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2010年11月26日 (金)

神経質礼賛 609.製作欲

 先週の土曜日の午後は、小春日和に誘われて、以前から気になっていたホビーショーの会場に行ってみた。お台場から移設した高さ18mのガンダム像はすぐ近くで見ると迫力がある。仰ぎ見ながら一周する。グッズの販売所には行列ができていて「待ち時間30分」のプラカードを持った係員が立っていた。有料(大人600円)のホビーミュージアムに入ってみた。プラモデルの歴史を展示したコーナーがあった。プラモデルがこの世に誕生したのはちょうど私が生まれた頃である。子供の頃は駄菓子屋で10円から50円位の小さなプラモデルが売られていたのを思い出す。やがてお年玉を手に握り締めて模型屋に通うようになる。私も200円位でモーター付の戦車を自分で買って作った。しかし、小学校5年の時に模型屋で見つけたゲルマラジオのキットを買って、電池もないのにラジオ放送が聞けることにとても感動して以来、一気に電子工作の世界にのめり込んで行ったのだった。考えてみれば、プラモデルが製作欲の原点だった。

 精神科病院の作業療法やデイケアでも工作でプラモデルや木工に取り組む人たちがいる。そんな物を作って何になるんだ、と思われるかもしれないが、集中力を高めるとともに、完成した時の満足感は自信にもつながり、他の物も作ってみようかという意欲も湧いてくるものだ。

 森田正馬先生の作業療法でも、当初は先生が入院者たちのために決まった仕事を与えていたが、しだいに各自の自発性に任せるようになった。与えられたことをやっているだけではまた社会に戻った時に通用しないからである。入院者の中にはヴァイオリンを作った人もいた。

 一患者ハ菓子箱其他ノ板切レヲ以テばいをりんヲ製作シ、終ニ之ガ玲瓏タル音ヲ発スルニ至リタルガ、其時ノ歓喜ハ、彼ノエヂソン氏ガ自己発明ノ電燈ニ少シク光ノ発シタルヲ見テ、長時失神ノ状態トナリタル時ノ心境ニモ比ベツベシ。(白揚社:森田正馬全集 第1巻 P.215

「人生何事カ成シ得ザラントノ自信ト勇氣トヲ体得スルモノニシテ、是レ一種ノ悟道ナリ。論理・思想ニヨリテ得ベキモノニアラザルナリ」というわけである。

 最近の子供はプラモデルを作ることもあまりないだろう。ましてや木工の機会はまずないだろう。ゲーム機で遊ぶのも悪いとは言えないけれども、ちょっとしたモノ作り体験がさらなる製作欲を引き出し、それに関連した知識欲も高めてくれるものである。工作の効用を再認識してもいいのではないだろうか。

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コメント

ゲルマニウムラジオは電池なしで音が出たので本当に驚きました。なんかギザギザの小さなはさみみたいのを覚えています。

バイオリンのお話はわたくしも記憶がございます。たしかこの製作者の方が「わたくしのこの喜びを真に理解する人は森田先生ばかりであろう」というような言葉を残されていて、それを見て、わたくしも感極まった覚えがございます。

たらふく様

 たらふく様もゲルマラジオ経験者でしたか。たった3個ばかりの部品で放送が聞けるのは不思議でしたし、バリコンを回すと選局できるのも本当に不思議でした。今の子供たちはこんな感動は得られないでしょうねえ。

 森田先生の原典をよくお読みになっておられますね。まさにその通りです。引用部は「神経質ノ本態及ビ療法」からです。不問療法であっても、森田先生と入院者の人々とは深い信頼と共感で結ばれていたことがよくわかります。
 森田先生の時代、ヴァイオリンを弾く人は極めて稀です。ヴァイオリニストで森田先生の治療を受けた人がいたように思いますので、多分、その人ではないかと思います。

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