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2010年5月24日 (月)

神経質礼賛 548.口蹄疫

 宮崎県での口蹄疫問題がニュースで取り上げられるようになって、恥ずかしながら口蹄疫について初めて知ったようなものである。今までは単に家畜の伝染病ということしか知らなかった。口蹄疫ウイルスはRNAウイルスの一種で極めて感染力が強いが、今のところヒトに対する病原性はないため医学部では学ぶ機会がない。牛、羊、ヤギ、豚などに感染して、名前の通り口とひづめに水泡ができる。発熱、多量の涎が出現し、幼獣では死亡率が高いが成獣では致死率は高くない。しかし、感染すれば助かっても肉の質が落ちたり乳の収量が低下したりして家畜としての経済的価値が著しく低下してしまうため、罹患したら殺処分しなくてはならない。畜産の仕事をしている人々にとっては恐ろしい病気である。政府の対応策としては感染が発生した場所から10km以内の家畜にワクチンを打って時間稼ぎをした上ですべて殺処分ということになった。今まで一生懸命に育ててきた家畜を殺処分しなくてはならない業者の人たちは実に無念だろう。また、業務再開の見通しが立たないだけに不安は極めて大きいことと思う。

 ワクチンを打つ作業も獣医師の確保が難しく、時間がかかりそうだ。犬やネコなどのペットを扱う獣医さんのなり手はいても、家畜の診断・治療・防疫にあたる獣医さんの不足は以前から言われていた。特に北海道や東北では獣医不足が深刻だという話を聞いたことがある。人間相手の医師だけでなく、獣医さんの場合も地域や専門の偏在という問題が今回の件で明らかになったと言える。

 宮崎県は例外的にエース級種牛を殺処分せずに避難させる処置を取った。しかし、1頭ずつ別々に運搬せず、しかも空気が流通する同じ獣舎に入れてしまった。そのうちの1頭の感染が明らかになり、残りの種牛の感染も心配されている。非常事態で対応が難しかったのだから非難することはできないけれども、相手が感染力の強いウイルスだけに神経質が足りなかったと言わざるを得ないだろう。隣の鹿児島県が種牛を分散させて離島に避難させたのは危機管理の上で適切な対応だと思う。

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コメント

先生こんにちは!私の父親(64歳)は、ボランティア獣医師として宮崎県に行こうかと思案しています。連日のニュースを見て思うところが多々あるようです。専門家の視点から見た分析が少ないですね。そして素人である「コメンテーター」が、パっと思いつきで感想を述べてしまう。こうして日本では、新型インフルエンザなどと同様に、無益な大騒ぎが繰り返されるというわけです。大切なことは正しい知識・情報と専門家による迅速な対処です。

おっしゃるように、大動物を扱う獣医師の数は減少しています。畜産農家の減少とも関連があるのではないでしょうか。私の父は元々、大動物を主に診療していましたが、ここ地元でも畜産農家の数がかなり減少しました。

家畜と小動物の区別がつけられない獣医師がいて困る、と言っています。たしかに家で飼育するペットは個体として診ます。しかし家畜は集団というか「群れ」として把握しなければならない。鳥インフルエンザも同様ですね。ともかく早い終息を望みます。

コメントいただきありがとうございます。

そうですね。ニュース番組や新聞報道でも専門の獣医師の方々のコメントが少なすぎるように思います。政治や行政のドタバタ報道の前にまず正しい知識を広めるのがマスコミの使命です。

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