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2010年10月22日 (金)

神経質礼賛 598.守破離

 大原健士郎教授が在任中の浜松医大では1カ月に1回、森田療法を受けている患者さんたちの茶話会があった。当初は食事会だったのだが、病院食を止めて自分たちで作ったものを食べることに病院当局からクレームがつき、手作りのお菓子とお茶を出す茶話会に変更された。一人当たりの会費は概ね100円前後で高い時でも200円くらいだった。高価な材料は使わずなるべく畑作業で取れたものを利用し、折り紙で季節感のあるものを折って添えたりして、茶話会担当者を中心に創意工夫をこらしていた。これも神経質を生かす訓練だった。大原教授と森田療法担当助手(私)の他、数名の医師や看護師が参加した。まずは茶話会担当の患者さんがお菓子の説明をし、皆でいただく。実はこの時、緊張しながら食べている人が一人いる。その後で体験発表をする患者さんである。また、対人恐怖の中でも特に会食恐怖の人にとっては教授や医師たちに見られながら食べるということで苦しい場面でもある。しかし、緊張しながらも皆が食べる場なのだからと諦めて食べるのが森田式なのである。食べずに取っておいて後で食べるなどということをやって避けていてはよくならない。体験発表をするのは退院を間近に控えた患者さんである。症状に悩みいろいろな治療を受けてもよくならず、入院して作業療法やいろいろな役割を果たしていくうちに症状はあっても健康人らしくなってきた、というような話が多く、さらに退院後に向けての抱負が語られる。それに対して大原教授の講話が始まる。

 ある時の講話は「守破離」という言葉についてだった。これは剣道などの武道や芸事でよく言われる言葉である。「守」・・・まずは基本の形を忠実に守り、教えられた通りに動いていく。「破」・・・しかし、それだけでは応用がきかないので、基本に自分なりの工夫を加えていく。「離」・・・そしてそこから独立して自在の境地に進んでいく。ということである。しかし「破」や「離」でやっていてもいつか行き詰まる時が来る。その時にはまた基本に立ち返ってみることも大切で、まずは入院生活で身につけた基本に自分なりの工夫を加えて行動していき、行き詰まった時にはまた入院生活で学んだことを思い出して基本に立ち返る、という守・破・離を繰り返して行けばよい、というようなお話だった。

 守破離という言葉は誰が言い出した言葉かわからない。茶道の千利休も言っていたようである。武道や芸事に限らず、勉強にも仕事にも当てはまることだと思う。そして森田療法そのものについても言えることではないだろうか。神経症以外の適応疾患の拡大、認知行動療法など他の精神療法との融合、外来森田療法の標準化、どれも「破」や「離」としてすばらしいものではあるけれども、そろそろ森田正馬先生の基本に立ち返る「守」の動きがあってもよいのではないかと思う。

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