フォト
無料ブログはココログ

« 神経質礼賛 585.幸福は金では買えない | トップページ | 神経質礼賛 587.他人の不幸は蜜の味 »

2010年9月17日 (金)

神経質礼賛 586.用心は勇気の大半なり

 毎年、近所のタクシー営業所が配る日めくりカレンダーを勤務先の机の上に置いて使っている。例年は、その日の格言は、毎月同じ日は同じ内容だったのだが、今年はすべて違うものになっている。365も格言があると、さすがにこれまで知らなかったものもあって面白い。その中に「用心は勇気の大半なり」という格言があった。

 私も含めて神経質人間は、失敗を恐れて何事にも慎重であり、新しいことにはすぐには飛びつかず、熟慮した上でようやく重い腰を上げる。自分は小心者で情けないと感じ、大胆に行動する人を見ては劣等感を感じてため息をつく。しかし、小心で慎重なのは何も悪いことばかりではない。

 以前、書いたように(362363話)北方謙三著「楠木正成」によれば、名将・正成は大変な小心者である。神経質人間の典型像とも言える。鎌倉幕府に反抗する「悪党」の存在だったが、「戦は身がすくむ」ということで戦闘は好まず弟に任せて、自身は他の悪党や海賊と交渉して街道を押さえ、物流を盛んにしていった。護良親王の求めに応じて挙兵すると述べた後、正成は「大変なことを言ってしまった」と怯え続け、夜も不眠に悩まされることになる。だが、正成は旅芸人などによる独自の情報網を持っていて、鎌倉方の動きを正確にキャッチしていた。一見無謀とも思える挙兵だが、実は計算し尽しての行動である。赤坂城や千早城にわずかな兵力で籠って鎌倉幕府側の大軍を迎え撃つ前に、兵糧や武具の準備を着々と進め、水も確保し、さらには落城した場合に落ちのびる布石まで打っていたのだ。その結果、幕府軍の激しい攻撃を耐え抜き、事実上の勝利をものにした。神経質ゆえの用心があってこそ勇気ある行動が取れたのだ。用心がなければ勇気ではなく蛮勇に過ぎず犬死することにもなる。

 現代のビジネスマンでも同じことだ。勢いとハッタリで商売して、ホリエモン氏のように運よく「バクチ」が当たり続けて羽振りがよくても、いつかは逆風が吹いて砂の楼閣はあっけなく崩れてしまうものである。最悪の場合を考えて用心し、十分に準備を重ねた上で、勇気を奮い起こして勝負に出る人が着実に勝っていくものである。

« 神経質礼賛 585.幸福は金では買えない | トップページ | 神経質礼賛 587.他人の不幸は蜜の味 »

コメント

先生こんにちは。残暑が厳しい毎日ですが、お元気ですか?
楠木正成の神経質ぶり、見事だと思います。緻密な計算と周到な準備がなければ、なかなか勇気ある決断は下せません。

二年前にアメリカでリーマンブラザーズ倒産の報に接しました。日本社会はあれからずいぶんと慎重かつ真面目になったと感じます(今や与党の政治家の方がメディア側よりもきちんと勉強し結果を出しています)。バブル的なものでこれまでの人生を膨れ上がらせてきた人々にとって、適当なごまかしが効かない今の状況は相当にきついでしょうね。

対照的なのは、状況が良くても悪くても熟慮した上で本業に専念していた人達です。どんな環境にあっても冷静に状況を分析することは、課題を解決すると同時に人生を楽しむ上でも大切でしょうね。

こんにちは。コメントいただきありがとうございます。朝晩はさすがに涼しくなってきました。とはいえ「暑さ寒さも彼岸まで」のはずが日中は30℃まで上がり、まだまだ残暑ですね。今日は普段サボっている墓参りに行ってきました。

おっしゃるように昨今の厳しい時代ではごまかしは利きません。やはり地道に努力を重ねていく他はないでしょう。「ウサギとカメ」のカメさんのように粘り強い神経質人間に勝機はあるはずです。十分に準備を重ねたら、勇気を振り絞って行動ですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 神経質礼賛 585.幸福は金では買えない | トップページ | 神経質礼賛 587.他人の不幸は蜜の味 »

最近のトラックバック

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30