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2010年11月15日 (月)

神経質礼賛 606.炭酸リチウム錠回収

 先週、全星薬品で製造販売しているジェネリック薬品の炭酸リチウム200mg錠が自主回収・供給停止となった。1110日付の文書によると、溶出試験で規格に適合しないロットがあったため回収することとなったという。溶出が遅くなって吸収が遅延して、薬の効果が減弱する可能性はあるものの、健康被害にまでは至らない程度の問題ではある。しかし、回収されてしまうとなると、何とか対応しなくてはならない。勤務先の病院でも院内・院外とも処方している薬なので大慌てである。オリジナル薬のリーマスが品薄になったという話も聞く。事情を説明して試験で問題なかった100mg2錠に変更させてもらったケースもある。

 リーマス(炭酸リチウム)は躁うつ病(双極性障害)の基本的な治療薬である。日本の精神科病院の入院患者さんの約6割が統合失調症の方だと言われていて、躁うつ病の方は数の上では少ない。外来でもやはり躁うつ病の患者さんの人数は統合失調症の患者さんの人数に比べてかなり少ない。これが統合失調症の基本的な治療薬で回収騒動が起きたら大混乱になってしまうだろう。

 医療費抑制のために国の施策でジェネリック薬品にシフトしつつある。最近では初診の患者さんにオリジナル薬を処方しても、調剤薬局が利ザヤの大きいジェネリック薬品を勧めて変更してしまう。しかし、以前から述べているようにジェネリック薬品はいいことずくめではない。

①中小メーカーが製造しているため、品質が劣る場合があり、供給が不安定になりやすい。今回のトラブルはこの一例である。また、頓服薬の場合、長期保存後に使用される可能性があり、安価な材料で製造していると長期の安定性が心配である。

②ジェネリックは「成分が同じの安い薬」として調剤薬局は勧めるが、主成分は同じでも錠剤の基材やコーティング材や着色料は同じではない。従って、オリジナル薬では起らなかったアレルギー反応や副作用が起きることがまれにある。現実に私の外来患者さんでもジェネリックに変えて問題が起きた方がいた。

③同じ主成分の薬に多様な名前の薬が存在することで、医療ミスの原因となるおそれがある。また、他の医療機関で処方された薬を調べる際、マイナーなジェネリック薬だと通常の薬の本ではわからないことがある。

 ただ安いから使え、では困る。少なくとも品質に関してメーカー側はもっと神経質になってほしい。また、③について、ジェネリック薬のネーミングはメーカーがてんでばらばらに勝手につけるのではなく、例えば(オリジナル名または一般名)+(ジェネリック薬であることを示す記号)+(製造メーカー名)に統一したらどうだろうか。メーカー名が明示されればユーザー側で安心できるメーカーを選ぶことが可能になるメリットもある。

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コメント

薬品や食品といった口に入るものは、製造者の皆様には最大のご注意を払っていただきたいですね。
「森永ドライミルク事件」のように、材料調達から完成品に至るまでに、複数業者の連係なくしては何事もなしえない高度分業時代においては、最終使用者の口に入る時点での安全確保に「全責任」を持てるだけの、安全レベルの確立とその維持をお願いしたいです。

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。
 そうですね。まさに「口に入るもの」の品質管理・安全確保には大いに神経質になってくれなくては困ります。医薬品だとチェックも入りますが、これがサプリメントの類だと規制が甘いだけ心配もあります。ユーザー側でも情報収集に努め、怪しげな食品・製品は口にいれないことで自衛していくしかありませんね。

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