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2010年6月14日 (月)

神経質礼賛 555.Google神経症

 私が子供の頃、数年に一度、健康保険組合から配布される「家庭の医学」の本が家にあって、それを見ては重大な病気になったらどうしよう、と恐れたものである。特に子供心に強く印象に残っているのは「バンチ氏病」(Banti症候群:血液疾患などのため巨大な脾腫をきたす疾患群)の挿絵で、異様に腫れ上がった腹部が描かれていて恐ろしかった。

 今では医学書がなくてもインターネット上に医学情報があふれていて、専門医が発信する情報や闘病中の患者さんが発信する情報などを容易に入手することができる。居ながらにして貴重な情報が得られるのはすばらしいことではあるが、ネット上の情報は玉石混交であり信頼度が乏しい誤った情報も流れていることがあるので注意が必要である。病名を知らなくてもGoogleで検索すればいろいろな病名がヒットするので、それで自己診断をする人もいる。外来初診の人に受診した理由を尋ねると、「ネットで調べたらうつ病だったから」という人も最近は珍しくない。そういう人が本物のうつ病であることは少ない。

 特に精神科では、本人が感じている自覚症状と他覚的・客観的所見とが大きく乖離していることは珍しくない。例えば、本人が強い不眠を訴えても、家族の話ではよく眠っているとか、単に昼寝などで睡眠パターンが崩れているだけのこともよくある。Google検索で病気について調べまくっては自己診断する「Google症」が話題になっているが、「Google神経症」とでも言った方がよさそうな人もいる。疾病恐怖の傾向がある人が病気の検索を始めたら、重大な病気がどれもこれも該当するような気がしてしまうだろう。

 森田正馬先生は次のように言っておられる。

 神経衰弱(神経症)の患者は、其病を重いやうにいつてやれば、却て悦ぶ。医者が身を入れて・骨を折つて治療してくれるかと思ふ所為でもあらう。之に反して軽いやうにいへば、軽卒に診断されるかと思って、甚だ不機嫌である。若し之を病氣でないと、真実の事を患者に告白するとすれば、以ての外である。(白揚社:森田正馬全集 第6巻 p.173

 いつまでも重大な病気だと思い込んで病気探しを続けているのは時間がもったいない。もっとやるべきことはいくらでもあるはずだ。どうしても心配であるのならば、Google上をグルグルしていないで専門医を一度受診してみたらよい。

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