れです。私はお弁当に限らずコース料理も全てひとりで全く問題ありません。たまに友人と行くと楽しいのですが、ひとりだと料理をゆっくり味わうことができ、話をする労力も不要で良いものです。今日もこれからどこで食べようかと考えているところです(笑)

コメントいただきありがとうございます。

mission完了で無事に帰国されたのですね。2年間の疲れがたまっていたのでしょう。本当にお疲れ様でした。一休みの後はまた次の目標に向かって始動ですね。

そうですね。「ひとりごはん」にはメリットもあります。グループでもひとりでもどちらもよしです。

先生、お返事ありがとうございます!つくづく日本は便利で快適、おいしいものは何でも揃っている国です。この国に生まれたことを感謝しつつ、様々な社会問題を専門家の立場から分析し提言を行っていきたいと思っています。

厳しい訓練でしたがアメリカでの体験は何事にも代えがたいものです。実際に目で見たことは生涯、忘れません。私の専門分野の研究者達、テーマ設定の厳密さは言うまでもなく非常に勤勉です(学閥を含め保身という点において日本人は恐ろしく勤勉ですが)。おそらく日本の中だけにいたら、世界トップのレベルが何をしているのかすらわからないまま、何十年も迷走を続けていたことでしょう。

日本にいても高い水準の研究を継続することが可能かどうか。神経質パワーを発揮して、やってみます。

日本だけでなく、ヨーロッパさらにはアメリカで学究生活をされたことは、実にすばらしいことだと思います。広い視点に立って御研究の幅が広がっていくといいですね。神経質のよいところは、あきらめずに粘り強く続けるところです。御健闘をお祈りします。

いつもおもしろく読ませてもらっています.
便所飯とはすごいですね.
ところで,今度のオリンピックのまえにNHKで放映したミラクルボディー1はご覧になりましたか?  私はこれを神経症の克服の結果と考え,患者さんにダビングして見てもらっています.スキーの大回転で大きな事故を起こした選手が,その恐怖を乗り越えてゆく経過を,いろいろな角度から分析しています.ご興味がおありでしたら,ダビングしてお送りします.

鈴木 康夫 先生

 コメントいただきありごとうございます。駄文をお読みいただき恐縮です。

 瀕死の重傷を負った滑降のアクセル・スビンダル選手が「死の恐怖」を自分の力で克服して見事に復帰していった過程は、先生のおっしゃるように神経症やPTSDの治療の上で大変参考になると思います。御教示いただきありがとうございます。

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